私が作業療法士の免許をとった時、
うちの母や祖母に、すごく喜ばれ
「良かったね~
これからは高齢化社会だし、作業療法士の資格をとったらもう安心だね~」
ってな事を言われた事をよく覚えています。
しかし、私はその時からすでに、専門職の安定性も感じつつ、どこか危うさも感じていたように思います。
私が作業療法士という専門職に危うさを感じるようになったのは、作業療法の臨床実習に行った時の事です。
とある回復期のリハビリテーション病院でした。
そこでみた光景なのですが、
とあるおじさんが、ピアノを弾き語りながら、デイケアの利用者さんと歌を歌っている場面に出会いました。
私は「音楽療法士の方なんですか?」
と近くのスタッフに聞いた所。
「いや違うよ。彼は、柔道整復師なの。昔は、ここでリハビリとか、今PTOTがやっているような事もしてたんだけど、
だんだんPTOTが増えてきたら、彼の仕事は無くなってきて、今は趣味のピアノを活かして、音楽療法で働いているんだって~」
ってな話を聞きました。
その時私は、その話を聞いて、結構ショック受け、社会の厳しさを感じたように思います。
またこんな事もありました。
急性期の病院に実習に行った時の事ですが、そこでは、臨床検査技師さんが事務職をやっていました。
彼は「昔は臨床検査技師は引く手あまたで、仕事もいっぱいあって、同僚もたくさんいたんだけど、
診療報酬制度が変わって、あまり検査が出来なくなって、検査の仕事がどんどん無くなっていったんだよ。
同僚はほとんど辞めていったんだけど、僕はパソコンに詳しかったのでその腕を見込まれて、事務職として引き抜かれたんだ。」
と話していました。
この話も結構ショックを受けました。
この柔道整復師や検査技師は、時代の流れや診療報酬改訂のあおりなど、色んな影響を受けて、もともとしていた仕事とは違う分野で働いているのです。
この体験から、私は作業療法士だって、いつまで作業療法をやっていられるかわかったもんじゃないなと、感じた事をよく覚えています。
自分は、作業療法士としてずっと作業療法をやっていくのか?
それとも時代の流れとともに何か別の仕事をする事になるのか?
それはわかりませんが、いずれにしても、どんな仕事をするにしてもある程度自分で選択して、仕事ができるような状態でいたいなと思います。
(お金のためにイヤイヤするのではなくね)