全然面会にも来ないし、最近は入院費の支払いも滞って来ている。」
そういう事例が、精神科にいると、ちょくちょくあります。
○○さんは７０才の認知症。
徘徊があって、暴力、暴言があって、
警察沙汰になることも多々あって、
なんとかして、精神科に入院させた（してもらった。）
そしたら、今度は家族と一切連絡がつかなくなった。
そういうケースです。
こういう事例。
一方から見ると、
「なんて、責任感のない娘だ。
自分の親なのに、精神科に入院させた途端。
関係をきっちゃうなんて！親不孝だ！」
っていう見方も、できたりするのですが、
話はそう単純なものでもなくて、
娘さんには娘さんの言い分もあったりすることも、
往々にしてあります。
「実は、○○さん。
若い頃から家族を泣かせることの多かった人で、
浮気はするし、外に子供は作るし、
ギャンブルはして、家にお金入れないし、
酒飲んで家族に暴力ふるうし、、
ほんとめちゃくちゃな人で、
それまで、さんざん自分勝手に、
生きてきたのに、
６０過ぎたら、
急に認知症になっちゃって、
夫の介護で妻は早めに他界してしまい、
その後も認知症の症状も進む一方で、
徘徊はするし、
スーパーにいって万引きするし、
警察にお世話になることも度々で、
どこまで行っても自分勝手な人で、
いままでさんざんやられていたので、
もう面倒みたくありません。。」
なんてエピソードが、
たまーに連絡のとれた娘さんから、
聞き出せた。
とか、
そういうパターンもあったりするのです。
で、こういう事例に出会った時。
作業療法士はどうするのか？
作業療法は何ができるのか？
っていう疑問がわいてきます。
もう一度家族の絆を少しでも取り戻せるよう
OTの力を使って何とかしよう！
本人のいいところを引き出して、
本人のよくなった様子をなんとか娘さんに伝えたり、
なんと関係改善のために頑張ろう！
とか思うと、
燃え付きます（笑）
そりゃもちろん。
そういうことがあれば、ドラマみたいで、
すごい事例になりますが、
あまりそういうことばかり、
狙いすぎると
さすがにきついと思います。
作業療法士になったからには、
今より、状況を良くしなければならない。
そういうことを真剣に考えすぎる人は、
こういう問題にたくさん出会ってしまうと、
たぶん燃え尽きてしまう。
もっと気を抜いた支援でもよいと思います。
で、それと、作業療法士だとか、
そういうの全然抜きにして、
まず自分は、自分の奥さんとか娘とか、
自分はもっと家族を大事にしよう！
とそういうことを思うようにしています。
それが、まさに患者さんから教わることなんじゃないか
と思うのです。
よく患者さんが一番の教科書で、
患者さんから教わることが多いっていうけど、
そういうことなんじゃないかと思います。
患者さんは人生の教科書。
老い方。生き方をたくさん教えてくれる。
そういう意味で、
作業療法士はすごいいい仕事だと思っています。
こういう事例にであった時、
作業療法士として何もできないと
自己嫌悪になるのではなく、
もっと肩の力を抜いて、
いい勉強になりましたと
そう思う。
そして、自分の周りに人に、
もう少し親切にする。
もう少し優しくする。
そういう働き方をしたいなーって思います。
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