https://togetter.com/li/1370630

 

ふと眺めてたらtogetterでこんなまとめがありました。

 

大体は否定的な意見で研究なんて効率化できるわけがない(効率が悪いのが研究の本質であると)とのコメントです。

 

とは言っても

https://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je02/pdf/wp-je02-00302-04.pdf

 

日本の投資に対する研究の効率はものすごく悪いんですよね笑

ここで言っている効率化は費用対効果の問題やoutputの質のことだと思います。

私も研究業界にいて色々思うことはたくさんありまして結構改善できるのではとは思っています。

 

研究費の取り方

 

まず、研究も資金がないとやっていけません。

研究費は基礎科学の場合は科研費がほぼ唯一の財源になります。

取り方は簡単で書類にやりたいことを書いて申請するだけです笑

 

そこに書かれた科学的意義、(個人の能力を含めた)実現性、オリジナリティなどを認められると晴れてお金がもらえます。

あまり奇抜なことは好まれず、これまでの実績をベースに評価される感じです(そういうとこやで)。

欲しいといったお金と実際にもらえるお金の割合は大体7割くらい。

 

この科研費ですが根本的な欠陥を抱えていて、基本的には「使い切り」です。

なので年度末にパソコンを新調したり、不必要な出張を入れたりと何かと無駄遣いをします。

 

要は「金が先、中身があと」なのが日本の研究システムなのです。

そして、アウトプットに関しては特に何も言われることはないので

肝心の中身は書類に書かれていることとは違うことをやっている人もいます(私です)。

 

このシステムがまず研究を効率悪くしている一要因だと思います。

研究の方向性

 

以前いた分野では定期的にアメリカ、ヨーロッパのコミュニティが今後10年どういう指針で研究を進めるかというレポートが作成されます。

それを見て「あのプロジェクトはぽしゃったのか」とか「海外はこういうのやるんだな」みたいなことを考えます。

 

アメリカと見てると結構厳しくて一度レポートが出されて方針が決まると「プロジェクトそのものが消えた」みたいなことは結構あります。

(もちろん、その人たちが露頭に迷うことはなく、本筋プロジェクトに組み込まれたりします)

お金を取るにしても「本筋プロジェクトに関連しないとお金取れない」ということも普通にあります。

ただし、そういうところはお金がたくさんありますので職もいっぱいあります。

ポスドクも職があるところに結構フレキシブルに動きますし、まあ向こうは学生もお金もらってますので割と普通に他の研究員と同じようにデューティワークをこなしていきます。

個人の発想の自由は少なくはなりますが、究極的に知りたいこと自体は皆一緒なのでそれなりにみんなハッピーにはなります。

 

一方今いる分野ではそういう戦略はありません(もちろん偉い人はちゃんと考えてますが全コミュニティに浸透はしていません)

めちゃくちゃ上段に構えたテーマを書いているけれどそのテーマと研究内容があんまり関係ないとか、これやって何したいんだろうという研究はいっぱいでてきてしまいます笑

言い方は悪いですが「論文を書くための研究」が量産されます。

 

各々が思うように研究を進めているので「ぼくがかんがえたさいきょうのけんきゅう」みたいな研究が量産されるわけです。

冷静に考えてみると「お前の最強なんてどうでもいいんだよ。世界が認める最強を作れよ」です笑

 

もちろん、研究には偶然性が伴うので一概に方向性を決めなさいとは言い切れない部分はありますが程度問題はあります。

テーマが明確になるほどその研究の位置づけも外部からわかりやすくなりますし、探索範囲も狭くなるわけです。

 

身近な例で例えると研究の目標が「スーパーでのコーラの売り上げを伸ばしたい」みたいなトピックだったとする。

 

「他店のコーラの売り上げ」「ソーダの売り上げ」「他店でのソーダとコーラの売り上げの比較」などはまああり得る話ですし、

「顧客のコーラの嗜好性について」とか「コーラとソーダの成分の比較」みたいな切り口で調べてもまあわかる。

 

ところが中には「スーパーで売っているお惣菜の種類について」とか「都内在住30歳独身男性が16:00-17:00の間にコーラとソーダを両方買う人の割合」みたいな研究をする人もいます。

