更年期を深く考える(18) | マーブル先生奮闘記

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マーブル先生の独り言。2024年1月1日の能登半島地震後の復興をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

更年期を女性らしく生き抜く(17)

手の指の関節のしびれ・痛み・腫れ・変形

 

ヘパーデン結節とプシャール結節ニヤリ

 50歳代の女性の手の指の関節のしびれ・痛み・腫れ・変形が手の指の第一関節に起こることを「ヘバーデン結節」、第二関節に起こることを「ブシャール結節」といいます。

 関節の結節とは指の骨にできるあまり難くない、小さいコブのことで、手指の関節が腫れて、手の指の運動制限を伴い、関節痛だけでなく、粘液嚢腫(ミューカスシスト)と呼ばれる水ぶくれが関節を取り囲むように関節の側方に現れることもあります。

 発症した関節の結節の症状は個人差がありますが、関節軟骨の摩耗や関節の隙間が狭くなり徐々に骨が変形していきます。

粘液嚢腫は数日間のしびれが続き、その後一晩で腫れて出来上がることが多く、痛みをこの時から伴うようです。また、複数の箇所に出来ることも多く、症状が増すと、手の指の動きが悪くなったり、物を強く握ることが困難になったりして、通常の日常生活を行うことに支障が出ます。

 よく知られた自己免疫疾患である「関節リウマチ」と症状が似ているため診断に戸惑うことがある時は、専門医に診断してもらうことが必要です。

 

女性で。しかも更年期に発症しやすい

 の粘液嚢腫の原因は不明ですが、発症が更年期の女性に多く、またよく利用する利き手以外の手指にも症状が現れることが多く、全身を支配する女性ホルモン(減少)が関与している可能性が考えられています。

 ヘバーデン結節、ブシャール結節以外にも更年期に起こりやすい手指の疾患には、ばね指・ドケルバン病などの腱鞘炎、手根管症候群、母指CM関節症がよく知られています。

 

女性ホルモンが減少する産後や授乳期にも発症する

 この病気は、更年期の女性だけではなく、女性ホルモンの大きな変動(減少)が起こる産後・授乳期にも、同様に手指にしびれや痛み、こわばりが起こることが報告されており、更年期の女性と同様にエストロゲンの分泌低下がこの病態に深く関与しているものと思われます。

 

治療には対症療法、そしてホルモン補充療法も

 対処療法には腫れ・痛み・しびれのある部位の安静と固定(テーピング)や服薬(鎮痛剤、漢方薬、ステロイド剤の関節内注射など)があります。また、年齢や閉経後からの年数、手の関節以外の更年期症状の有無を調べ、有効なホルモン補充療法を開始すると関節症状の緩和に役立つという報告もあり、期待されています。

 手指が大きく変形し、日常生活に困るような場合には、手術を行うこともありますが、早めの受診と治療開始が大切です。