【ないせいがいだく】
乱れた世の中を生き抜く、処世術の一つ。

◇  ◇  ◇

満員電車でリュックサックを背負ってはいけない。

背負ったリュックサックが、いつの間にか人様に迷惑をかけてしまう。こんなことは子供にだってわかるだろう。頑張って網棚に置くか、体の前側に回すかしなければならない。

しかし、理由はそれだけではないらしい。

とある人に聞いた話。

その日彼は、満員電車で窮屈な思いをしていた。何故か背中を反ったまま立っていたからだ。「なんでかなあ、なんでかなあ。やだなあ、やだなあ。」と思っていたら、真後ろにパンパンのリュックサックを背負ったバカたれが立っていた。

そんな理由なら遠慮はいらないと、背中でリュックを押し返したところ、リュックは横によけたそうだ。ところが、今度は肘が窮屈になり、さらに横の女子まで窮屈な顔をし始めた。

これはマズい。事態の打開は難しいとしても、せめて、彼自身とその女子の溜飲を下げられるような、リュック男への制裁が必要だ。

そこでふと、鼻がムズムズしていることを思い出した。これだ。

おもむろに左手人差し指を右の鼻の穴に差し込んだかと思うと、中をグリグリとまさぐったのだ。

まさか……。

そう、そのまさかである。彼はイワユル“鼻クソ”を取り出し、前の女子と頷き合いながらそれをリュックサックにこすりつけた

満員電車でリュックサックを背負ってはいけない。リュック男が身を持って教えてくれた。


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【らくえいひんぷん】
花びらがはらはらと乱れ散るさま。

◇  ◇  ◇

航空会社の女性キャビンアテンダント(CA)とのロマンスは、いわゆる一つのドリームである。しかしそれは、一般成人男子がおいそれとは太刀打ちできない聖域、せいぜいスポーツ選手や著名人など、一部のセレブリティだけが許されているものに決まっている……ハズだった。

ところがどっこい、思わぬきっかけから一般成人男子の私と美人CAとの心の交流が始まった……というところまでが前回。

続き。

微笑みあった後すぐに飛行機は無事着陸、スポットへと駐機した。

シートベルトを外し立ち上がると、驚いたことにCAから話しかけてきた

CA「美味しそうだったのでついつい見てしまいました。」
私「いやホンマ、お腹がすく時間帯にスミマセンでした。」

CA「お料理されるんですか?」
私「はい。結構好きなんですよ。」

CA「何かイイのは載ってました?」
私「このカニ卵カレーが最高です。」

CA「うわぁほんと。これも美味しそうですね。」
私「良かったら作りましょうか?なんだったら今夜にでも。」

CA「えっ!いいんですか?じゃあ仕事が終わったら電話します。」
私「待ってます。」

まさかの展開だ。CAを、それも機内でナンパできるとは……。

待ち時間は空港内のカフェで過ごすことにした。一人で静かに座って昂りを抑えておけば、起こしてはいけない衝動を防げるはず。

着陸からちょうど1時間半後に彼女はやってきた。

CA「じゃあ行きましょう。」

こうして、その夜は二人でカニ卵カレーを食べ、翌朝一緒にコーヒーを飲んだ
……ワケはない。


現実は、

CA「お料理されるんですか?」
私「はい。結構好きなんですよ。」

CA「何かイイのは載ってました?」
私「この味卵があまりに旨そうで。」

CA「ああ。」(料理好きって言ってるのにゆで卵?という反応)

──降機が始まり──

私「それでは。」
CA「ご搭乗ありがとうございました。」

チーン……世の中ってそんなもんかな。


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【せんざいいちぐう】
千年に一度しかめぐりあえないほどまれな機会。

◇  ◇  ◇

航空会社の女性キャビンアテンダント(CA)とのロマンスは、いわゆる一つのドリームである。しかしそれは、一般成人男子がおいそれとは太刀打ちできない聖域、せいぜいスポーツ選手や著名人など、一部のセレブリティだけが許されているものに決まっている……ハズだった。

※ここからは大事なことを書きます。必要があればメモを取ってください。

先日の東京行きでは、往路に飛行機を利用した。

手持ち無沙汰が予想される窓無しドア横の席だったため『dancyu』というグルメ雑誌を購入しての搭乗。小1時間ほどなら十分しのげるはずだ。

足元広々で実は快適なドア横席だが、そこにはもう一つの大きな特徴がある。離着陸時に、着席するCAと正対しなければならないのだ。

しかも今回は目の前に2人も並んでいる。そして右側のCAは、私が今までに出会った全○空のCAの中で1・2を争うベッピンさん。これはマズい。とにかく目が合わないよう常に気を配らなければならない。ここでdancyuの出番である。

強風のため揺れる機内だったが、ビビってると思われないよう鼻歌交じりの顔でdancyuを開く私。今月号は「人生が変わるたまご料理」というタイトルの特集。大げさだなと少しバカにしていたのだが、思いのほか面白い内容でいつの間にかドップリ読みふけっていた。

そうこうしているうちに、気がつけばもう着陸態勢に。もちろんCAの二人は再び着席している。その時だった。ありえないほどの熱い視線がこちらに向けられているような気がするのだ。

このタイミングでコチラへ視線を送れるのは、前に座っているCA2人だけ。いや、でもまさかCAが私のことをこんなにも熱く見つめるワケはない。私はただの一般成人男子だ。バカバカバカ……などと思いながらも、確認せずにはいられない。

思い切って顔を上げてみた。するとどうだろう、右斜め前に座る全○空で1・2を争うベッピンCAがdancyuの卵写真を思いっきり見ている。それはもう猛烈な勢いで、ヨダレが出ていてもおかしくないほど。 ※もちろん出てはいない。

ちょうど夕食時、無理もないこと。これは申し訳ないなと思ったら目が合ってしまった。マズい!事件だ!と思い、とっさに目をそらそうとしたら、彼女は少し照れた微笑をこちらに向けたのである。

大チャンス到来!美人CAと私の心の交流が始まった。ドリームだ。これを逃す手はない。

そして……続く


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