前者も後者も他との関連性で役に立つ場合はありますが、それ単体ではあまり意味をなさなくて全体の流れの中で意味を持つ。

それなのに「いや、コーラとソーダ両方買う人が重要なんだ」と言われても「はあ?」となってしまうでしょう。

 

こういう研究はごまんとあります笑。

でも研究では何が起こるかわからないからこのアプローチを許容しなさいと主張しているわけです。

 

効率が悪くなるのは当たり前ですよね。

もう少し戦略的なアプローチをとるともう少し改善できるのではと思います。

 

学問の世界ではこう言った戦略的なアプローチがあまりにもいい加減な感じがあります。

研究の協力体制

 

若干研究の方向性とも関連するんですが、

同じような研究を言葉を変えてやっていたり、違う分野ではもっと効率的なものを愚直にやってたり間違ったことやっているなんてことも結構見かけます。

原因は「コミュニケーション不足」と「住み分け戦略の不在」です。

 

大きなテーマに取り組んでいる場合大体研究が似通ってきます(人間の能力はそんなに変わらないです)。

海外ですでに存在するチームに日本人だけで立ち向かっても勝てないとかは往々にあります。

そう言った時に(限って)正攻法で攻めていく人が多い。対戦時の日本軍と同じじゃないか。。。

ニッチを狙うとか、切り込み方を帰るとか、もう少し工夫してアプローチをとる必要があると思います。

 

大体どの分野でも似たような問題を抱えていることは多いのでちゃんと協力を仰いだらいいのですが

プライドが邪魔をしたり、仲が悪いとかイニシアチブがとか見たいなことがあって協力体制が整わないことも往々にして見てきました。

 

物理方面では業績を残した"個人"が一番偉いという雰囲気が漂っているのでどうしても協力を嫌う人がいます。

あなたのその程度の研究では偉い賞なんてとれませんよと言いたいですが、そこにこだわる人が多いのも事実。。。

 

何か名誉みたいなことを追い求めちゃうとろくな研究にはなりません。

 

ノーベル賞をとった人やとりそうな人を何人か知っていますが皆さん科学に対してはとても謙虚です。

そもそもノーベル賞とろうと思って論文書いているのであれば勘違いも甚だしい笑

ですが、分野が分野ですしそういう野望を持って研究している人は結構見かけます。

 

大半の研究者なんて二流三流なんですし、最終的なゴールが同じなら誰がやってもそう変わらんのですから

(だからこそ、イニシアチブとって偉くなりたいんでしょうね)仲良くやりましょうよ。。。

 

研究の実行性

 

生物系ポスドクでは「ピペド=ピペット奴隷」なる言葉があるように研究者の一部はテクニシャン的な一面を持ってしまっています。

我々の業界でも「サイエンティスト」や「物理学者」でなく「テクニシャン=技術作業者」や「エンジニア=技術者」に陥っている場合も多いです。

 

まあそれなりに人件費の削減にもなりますしものづくりや実験自体は楽しい。

もちろんそのプロセスの確立に時間がかかることは理解できますしやりがいもある。

しかし、高級取りの研究者にそういうことをやらせるならバイトや技術者を雇って他のことをしてもらったほうが双方幸せです。

 

こう言った感じの便利な機械も開発されているわけですし、あえて人海戦術をやらなくてもいい気はします。

https://shingi.jst.go.jp/var/rev0/0001/0988/2020_nims_2.pdf

 

最新の装置がないというのもあるのですが大学ってやたらと伝統的な方法でやらせたがるんですよね笑

(まあプリミティブなぶんそのほうが理解が深まって教育的にいいこともあるんですが)

 

研究者になっても「ただの作業」を重点的にやらせている研究については効率化は可能かと思います。

 

まとめ

言い方は悪いですがビジネスやってる人だった不確実性の中で生きてるわけですよ。

そして失敗すると身が滅びるわけです。研究では失敗しても身が滅びないのでそりゃ必死に改善しようとはならないでしょう。

研究の効率化ができないというのもちょっと傲慢すぎる気はします。

もちろんいい加減な組織はたくさんありますが、研究費は皆さんの税金で賄われてるわけなので

使い道や研究戦略などは普通の方にも明確に説明できるような研究をして欲しいものです。

 

