音楽ライター 大前多恵さん | その女、SLAVEにつき。

その女、SLAVEにつき。

【NO LUNASEA,NO LIFE】という人物が見るLUNA SEAというバンド&メンバー/時々たむ活

LUNA SEAの市川でのライブを楽しんだ翌日、LUNA SEAの取材やライブレポでもお馴染みのライターである大前多恵さんにお会いして来ました。


以前一度、河村隆一さんのZepp Hanedaでのライブで大前さんの後ろの席になったことがありました。

いつもインタビューも、ライブレポも、あるいはイベントでも?配信でも??

色んな場面でそのお仕事に触れてきていると思います。

今回はとても楽しみであると同時に、緊張した時間でもありました。

怖気づきましたが、こんな機会は二度とない!と思い、行って参りました。




2024年6月10日(月) 玉川髙島屋S・C東館3F たまがわLOOP

■《たどり着いた仕事は音楽ライター セカンドキャリアを考える(1)〜インタビュー取材というコミュニケーションの仕事》



昔から、LUNA SEAのインタビュー記事を読むことが大好きでした。

楽器にもバンドにも音楽にも疎い自分がLUNA SEAを知っていく唯一の取っ掛かりとなったのが、雑誌や本、会報、ラジオなどのメンバーが言葉で発信してくれたものを受け取ることでした。

