小学校は、明るく友達も多かったけど、
中学に入ってからは保健室登校。
高校は、高1の2学期くらいまでは、休み休み通ったけれど、退学。
その後引きこもり状態の生活を続けて、15年。。。
現在、31歳で私と同い年。
そんなAさん。
どこかにそんなAさんがいたとします。
Aさんは、4~5年前に、奇異な行動が目立ち、病院に行ったら統合失調症と診断を受けます。
仕事をしていると、こんな感じの方に出会うことがあります。
今は、窓もカーテンも閉め切った部屋でひっそりと暮らす。
両親とはほとんどしゃべらず、トイレとお風呂以外は、自室から出てこず、一日中、TVゲームして過ごす。
そんな方です。
私とAさんとの出会いは、作業療法士として訪問看護に伺った時から、始まります。
私、「こんにちは。杉長といいます。。。。」
Aさん「・・・・」
私「これから毎週水曜日に訪問にきます。」
Aさん「・・・・」
私「今の生活で困っている事とかありますか?」
Aさん「・・・」
私「これから一緒にることを探して行きましょう・・・・」
Aさん「・・・」
こんな感じのやりとり(?)が続きます。
何を聞いても話してくれないので、困った私は、
そういや自分と同い年だったなということを思い出します。
Aさんは、中学の頃から不登校の傾向があったという話だけど、小学生の頃は明るかったとカルテに書いてあったな・・・
きっと小学生の頃に流行ったものの話だったら、何か良い反応を返してくれるかもしれない。
そんなことを思い、私も、自分の小学生時代を思い返します。
自分(現在31歳)が小学生の頃に流行ったもの・・・
ドラゴンボール
ストリートファイターⅡ
ドラゴンクエスト
マリオ
・
・
・
そんなことを思った私は、
「そういやAさん。私と同い年でしたね。ストⅡとかやったことありますか?」
すると、Aさん。初めて笑ったような顔をして、コクリとうなづきます。
おおっ!反応してくれた!
「私もやりましたよ!いったい誰を使っていたんですか??」
なんて聞いてみると、
「ガイル・・・・」
と始めて声を発してくれた!!
そんな嬉しい体験をすることもあります。
その後、彼とは、ドラクエⅤでは、ビアンカとフローラどちらと結婚したのか?とか
ファイナルファンタジーシリーズはいくつまでクリアしたのか?
とか我々世代ではないとわからない話をいくつかしました。
話をしたと言っても、Aさんは「ガイル・・」と言葉を発した以外は、こちらの言葉に首を縦にふったり、横にふったり、という感じでした。
それでも、こちらの話に耳を傾けて反応はしてくれる。
そのようなやりとりをすることができました。
このようなやり取りを、引きこもりの方への訪問看護の場面では経験することがあります。
こういう経験からよく私は以下のような事を思います。
Aさんは不運ながら統合失調症という病気を患ってしまった患者さんで、私は治療者という立場でAさんと出会ったのだけれども、
ともに同じ時代を生きてきた仲間なんだなという感覚を感じるのです。
治療者と患者さんという立場で今は出会っているけれど、若い頃は、同じもの、同じ遊び、同じように流行った歌、を楽しんで経験した仲間なのだなあとっていうことを思うのです。
精神科の臨床では、治療者と患者さんというその2者関係だけで、関わりを持とうとすると、難しい場面でも出てくる。
そんなことをよく思います。
治療者としての自分にこだわりすぎることよりも、もしかすると、一種の友達関係のような感覚をもって関わることが、功を奏することもあるものなんだなっていうことを思います。
注:この話は、特定の誰かを指す事実ではなく、日頃自分がよく体験している幾つかの事例を、抽出して作り上げた物語です。事例そのままだと個人情報のこともあるので、ある程度脚色して物語を作りました。
訪問看護の場面ではこういうことがよくあるので、書きました。
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