 

ポスドク問題の原因の一つに博士を雇うことに民間で抵抗感があるいうのが挙げられます。

今回は博士課程は使えるのかどうかです。

企業の求める博士人材

博士が使えるのかと言われた時にどういう意味で使えるのかを知らないといけません。

この資料曰く以下のような人材を欲しているようです。

https://www.nier.go.jp/koutou/pdf/siteitouron.pdf

 

  1. 課題を発見し、解決する力 
  2. グローバルな視点とリーダーシップ
  3. 幅広い教養と高い倫理観 
  4. 高度な専門知識 
  5. 全体を俯瞰する力 
  6. 競争を勝ち抜く強い意志 
  7. 市場ニーズを感じ取る知性と感性 
  8. 自ら学ぼうとする強い意欲

全部できるのはスーパーマンなのでこのうちどこかマッチングしたら使える人材だと思うことにします。

で現在の博士課程でこれらが育つシステムをもつかどうかで使えるかどうかが決まるとは思います。

 

独断と偏見で星5つを満点として現状を評価してみます。

(私研究グループとしては3つくらい所属して来てその中での感想です)

 

1. 課題を発見し、解決する力 : ⭐︎⭐︎

これは「どのレベルを課題と思っているか」で変わって来ます。

例えばプログラミングのバグ取りでも「課題=問題を発見し解決する能力」です。

多くの博士課程はこう言った「トラブル処理」のような現場能力はかなり多くの人が持っていると思います。

ある意味トラブル処理や困ったことの解決が研究そのものであることも多いです。

 

しかしプロジェクト立案とか新しい実験系の構築みたいなレベルになると

多くの研究テーマは指導教員から与えられて発展させていくものなのでできる人はあまり多くないのではと思います。

これができる人は研究でも能力が高い方だと思います笑

 

2. グローバルな視点とリーダーシップ:⭐︎⭐︎⭐︎

グローバルという点ではどんな学生でも英語は話せるようになっている印象を受けます。

人によりますが下手なりに話しているのでコミュニケーションという点では高めだと思います。

 

リーダーシップはその定義にもよりますが人を巻き込んでやるという点においてはあまり高くありません。

そもそも個人個人でテーマがある訳なので笑

大体において仲間うちでの共同研究になっていることが多くビジネス的な発展はそこまでありません。

 

とはいいつつそういう大きな枠組みの共同研究を促進している人はしていて

そういう共同研究ワークショップに参加したことがあっていろいろ情報交換はしたのですが

学生に共同研究するかなんていう権限は与えられていないので(実験するにもお金がかかります)無理でした笑

 

3.幅広い教養と高い倫理観 :⭐︎

まず、幅広い教養を博士課程に求めている時点で間違っています。彼らは得てして狭い専門知識しか持たぬ人々です。

研究不正は私の間近でもありますし、成果の横取りもこの前聞きましたし、研究費の怪しい使用も結構見聞きします笑

研究者は大体において人間性とのトレードオフで研究者になっているのでこれも期待してはいけません。

 

4. 高度な専門知識:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

これは高度すぎる専門知識が得られます笑

 

5.全体を俯瞰する力:⭐︎⭐︎⭐︎

これは高度な専門知識と相反する力なのでなんともいえないですが、業界でのトレンドを把握しているとか、自分の研究の立ち位置みたいなのはないと論文が書けないのでそのレベルの俯瞰力はあるとは思いますが苦手な人も多くいます。

業界自体のトレンドとなるとそんなものを見ると(基礎科学)はお先真っ暗でしかないことは見えているのでこの能力が高い人はそもそも博士にならないです笑

 

6.競争を勝ち抜く強い意志:⭐︎⭐︎ 

分野にもよりますが競争を嫌う部分は結構あると思います。

自分とその周りしかできないものを構築したがる人が多いです(それが専門家である訳ですし)。

競争があるのは明確なゴールが決まっている分野であってそれ以外はあまり競争心自体がないと思います。

(例えばホンソメワケベラの生態系を理解するために競争しますか?って話です)

