―絶対惚けるなー
ぼける3つの条件は次の通り。
①友人が少ない。
②趣味がない。
③仕事人間。
三つ目の条件は望むと望まざるを問わず、定年と言う現実の前に消える。仕事が無くなるとその分脳が暇になることを意味する。脳機能は使えば使うほど活性化するが、逆になると退化する。それを補うのが趣味と交友になる。いずれも無いという最悪の事態は避けたい。
長寿社会になったということは、良いことだ。しかし、それと同時に、六十歳を過ぎたお年よりが90歳のお年寄りを介護する社会になったという現実もある。リンカーンの台詞を借りれば「老人の、老人による、老人のための介護」が出現している。ずいぶんすごい時代になったと思う。
だれでも、自分はボケたくないし、家族にもボケて欲しいとは思わない。現実には、どこの家庭でもこの問題に無関心でいられない。ところが、ボケ老人の介護に関しては、誰も教えてくれない。結局、自分で調べたり、失敗したりして初めて介護のことが少し分かるようになる。本当に深く知ることは非常に困難な状態である。
制度が変わり、環境が変わり、ボケの進行が進む中で、その時その時に最も大切な情報は、なかなか得られない。
ボケ老人とは自立的生活・自律的判断が不可能な老人をさす。2015年
の日本
では200万人に増加すると予測されている。
ボケ人間の周囲にいる人間の七症状(心理変化)は次の経過をたどる。
〈ボケ人間をかかえる家族のたどる心理的な7ステップ〉
①記憶障害に関する症状
それまでしっかりしていた肉親が、不可解な言動をするようになったことに対するとまどい。
②症状の出現強度に関する症状
否定・混乱、怒りを感じる。
③自己有利の症状
自分の不都合なことを、うまく言い逃れたりするのは、自己保存の本能に根ざすものと思われる。
(ボケに理解が無いと老人を低い人格の持ち主と考え、人間関係がうまくいかなくなる。)
④まだらぼけの症状
まだら呆けかどうか、確信できず、教え込んだり、叱ったり、遂には、老人を拒絶したくなる
(常識的な人だったら行わないような言動をしている場合は、これはボケの症状だと割り切る。)
⑤こだわりの症状
昔のことにこだわり、現実逃避に走る。現実を認識できない。
⑥感情残像の症状
ボケの年寄りは一般常識が通用する理性の世界から出てしまって、理性とは対極の感情が支配する世界に住んでいる、と考えられる。
(叱ったり、説得は逆効果。年寄りが穏やかな気持になれるように接することが一番。)
⑦ボケ症状の了解可能性に関する症状
怒ったりイライラするのは、自分に損だと思いはじめ、あきらめの境地に。本や 新聞からボケの情報を得て、ボケが次第に理解できるようになる。対応が上手に なってくる。
(知的機能が低下していることを考慮し、または赤ちゃんと同じと考えれば、ボケの症状は決して奇妙でも異常でもなく、理解できる状態になる。)
ボケ老人の心理を自分に投影できるようになり、あるがままの老人を受け入れるようになる。心から老人に優しく接することができる。ケアにゆとりがでてくる。
肉体的には元気なのに、思考能力・記憶能力が失われることは周囲の人間(特に家族)に精神的・労働的に想像もつかない負担をかけることになる。この人が聡明だった、思いやりの深かったあの人なのかと、家族に絶望感を与える。
家族に多大な迷惑を掛けないよう、ボケ防止に真剣に取組む。そのためには日々の努力が欠かせない。
DHAやEPAをしっかり含む魚と緑黄色野菜を中心に栄養のバランスのとれた食事を摂り続けている老人がボケないことがよくわかっている。
人間の下半身、両足の筋肉全体に血液がしっかりと循環しない限りはそこから上の方にある頭部、脳内には決して血液循環の上昇はないし、酸素も行き届かない。これがすべてにおいて、脳味噌が萎縮してしまう原因だ。
問題は足腰で、とくに下半身の筋肉が変形しないよう心がける。骨や関節を覆う筋肉の、血液循環を良くする。要するに、下半身をしっかりさせることが脳の萎縮進行も防げるはずだ。
脳の老化防止には、充分な栄養が大切である。脳は一瞬でもブドウ糖なしでは働けない。年齢とともに高血糖を気にし、甘いものを控える傾向があるが、逆に極端な低血糖は意識障害を起こし、脳の老化を早めることがある。
年をとると一度の食事で吸収できるエネルギー量が減り、低血糖になりやすくなる。砂糖は大切な脳のエネルギー源で、食事の合い間に上手に甘いものを摂るよう心がけたい。
作家の野坂昭如氏がTVの討論伴組で「あなたは惚けたら、どうするんですか?」と質問された。
野坂氏の回答。「惚けたら、惚けたことが判らないから、心配しないで良いんだ」
考え方としてはその通りだが、周囲に迷惑を掛けることを避けるには、極力健全な思考パターンを維持しながら生活できる環境がベターと言わざるを得ない。