―一年に一度は妻と旅行するー
親と過ごした時間、妻と家庭を持ち人生の最盛期を過ごした時間を比較すると、言うまでもなく後者が長い。
さらに、定年後は家族の中では妻と過ごす時間が最も増える。
最近の日経MJの調査結果によれば、団塊男性が一緒に国内旅行に行きたい人として配偶者を選択した割合は非常に高い。
「名所旧跡観光」「温泉・リゾート旅行」など旅行の目的別に見ても平均七一%を越える。現在のシニアと言われる60才代夫婦との比較において、一緒に行きたい割合が13ポイントも高いのが極めて特徴的である。
これは男性側の調査であり、これまで何十年にわたり苦労をかけてきた、ないしは後ろめたい気持ちの反動もあるとは思われる。
他方、団塊女性についても、一緒に行きたいとする割合は多少低くなるものの、「名所旧跡観光」「温泉・リゾート旅行」などの旅行目的では同様の傾向がある。
博報堂エルダービジネス推進室の調査では、定年後団塊世代が夫婦で楽しみたいことの一位は国内旅行(夫80%、妻68%)、二位は海外旅行(夫70%、妻64%)であり、他の項目に比べ旅行は圧倒的に多い。
秋、紅葉の季節に東北や北海道行きの航空機、新幹線に乗ると、多くのシニア女性の小グループに出会うことになるが、2007年以降は団塊カップルも多数見られるようになるものと想像される。特に、子供が独立し、親の介護問題もない団塊夫婦は、最も自由度が高く「旅行」についても極めて活発に動くものと思われる。
団塊夫婦が今後も良好な関係を維持するポイントの一つとして、夫側には「くれぐれも、お昼時に自分の箸を持って昼食が出てくるのを待たないこと」、妻側には「四〇年近く会社人間を務めてきた者がそんなに簡単に家庭人間に脱皮はできないはずで、そこは焦らず多少の猶予を与えること」を武蔵野市の団塊力レポートは助言している。
いずれにせよ、今から五年後には約三割の団塊世帯は夫婦のみの生活となるが、元来、夫婦の主従関係がなく友達感覚の夫婦が多いこの世代、夫婦間コミュニケーションの問題も上手く解決してしまう、というのは楽観的だろうか。
(財)ハイライフ研究所の調査によると、団塊夫婦が相談して決めたいことでは、リフォームに次いで、休日の過ごし方、旅行の行き先が挙げられており、「次の旅行、どこへ行くか」は重要な夫婦間協議マターになっている。
海外にせよ、国内にせよ、旅行は日常性から一時的に脱出させてくれることもあり、旅先においては家庭内より格段に夫婦間の会話も弾むはずである。
会話の主導権はあくまでも妻側に置くのが無難、自信のあるカップルは対等でも良い。日常生活では適度な距離を保つこと、旅行中はその距離をぐっと縮めることが大切であり、特に夫側からの「夫婦の絆を深めたい」との思いは妻より強い。
定年前後からスタートするとして、二人とも元気に旅行ができるのは長いようで意外と短い。
これまで見てきたような、ノスタルジックなもの、スローなもの、夫婦共通の趣味を目的とするもの、さらには若い頃の新鮮さを取り戻すような新婚旅行のリメイク(参考までに、結婚記念日を覚えている団塊夫婦は夫86%、妻75%)もある。
テーマをはっきり設定したツアーが団塊夫婦にとっては特に望ましく、一回一回の旅行を二人の思い出となるようなものにしたい。たまには思い切って贅沢な内容のツアーにするのもよいかもしれない。楽しいことは夫婦単位で実行するよう心がけたい。