もちろん業績の勝負とかはありますが違うベクトルの方向で勝負しようとしている感じはあります。

 

7.市場ニーズを感じ取る知性と感性:⭐︎

そんなものあったら博士課程に行きません笑

研究の場では「役に立たない」ことに誇りを持っちゃう節があります笑

 

ただ、業界の流行りに敏感かどうかという点では能力がある人もいてそれは研究分野によります。

6.7は相関していて、競争が激しい分野ではこの能力も育つのかと。

 

8.自ら学ぼうとする強い意欲:⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

これは得てして高いですが、基本は興味の赴くままです。

 

 

ハマれば使える博士たち

こう書き連ねていると

  1. (条件付き)課題を発見し、解決する力
  2. 高度な専門知識 
  3. (条件付き)自ら学ぼうとする強い意欲
  4. グローバルな視点

が共通の博士人材の強みなようです。

 

​​この感じだと専門知識と学ぶ意欲の方向性がマッチしさえすれば"使える博士人材"な訳ですが、

そうでない限り使えない人材というか"使いにくい人材"、”使い所が限られる人材”ですね。

業界に染まってしまえばその業界の全体を見る力などは持ってるので「染まりやすさ」が重要なんだと思います。

 

と言っても専門知識においても博士学生と企業側でもミスマッチがあると思われます。

博士の知識をスカイツリーを例にとると

研究者の知識は「スカイツリーの展望台の足元から覗く窓ガラスをうまく作る方法」で

俯瞰力は「それ以外の窓ガラス製作方法との違い」や「その他の窓ガラスの製作方法との違い」の範囲であって

課題解決力も「窓ガラスの組成を〇〇に変えたらうまくいくことがわかった」の程度です。

とは言ってもスカイツリーに貢献していることは確かで、スカイツリー作ったとするのは間違いじゃない。

 

企業は「スカイツリー」について詳しいと思っているのでもうミスマッチも甚だしい笑

(このミスマッチは研究室に入る学生と研究室でも結構あると思われます)

ですので専門性を生かしたいなら窓ガラス屋さんと出会う必要があります。

専門性を生かせる就職したい人は「マッチング」を意識する必要がありそうです。

 

もちろん私のようなポンコツ博士も一定数いますが、
じゃあ博士は使えない人材なんだろうかと言われると決してそうではないとは思います。
 
なんだかんだで5年相当の技術力やそれなりの強度のストレス下で働いた耐性はついています。
若者の成長曲線が急峻な会社(圧倒的成長笑)以外はそこまで対し能力的には変わらないとは思います。
 

使い方によって使える博士たち

先に書いたように博士人材は使いどころが限られていて”使い辛い人材"ではありますが、

使う側さえ慣れてしまえば”使える人材”ではあると思います。

 

博士卒の人の最大の欠点は(私も含めて)パフォーマンスがモチベーションに依存しているところだと思います。

研究は霞を食って生きてるような人々なのでモチベーションが全ての原動力です。

また自分の興味の赴くままではあるので、あまり放置しすぎるとあらぬ方向へ行ってしまったりする笑

 

ですのでモチベーションの保たせ方や管理の仕方次第ではよく働くいい人材だと思います。

 

転職サイトをで話を聞いているとベンチャー周りでの就職は結構多いです。

研究者はこういう小回りが効いて、ある程度夢のある話だと食いつきがよろしいですし笑

冷静にみているとベンチャーの社長にいいように使われている感じはありますがウィンウィンならOKかなと。
 

ハマらなくても使える博士たち

別記事で書きましたが、分野や研究室で博士号のクオリティはかなり変わってきます。

そういうところでは上の4点に加えて

  1. (広い意味で)課題を発見し、解決する力 

  2. 全体を俯瞰する力 

  3. リーダーシップ

  4. 競争を勝ち抜く強い意志 

  5. 市場ニーズを感じ取る知性と感性 

がブレンドされているという訳ですね。

この5つの資質は研究室依存だったり、そもそもの資質として持っている場合が多いかと。

そういう人間がアカデミアに多いのであればアカデミアから探すのはアリかとも思いますが、

そういう人間はビジネスに限らずアカデミアでもすでに活躍してます笑

 

