レッズレディース、新潟戦観戦記、今後に思うこと | うらじょ

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浦和レッズレディース中心にはなりますけど
いろいろ好き勝手に書いてます。
よろしくですー


~たいへん遅くなりましたが、レポートします~



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〔プレナスなでしこリーグカップ2012 第3節〕

ー7月8日(日) 16:00キックオフー

*浦和駒場スタジアム/ 入場者数 2186人 

浦和レッズレディース 0-1 アルビレックス新潟レディース


得点; 47分久保田麻友

【浦和レッズレディース・メンバー】
GK/ 山郷のぞみ
DF/ 土橋優貴、高畑志帆、矢野喬子、堂園彩乃
MF/ 庭田亜樹子(59分藤田のぞみ)、柳田美幸、柴田華絵(87分加藤千佳)

FW/ 後藤三知、荒川恵理子(73分泊志穂)、吉良知夏(82分岸川奈津希)

SUB/ GK池田咲紀子

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【アルビレックス新潟レディース・メンバー】
GK/ 大友麻衣子
DF/ 若林美里、北原佳奈、中村楓、平井咲奈

MF/ 佐伯彩、川村優理、上尾野辺めぐみ、斎藤友里、山崎円美(65分MF児玉桂子)

FW/ 久保田麻友(90+1分DF東山真依子)
SUB/ GK一谷朋子、DF山本亜里奈、MF中村早樹


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(久保田と上尾野辺の2トップで始動しますが、実際は上尾野辺がトップ下で動き回り、久保田が1トップの様子が多かったので上図にしました。)




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【試合経過】

※時間は手時計目安なので、アバウトです。現地で見た瞬間を記したものですので、実際と合致しているかは不確かです。ご了承くださいませ。(覚えのあるかぎり記しておきます。)


