インタビューを受けて、喜ぶムラカミ。
絶好球を投げてもらったからだ。
自分の話したくてしかたないことを話せたからだ。
テニスや卓球でラリーが続くように、会話が途切れなく続くと、
話しているほうも、聞いているほうも小気味いい。
どちらかだけが、一方的に話すのでなく、
互いが程良い分量で、偏りなく話すことが出来たら理想だ。
各地のことば磨き塾で、インタビューのワークショップをしていて感じるのは、
「質問のことば」を必要以上に意識しすぎて、
一人相撲を取ってしまうことが多いことだ。
何をどういうことばで聞いたらいいか考えすぎてしまい、
インタビュアーのことば数が増えてしまうのだ。
相手の引き出しを開けるより、自分の引き出しを見せて、
その中身についてどう思うか尋ねるようなことになってしまいがちだ。
だから、
単刀直入がいちばんいい。
素朴に聞くのがいい。
具体的に聞くのがいい。
冒頭のムラカミの嬉しそうな表情は、
「もし3日間アナウンサーの仕事が出来なくなったとしたら、何をしたいか」と
聞かれたからだ。
単刀直入、素朴、具体的・・・みんな網羅している。
相手の答えの中に、次の質問が隠れているから、
あれこれ、「質問ことば」を模索する必要はない。
極端にいえば、
「で」「それで」「なんで」「どうして」という合いの手を入れるだけで、
話の次ぎ穂になるのだ。
そして、前のめりになりながら、「その先」を促すのである。
もう、引き出しを開けたくてウズウズしてくるのである。