やっぱり使えない博士たち

よくよく考えてみると長いこと同じ場所にいるメリットは
  1. 文化に馴染んでいる
  2. 業界の専門知識を知っている
  3. 関連する人の特性知っている
  4. その会社の特殊事情/技法を知っている
2.4.に関しては博士卒は新卒と比較して比較的短時間で習得できる可能性が高い。
1. は メリット/デメリット双方あって、上層部は文化を変えたいと思っているけれど現場はそうでないとかもある。
そうすると3.の人間関係資産が一番大きなネックかと思います(これ研究の世界でもそうなんですけどね笑)。
 
日本企業よりの文化だと3.が最も重要なのはここ1-2年で学びました笑
ちゃんと尊敬した態度で恭しく接しないといじけちゃう人は結構いて、その関係に失敗すると1,2,4を教えてくれないんですよね笑
そういう意味で今の段階ではウェットな日本文化に慣れ親しんでいるか、もしくは俗人化があまりない企業である必要があると思います。
 
将来的には俗人化は社会の方ではそのうちなくなると信じたいですし、手法の標準化は進んでくれると思います。
一方でアカデミアの方はしばらく俗人化したままでしょう(それが専門家なわけですから)、
 
もう完全にミスマッチです。
いつも思うんですが、アカデミアの世界の感覚は20年くらい遅いんですよ笑
 
結局企業就職での問題は人間関係におけるミスマッチであり、
「社風」ということばがあるようにまあそういう特性の人間がアカデミアにいるんだと思います。
出ていく人間もそもそもそういうアカデミアの「社風」が合わないから出ていくわけで、多分そういう人は活躍してるんじゃないでしょうか?
問題はアカデミアの「社風」にマッチしてしまった人ですね。これは他でマッチするところもあまりないんじゃないでしょうか
そういう特性と合わない人間を無理やり民間に出しても双方不幸ですし。
 
結局は業種と特性の掛け算でマッチングはものすごく低くなり、結局博士は使いにくくなるのかなあと感じました。
 
 

博士課程からの就職先の一番身近なものがポスドクだと思います。

博士課程の人であれば周りに何人かいると思いますが、今一度ポスドクの事情の確認です。

ポスドクとは

正式名称Post Doctral fellowです。博士とった後の人ってことです。

ポスドクという名前以外にも特任助教という名前もありますが、ちょっとランクが上なだけでこちらもポスドク。

2−3年の任期付きであることがほとんどで、お金の出どころで待遇は様々です。

パーマネントと呼ばれる終身雇用を目指して大体の研究者は職を求めて世界中を彷徨います。

 

ポスドク問題とは

海外ではポスドクはとても一般的なのですが

日本の終身雇用な制度ではキャリアを築きにくいため、

ニッチもサッチも行かなくなる人が現れ、高学歴ワープアを量産してしまう問題です。

https://docoic.com/54546

 

ポスドクのポスト事情

私は実験系にいるのですが、ほとんどの実験は人手不足です。
また、それなりにお金をとっている先生方がそれなりにいらっしゃるので相談すれば雇ってもらえたりします。
ですのでこだわりを持たなければポストはまあまああります。
 
同じ研究を続けたいとこだわりを持つ場合は完全に業界の規模にもよります。
科研費ベースのポスドクですので、科研費の期間とか科研費を持ってる先生が何人いるかに依存して同じ研究が続けられるかどうかが決まります。
ただし、長いこと同じ場所にいると業界での評価は(言いにせよ、悪いにせよ)定まった状態なわけなので笑
歳を取るごとにだんだんとポストには通りにくくなっているとはおもいます。
 
 
一方理論系の方はやはり狭き道のようです。
そもそも理論系だと研究費がそこまでいらないので大きな科研費を取らないというのもあり、雇われポスドクもそこまで多くない。ですので一つの研究員のポストに100人以上の応募があるのは結構あるそうです。
無給ポスドクというのも一定数いるようで非常勤や塾講をやって食い扶持を稼いでいるようです。
 
奨励金もありますが日本国内での特別研究員制度はそこまで多くはないです。
また、分野や研究内容が割と決められてしまうので自由に研究ができるのは学振PDしかなかったりします。
 