今でこそSNSなどの、アーティスト側からの発信を受け取るツールは多くありますが、昔はありませんでした。

となると、何で知るのか。

一番はライブに行くことかもしれませんが

子どもには無理です。無理でした。


RYUICHIさんは以前話していました。

インタビューで「“この曲で言いたかったことは?このアルバムで伝えたかったことは?”と聞かれるたび、そんなの歌詞に全部書いてあるけど…と思った」と。

つまり、聞かれることを面白く感じていなかったことが分かります。

CDを、音源を聴いてくれよと。歌詞を見てくれよと。

そこに想いの全てを込めるから、音楽をやっているのだと。


そう、私たちが彼らを探る手立ては多くはなかった。



歌詞を読み込むこと、インタビューを読み込むこと

本が出たらそれももちろん

テレビで言ったこと

ラジオで話したこと

会報に書いてあること


それらすべてを残さず拾いたかった。

メンバーが何を考えているのか

なんでこんな曲が作れるのか

なんでこの世界を描きたかったのか

なぜ笑っているのか、何に怒っているのか、

泣くのを我慢してるのか

なぜ口を閉ざすのか

なぜソロを始めたのか

なぜ、LUNA SEAを終わらせたのか




そんな全てを、自分は言葉から探すようなところがあった。

読んだインタビューやライブレポも数知れず。

自分がそれを受けての感想を書いた数も、分からない。

雑誌に載れば天にも昇る気持ちで

何度も載れば、だいたい自分の投稿が採用されるか否か分かるようになってきた。

ラジオにもたくさん書いた。

会報にも載せてもらった。

とにかく、それこそ自分が自分がっていう気持ちでいっぱいで、それだけで突っ走ってLUNA SEAへの想いを書き綴っていた。


だから、ライブレポでもインタビューでも

読むときには自分の嫌な性格が出る。


その取材する人物が、どれだけLUNA SEAのことを分かっているのか

理解しようとしてくれているのか

どれだけ好きであるのか

何を伝えようとして書いているのか


そこを探るように読む。


読むと、書き手の熱が手に取るように分かる。

何を思って書いたのか。

ライブ中何を考えていたのか。

何をメンバーから探ろうとしているのか。

この作品のどこを気に入って、何を読み手に伝えたいのか。

メンバーの話を、受け入れているのか跳ね除けているのか。

自分の想いを通したいだけなのか。


気を引きたいだけなのか

こう書けば、これを書けば、喜ぶと思ってあえてそうしているのか。




今回の参加者の皆さんはすごく素敵な方が多く、

GLAYやラルクのファンの方、結婚・子育てで仕事を休んでいたけど戻ろうと思っている方、

ご自分もライターの仕事をしているという方、

様々だった。

特に皆さんのような素敵な趣味も仕事の明確なプランも何もなく、ただ「大前さんがどのようにアーティストと向き合っているのか知りたい」という思いだけで参加した自分は

だんまりを決め込んでいましたが。


大前さんと参加者の方との模擬インタビューのデモンストレーションは素晴らしかった。

ついついインタビューをされる参加者のほうに気が行っていたのですが、

いかん、ここは大前さんの進行を見なくては!と途中から切り替えた。


多くは言えないけれど、

大前さんだから、メンバーから、事務所から、レコード会社からお声が掛かるのだろうなという

理由の端っこを理解できた気がした。



参加者だけの特権なので深く触ることはできませんが、

まず最初に大前さんがご自分のされた仕事としてご紹介くださったのが

LUNA SEAのセルフカヴァーAL『MOTHER』『STYLE』のライナーノーツを担当されたことでした。

現物の2作品を持ち込んでお話されていました。

数あるお仕事の中から最初にLUNA SEAの名が出たことがSLAVEとしてはとても嬉しかった。

大前さんは「これは私にとって、とても名誉あるお仕事でした」と仰っていました。


そして、インタビューについては

最初に例として挙げてくださったのが、昨年の12月に発信されたBARKSでのRYUICHIインタビューでした。


そう、RYUICHIが発声障害を生じていることを話したあのインタビュー記事です。

あの記事で、初めてRYUICHIの症状を理解した方も多くいたと思います。

自分もその一人でした。

なぜならRYUICHIは、そこまでファンに明かして語ったことがなかったから。

あの記事は衝撃でした。


もう、この話だけで自分は泣きそうでした。


このとき、RYUICHIがどんなふうに話したのか。

大前さんがどんなことを心がけ、どんなふうにRYUICHIの言葉を引き出してくれたのか

そのときのお話を伺いながら、胸がいっぱいになりました。



自分が大好きなアーティストの、大事な大事な言葉を引き出し、伝えてくれる

ライブのレポは、参加しなかった人にも光景が見えるように書いてくれる

作品を紐解いてより深いところへ連れて行ってくれる


すごい仕事をされているのが分かりました。



大前さんは、一つのライブ公演を観るのにノートを一冊は書くそうです。

メモを取ったノートには文字がぎっしり書かれていました。

「自分にしか分からないような文字。ときにはアーティストの行動を絵で描くことも。」とノートを広げながら仰います。

あとからそのときの光景を思い出せるように事細かに書くそうです。

インタビューならば、

例えば4人組のアーティストの取材があるとして、それをメンバー揃ってする場合

メモを取るノートには縦に3本の線を引き4つの欄を作り、その取材相手のインタビューの言葉の量が偏らないようにする工夫をされているそうです。


昔のLUNA SEAなら、偏ろうもんならケンカでしたからね。笑(メンバー談)

俺の言葉が、ページ数が少ない!!とかね。

あいつばっかり写真が大きい!!!とかね。

コワイコワイ。笑




興味深い時間でした。

大前さんのお仕事の話を聞いて、これからLUNA SEAのインタビューやライブレポを読むのがますます楽しみになりました。


GLAYやラルクのお仕事も多くされているので

ファンの方が理解しやすいように具体例を出しながら説明。

この日の前日と前々日のGLAYのライブで、レポや密着取材で走り回っていたお話や

TERUさんが大前さんの取材に対して掛けた言葉やHISASHIさんの配信番組についてのお話もありました。


自分がSLAVEであると名乗れば、もっとLUNA SEAのお話も伺うことができたかも知れませんが

それはまた、きっとあるであろう次の機会に。

大前さんを前にLUNA SEAのSLAVEを名乗るには勇気が要るので今回は難しかった。


ノートももっと間近で見たいし、書かれた本についてももっと聞きたい。


そして、チャンスがあればライブレポの書き方も話を伺いたい。







SLAVEにも様々な方がいらっしゃり

中にはインタビュー記事やレポもあまり読まない方も。

自分の周りはそういうタイプの方が多いです。

だから曲の読み方ひとつとっても曲の背景や誰が原曲者であるのか、知らないという方もいて。


自分みたいに知りたい知りたい病みたいなのは珍しいのかな。


ひとつ、大前さんに深く共感したのは

何でもメモしたり書き起こしたりすること。

例えばインタビューが1時間だとしたら、それを書き起こすのに3時間かかるそうです。

大事なところしか書き起こさないタイプのライターさんもいらっしゃるようですが

大前さんは取り敢えずアーティストの話したことは全部書き起こすそう。

「私の場合は、書くことで頭の中が整理されていく。そうすることで理解度がまるで違ってくる」とお話されていました。

そこから、読み手に分かるように加筆修正が始まっていく。



同じだ!と言うと、次元が違うので失礼かとは思いますが

自分もCDの音源は歌詞カードを見ながら全部紙に文字起こしをするので、分かる気がしたのです。

既に書いてあるものを書き出すだけだから、起こす、とは言わないか。

詞の世界も、実際に書き出してみると

もっと言えばそれを音読すると

LUNA SEAの、RYUICHIの気持ちに寄り添うことができたような、触れられたような

そんな気になって、描かれた世界を深く理解できるのです。

もちろん他のメンバーのも。

LUNA SEAでも詞の一節(原案)をRYUICHI以外のメンバーが担当していることがあったりしますが、そういうのが書いてみるとよく分かる。

ソロ音源もね。

ちなみに自分はINORANの書く詞のセンスが好き。



インタビューも声に出して読むときがあるな。




おかしいかも知れない。

でもそれで良くない?とも思う。



そういうSLAVEもいる。




セカンドキャリアについては完全に横に置いて考えてしまいましたが、

この度はインタビュー取材のお話を伺うことができて本当に嬉しく、面白い、夢のような体験でした。

大前多恵さん、貴重なお話をありがとうございました!




これからもLUNA SEAをよろしくお願いいたします。