コーヒーブレイク(2) | マーブル先生奮闘記

マーブル先生奮闘記

マーブル先生の独り言。2024年1月1日の能登半島地震後の復興をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

高脂血症という名称が消えた

 

脂質異常症の登場

 これまで「高脂血症」と呼ばれていた病名を2007年に日本動脈硬化学会は「脂質異常症」という名称に変更しました。この名称変更には理由があります。

 血液中の脂質には中性脂肪やコレステロールがあり、コレステロールにはLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)とHDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)があります。

 

コレステロールにはちょうど良いレベルがある

 中性脂肪やLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)は基準値よりも高すぎると身体に障害をもたらしますが、HDLコレステロール(いわゆる善玉コレステロール)の高い値はいいのですが、低すぎても心疾患などの危険が高いということがわかってきました。

 そこで、単にコレステロールなどの脂質が高いから病気であるという意味の「高脂血症」という言葉は正確ではないという考え方を取り入れ、名称変更が行われたのです。

 

 

正常値の範囲内でコントロールする

 脂質異常症とは、血液中に溶けている脂質が正常値の範囲から逸脱した状態をいいます。脂質異常の状態では、これといった自覚症状もなく日常生活を送る上での不都合もあまりないためつい放置してしまいますが、そのままにしておくと脂質が血管壁に蓄積し、動脈硬化を引き起こします。動脈硬化になってもまだ自覚症状がなく、心筋梗塞や脳梗塞など深刻な事態になって、やっとその重大さに気づくことになります。

 

 

食生活と運動不足

 かつての日本人には脂質異常症はあまり多くみられませんでしたが、現在は年々ふえ続けています。その理由のひとつは食生活の変化です。魚類・穀類・野菜を中心とした食生活が、次第に高タンパク・高脂肪・高カロリーの欧米式食事へと変わってきたことによります。

 もうひとつの理由は、ライフスタイルの変化で、日常生活で身体を動かす機会が減り、運動不足になる人が増加したのです。余分なエネルギーの発生は皮下脂肪や内臓脂肪といった形で蓄えられることになります。

 

遺伝子の異常も原因に

 脂質異常症には生まれつきの体質的な要因が関係することもあり、他の病気と関係なく発症するものを原発性脂質異常症といいます。遺伝子の異常が原因で血液中にコレステロールや中性脂肪が異常に増えてしまう病気に家族性脂質異常症があります。

 

他の病気や薬の影響の影響もある

 他の病気や服用している薬の影響で、血液中の脂質のアンバランスで脂質異常症を発症することがあります。他の病気や服用している薬など、なんらかの原因があるものを二次性(続発性)脂質異常症といいます。

 脂質異常症と関係がある病気には、糖尿病やその他の内分泌疾患(クッシング症候群)、甲状腺機能低下症、肝胆道系疾患、腎臓病などがあります。原因となる薬剤にはステロイドホルモン、β遮断薬、経口避妊薬があります。