ポスドクの給料事情

分野にもよるかと思いますが、良心的なところはおおよそ学振PD研究員に準拠しているように思います。

月々365000円で年収440万程度。いいところになると600万程度ですね。

30歳の平均年収は436万だそうですので、実はそこまでひどいわけではない。

大体周りが東大とか京大ばかりなので低く感じるのです。

 

ただし、あくまで”良心的な”ところの話であってそうでないものもたくさんあります。

話を聞いたものだとは理論系のポストで"月20万"という学振DC並みの給料のところとか。

また、先に出た例でこだわりを持ってやりたいがために10万の給料でやっている研究員もおります。

 

海外でも大体一緒です。

ちなみに日本の海外学振で行くと現地での最低賃金を超えないという笑えない状況もあったり笑

なので海外に行ってできるだけ現地で雇ってもらえとアドバイスをされます。

給料の差はあれど生活感は大体日本と同じ程度だと思います。

 

助教の給料事情

助教については大学の資料を読んでいると詳細に決められているので調べたら出て来て

大体450-600万だそう。

https://heikinnenshu.jp/komuin/jokyo.html

 

なんと(良心的な)ポスドクと大して変わらんのですね。

(ただし、雇用が保証されているという点は圧倒的な差ですけどね)

 

ちなみに工学系などは場所によってはそもそも博士課程が少ないため、博士に進むと自動的にポストにつけたりとか

教育が重視されるようなところでも博士に進むともれなくポストがあったりするところもあるようで分野などによっては色々と勝手が異なるようです。

 

ポスドク問題事情

こう見ると一概に「ポスドク問題」と言われてもなーという気もしています。

 

確かに学振DC20万やPD36万は少ないといえばそうですし30年額が変わってないので相対的に貧乏になっている笑

ただ、私は親父に「ろくに稼いでもないのに20万は贅沢だ」とよく言われましたし(確かにそうだと思います)

実際に手取りが私と同じくらいの高校の同期もおりました。

今だってコロナで実験も仕事できなくてもお給料は減ることもないんです。

ですので、今現在においてそこまで酷い扱いだとは思わんのです。

 

言い方は悪いですが「文句があるんだったらやめたらいい」んです笑

(私は文句があるのでやめようと思ってるわけで笑)

 

給料がもらえないんだったら給料もらえる所に行けばいいわけですし10万しかもらえなくても満足だったらそれでいいんです。

それがそもそものポスドクのあり方であると思うんです。
 

しかしながらそれを阻む要素があるのも事実で
https://www.nier.go.jp/kougakureki/kougakureki.htm

にも書いてあるんですが、

 

自然科学の業界(特に物理)ですとそこそこ難しいことをやって来たというプライドもあるため、

多分野への転向や就職を"負け"とか”能力不足"とみなす傾向が強かったり、

ポスドク自体に受かること自体が難しいのでそれ自体が能力の証みたいに捉えられてしまったりで

なかなかやめられない要素があるのは確かです。

 

進退極まってしまった時にそこらの愛憎入り混じった複雑な感情をどこに向けるかとなった時に

自分の判断の遅さや能力を棚に上げて、環境そのものに文句を言いいたくなってしまうのだと感じでいます。

 

ポスドク問題の根本は承認欲求や人事評価、キャリアパスのパス自体の問題であって「窓際おじさん」とある意味似ているとさえ感じています。

かれらも「能力と自己評価の不一致」だったり「キャリアパスから外れた」ところだったりそれゆえの承認欲求不全におちいっていて転職する気がなかったりで根本は同じですよね。

 

正しいマインドセットと本当に能力があるんだったらどこでもやっていけるはずなんですが

その辺の話はまた後日。

 

 

ちょっと古いデータですが

https://www.nistep.go.jp/sti_indicator/2016/RM251_34.html

 

グラフの作り方が全然いけてないことはとりあえず置いておいて、日本の博士の約4割は「医学博士」なんです。

医学博士は苦労してph.D.をとった人間からすると結構ナメたレベルの研究らしいのですが、とる理由も「ハクがつくから」だそう。。。

 

