お隣の事務所はもう始めています
みなさん、こんにちは。
今年も残すところ
あとわずかになりましたね。
みなさんは、
どのような一年でしたでしょうか。
私は、全国の100名近い税理士先生と
ZOOMを使って個別にお話しをさせていただく、
これまでにない経験をしました。
そのほぼすべてが初対面。
Webセミナーに
ご参加いただいたことがきっかけです。
考えてみれば
ビデオ通話という仕組み自体、
決して目新しいものでも
珍しいものでもありませんが、
このコロナ禍で、
個人、ビジネスユース問わず、
利用者が爆発的に増えたことは間違いありません。
おそらく今後については、
当業界においても、
問答無用で顧客訪問するのではなく、
「お客様と直に対面し
コミュニケーションをとるべき仕事」
と
「Web面談でも十分クオリティを保てる仕事」
の境界線が
はっきりしてくるのではないかと思います。
ただこの流れは、
会計事務所とお客様との関係だけを
変えるものではありません。
働き手にも同様のことが当てはまります。
なぜ、通勤することを前提として
事務所近郊でしか職員採用はできないのか。
「都心は人材獲得競争が激しく、採用が難しい」
「地方は人口減少で、
優秀な人材はみんな都会に行ってしまう」
これはあくまで、採用活動を
地元だけに絞って考えているからに過ぎません。
東京都内の事務所が、
沖縄在住の人材を採用する。
北海道内の事務所が、
大阪在住の人材を採用する。
インターネットで誰もがリアルタイムに
コミュニケーションが取れる時代です。
「できない」というのは
そのほとんどが過去の常識に
とらわれているからではないでしょうか。
そういう意味では、『転勤』という概念も
やがて薄れていくのかもしれません。
今年、北海道から沖縄まで、
様々な税理士先生とお話ししてきましたが、
訪問に頼らないサービス提供、
通勤に頼らない業務スタイル。
何も取り組んでいない先生のほうが
少ないことがわかり
税理士業界も少しずつデジタル化の方向に進んでいることを
肌で感じることが出来ました。
お隣の事務所で、
実はもう始まっているのです。
みなさまの事務所でも、
コロナうんぬんという発想とは別に、
ぜひこの流れをポジティブに捉えて
2022年新しい業務スタイルに
挑戦してみてはいかがでしょうか。
さて、今年の更新は本日までとなります。
みなさま、良いお年をお迎えください。
村に水路を引くということ
みなさんこんにちは。
あるところに
生活用水を確保するために、
各家庭がそれぞれ遠く離れた川まで
毎日水を汲みにいく習慣を
ずっと続けてきた村がありました。
水汲みの仕事で
小さな子供は学校に行けない、
ご高齢の世帯では、
運べる水量も減り
健康や衛生面で問題を生じている。
かつてはそれでも
助け合って何とかなっていたその村も、
時代の流れとともに
若者は生活の利便性を求めて都会へと移り
人口は減っていくばかり。
このままでは
村の存続にもかかわると、
村長は立ち上がります。
遠く離れた川から、
みんなで力を合わせて
村の中心部まで水路を引こうと。
ところが、
働き盛りの村人の一人がこう言いました。
「ウチの家族は、
交代で水汲みに行けるので
別に不自由してません。
わざわざ共同の水路なんてつくる暇があったら、
自分の家族のために時間を使います。
どうしてもと言うなら、
困っている人だけで
水路を作ればそれでよくないですか」
また別の一人は、
「そもそも水路を作るのに
一体いくらかかるんですか?
完成までどれだけお金と時間がかかるか
わからないもののために
リスクを負う意味なんてないと思いますが」
さらに別の一人は、
「前に村長の呼びかけで、
村の食料確保のためにと、
みんなで1年かけて大きな倉庫を作った。
しかしその倉庫は今ほとんど使われていない。
また同じような失敗を繰り返すつもりですか」
村長は知っています。
水路をみんなで
作り上げることさえできれば、
再び村が活性化するだろう。
若者も戻ってくるかもしれない。
ただそれは村人全員の協力なしには、
水路は完成しないと。
私たちは、30年以上にわたって
村長から相談を受け、
村人と一緒に水路を作り上げ、
継続して活用するための支援を行っています。
もちろん、
私自身も水路を作った村の住人です。
これはあくまで例え話ですから、
「村」=「会計事務所」
「水路」=「事務所改善の仕組み」
と置き換えることができます。
さて、村長である所長先生にとって、
「水路」とは
どのようなものを指しますか。
実は担当者がお客様先に訪問していない???
みなさん、こんにちは。
つい先日、とある税理士先生から
こんな話を聞きました。
「ウチの事務所につい最近まで勤めていた
元職員なのですが、
ホワイトボードにスケジュールを記載していた
担当先のお客様に実は訪問していなくて...
お客様側からの指摘を受けて
それが発覚しました。
お恥ずかしいかぎりですが、
本人としても何か行きたくない
事情もおそらくあったのだとは思いますが...」
多少なりとも
退職された経緯とも関係するのだろうと、
深く立ち入った質問こそできませんでしたが、
お話しを聞く限り
年齢も若く、比較的経験の浅い
職員の方だろうと想像ができました。
考えてみれば、
定期的な顧客訪問で
業務が成り立っている事務所であれば、
それほど歳月もかけることなく、
トラブル発生は表面化するはずで、
当然ながらその職員の方も
それは十分承知していたものと思われます。
世間に言う“カラ出張”とも意味合いの違う、
このお客様先に訪問予定と見せかけ
実際には訪問していないこれらの行為は
勿論許されるものではありませんが、
人手不足が深刻化する税理士業界における、
従来の訪問型サービスが制度疲労を起こしている
象徴のように私には思えました。
社会人経験も少ない、
ましてや会計や税務の知識も
まだ十分ではない若手職員が、
「とにかく経営者と会うことが重要」
「世間話でもいいから、
とにかく会ってコミュニケーションを」
「定期的に会うことが、サービス維持の基本」
と、元々ベテランが担当していたお客様先に
たった一人で後任として送り出されるのですから
場合によっては、
このような事態を引き起こしてしまうケースは、
全国的に増えていってもおかしくありません。
十分な引継ぎ期間があり、
経験豊富な後任の担当がいることが
ベストな選択肢であることは間違いありませんが、
そうでなかった場合、
こういった想定外の状況が
知らぬ間に発生するリスクも
考えておかなければなりません。
これは
「担当者の根性を鍛えるべき」
「監視を強化しよう」という
単純な話ではありません。
さまざまなITツールを使って、
「訪問に代わるコミュニケーションの構築」
「複数の担当が役割分担して顧客対応」といったことが
いまや当たり前にできる世の中です。
冒頭のような悲劇を起こさないためにも、
いまのうちから少しずつ、
サービス提供のかたちを
今あるべき姿に変えてゆく
必要があるのではないでしょうか。
そういった努力をしていかなければ、
この業界を目指す若者が益々減ってしまうような
危機感を感じます。