彼らのほとんどはそのまま病院なり、開業なりするので残りの6割についてです。

グラフで見ると大体30%が工学博士、残り30%を理学博士、農学博士、文系博士で分け合うくらいですかな。

おそらく工学博士の半分くらいは社会人博士だと思うのでポスドク問題は博士のうちの約45%くらいですか。。。

 

大変失礼なんですが私理学博士にとって工学で博士過程に進学するひとの気持ちがあまりわからんのですよね笑

世の中の技術的な研究は大学よりも企業の方が多いはずで、工学系で残るメリットがそこまでないと思うのです。

いったん社会人になった後出戻りしてる方もたくさんいますし社会人博士もたくさんいるわけでキャリアパスとしては様々な選択肢があるわけです。

 

理学博士は文系博士と似たような状況だと思うんですが「博士課程までいかないとまともな研究ができない」という切実な事情があります。私が博士に行ったのもその辺が一番の理由だったりします笑

修士は試験があるのですが、修士から博士は基本的にはフリーパスです。

M1の冬に就活が始まるので研究して一年も立たないうちに博士に行くか就職するかどうかを決めないといけないのです。

ですので博士に行くか迷っている人はよほど最初の方で挫折した人でない限り博士に進む人が多い印象です。

 

 

海外の博士学生は教員からお給料が出るのが普通です。

最近は日本でも一部の人はお給料が出るようになりましたが

基本的には日本ではお金を払って教員への滅私奉公をします。

私の大学は学振をとると授業料も免除でしたのでそこまでそんな気分ではなかったですが、

学振取れてなかったら確実にやめてます笑

 

学振は月20万、税金取られますので手取りは生活保護と同程度です笑

しかも、学振取れなかった人はお金を払いながら研究します。理不尽。

 

博士と修士でやることの中身の違いはぶっちゃけあんまり変わりませんが、

流石に修士と博士で差を出さないといけないわけで突然「博士だったら〇〇くらいできないと」みたいなことを言われたりします笑

この辺は学生もあまり理解してない部分だと思いますし、教員側も暗に言わないところです。

正直具体的に何かなんてのも教員側も学生もわかってませんがなんか感覚的なものはある笑

それでそのままD3になって「このままでは学位はやれん」みたいな悲劇が時たま起きるわけです。理不尽。

 

そんなこんなでD3になって博士論文を書くと晴れて博士号がもらえます。

博士論文は学校によってまちまちです。

日本語で良かったり英語じゃないとダメだったり、査読付き論文が〇〇本いったりするところもあれば某都内大学のように全く要らなかったりします。

博士号は分野や大学によってかなりクオリティが変わります。

 

 

最初記事にも書いたように私自身も若干流れでここまでやってきました。

先に書いたように博士学生、ポスドクになる方が心理的な障壁が低いですし、

今の子供のなりたい職業二位は研究者ですし、多くの人は小さい頃から研究者になりたいと思っている。

その道への誘惑は確かに抗えないものはあると思います。

 

そういう意味で

楽な決断の結果「ポスドクの吹き溜り」に流れ着いたわけです。吹き溜りの先にある穏やかな小川に憧れて。

 

じゃあそうなる前に「大人なんだから自分で考えなさい」というのもよくわかります。

ええそうですよ、ポスドク問題なんてそりゃあもう自己責任ですとも。

自ら進んで吹き溜りに行ってるわけですから。

 

吹き溜りは溜まっているから吹き溜りなわけでそこから元の流れに戻るのはほとんどなくて

吹き溜りから抜け出すにはどうしたら良いのか?と言われると多分方法はない笑
 

研究者はこの吹き溜りを国のせいにしたいわけです。

確かに吹き溜りへの流量を増やしたのは国であって、流れる先(ポスト)を作らなかったのがいけないと。

でも勢いのある流れであれば吹き溜りを超えて溢れていくはずなんです。

がそうはならなかったし、最近はその流れも少なくなってきた。

 

この業界にいると色々な理不尽でエネルギーを失われるのもわかります。

とはいえ吹き溜りの原因は研究者たちの「エネルギーのなさ」にも一因はあるんじゃないかと思っています。

 

そのへんの意識の問題はまた後日