前半5分、新潟

浦和PA(ペナルティエリア)前から戻して、MF上尾野辺がシュート→GK山郷が正面でキャッチ。


8分、新潟

左から持ち上がり、最後はMF山崎がロングシュート→ゴール左外へ大きく逸れる。


22分、新潟

MF佐伯がPA内へドリブルで切り込んで行くが、DF矢野が付いてボールはゴールラインを割る。


24分、新潟

PA前から、上尾野辺、MF斎藤が立て続けにシュートを放つが、いずれも浦和DFがブロックして対応。


27分、新潟

MF川村のロングシュートは、ゴール枠上へ外れる。


35分、ようやく浦和

左MF後藤がサイドを突破し、新潟ゴール前へクロスを上げる→MF柴田がファーにフリーで入って来るが、新潟DFにカットされゴールチャンスに至らず。


40分、新潟

山崎が浦和陣内でボールを奪取し、左からシュート→DF土橋に当たり、GK山郷キャッチ。


41分、浦和

左サイドで、後藤がDF若林と競り合いコーナーキック(CK)を獲得。

42分、浦和

その左CKをキッカーMF庭田がゴール前へ蹴り上げると、FW荒川が新潟DFの背後からうまくヘッドを合わせるが、ボールは惜しくもゴール右ポスト外へと外れる。




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後半2分、新潟

川村のグラウンダーのスルーパスに、受けたFW久保田が、浦和陣内の中央を完全に抜け出し、GK山郷と1対1→久保田は左隅へ流し込みゴールが決まる、新潟先制。

新潟1-0浦和


3分、浦和

反撃に出て、右サイド土橋が持ち上がってクロス→PA前後方から、FW吉良?がシュートも枠上へ外れる。


8分、新潟

DF平井が浦和陣内でボールカットし、ミドルシュート→山郷が正面でキャッチ。


11分、新潟

佐伯に中央を突破され、右でフリーの山崎に渡りシュートも、ゴール左外へ外れる。

浦和、失点のピンチの場面。


13分、浦和

左からの後藤のスローイン→荒川がPA内で受けてシュートも、新潟DFに当たり?枠上に外れる。

浦和のCKに。


16分、浦和

右からMF柴田→右サイドを上がって来た土橋に渡しクロス→ゴール前で吉良がダイビングヘッドを当てるが、枠上へ外れる。惜しい場面。


22分、浦和

ゴールへ約30~35m中央の位置から、DF矢野がフリーキック(FA)→枠上を大きく外れる。


23分、新潟

浦和が自陣でマイボールロストを2度3度と繰り返し不安定、右から佐伯に鋭いミドルを撃たれる。→ゴー―ル右上をかすめ外れる。


27分、新潟

佐伯が浦和左DF堂園を交わして、一気に前線へ持ち上がり、ゴール前へのクロス→久保田が受けてシュートは力なく山郷が正面で対応。


32分、浦和

途中交代で入ったFW泊が、PA脇左で新潟DFと競り合い→交わすと、左からPA内へ侵入→追いすがるDF?に横倒しにされるも、プレーは続行される。


38分、浦和

泊がPA前左でDF北原と激しくぶつかり合い顔面を強打。北原にイエロー提示。

浦和はFKのチャンスを得るが、キッカー堂園?のキックインは、直接GKに届いてしまいチャンスを逸する。


その後は互いにゴールチャンスもなく、新潟がボールキープ見せ試合終了。




~試合開始序盤、左からの攻撃が目立つ新潟。

新潟が、前に当てて戻し展開しようとする攻撃、サイドを使って来るところを、右SB土橋をはじめ浦和DF陣がしっかり対応し、大きな決定機を与えず。

しかし、新潟が前から来るアグレッシブな攻勢に、浦和はその応戦に終始した前半。

序盤からのほとんどを、浦和陣内に留められる状況が続く。


浦和は、右MF柴田がサイドから起点となり、新潟左サイドの裏を突く狙いを度々みせるが、反撃への突破口へは至らず。

前半終盤にようやく、左MF後藤が左サイドからチャンスをつくり、初CK獲得からFW荒川のヘディングシュートが、試合を通じてもっとも惜しいシュートチャンスとなる。


後半キックオフから、浦和は明らかに、全体が前から挑んでいく姿勢を見せ始めた矢先。

すぐさま新潟に、前掛かりになった裏を突かれ、中央をFW久保田に突破され、あっさり先制を許してしまう。


反撃に攻勢をかける浦和、相手陣に入ることが前半より多くなり、徐々にボールへの寄せも早くなるが、新潟の
WボランチからDFの牙城は依然固く、攻めあぐねる時間が多くなっていく。

後半の経過につれ出足が衰え始めた浦和。前半同様に、新潟の浦和陣内でのプレスが効力を発揮する。

浦和は自陣でのパスミスが多く目立ち、堅守から速攻を仕掛ける新潟の戦術にはまり、再三ゴール前を脅かされるが、シュートミスに助けられる場面もあり、なんとか難を凌いでいく。


後半30分前、FW荒川に代わり、なでしこリーグ初出場となる新人FW泊の登場に、現状を打破してくれる期待が高まり、応援のボルテージも上がる浦和駒場スタジアム。

得意の左前オープンスペースに出て、チャンスメイクを試み湧かせるが、決定機には至れず。


浦和のセンタリングをほぼ完璧に跳ね返し続け、最後は時間をじゅうぶんに費やしながら勝利の執念をみせた新潟が、リニューアル駒場のこけら落としを制しました。





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【新潟について】

センターラインがしっかり確立されている印象が強いです。

守備面では、浦和のFW荒川選手のくさびに対し、出足良く食い止め続け仕事をさせなかった等フィジカルの強い活躍が目立ったDF北原選手と、1対1の強さと安定感のあるDF中村楓選手のセンターバックコンビが、浦和の攻撃を封じ切ったといえるでしょう。

また中盤では、MF川村選手が、全体のバランスを見つつ適所に動き回りながら、インタセプトと2ndボール奪取に長け、新潟の攻勢を司っていたでしょうか。

川村選手にMF斎藤選手のボランチコンビは、浦和が中盤から前線へ進めて行く先に立ちはだかり、前半から終始、中盤での優勢を掌握していました。


攻撃の面では、FW久保田選手のトップ下で縦横無尽に動き回り攻撃の起点をつくっていた、上尾野辺選手が目立ちました。サイドに追い詰められても容易にボール奪取を許さないキープ力は、対戦時にいつもながら感じさせる、強さがあります。


ほぼ1トップの役割として唯一のゴールを決めたFW久保田選手は、浦和の後列に対してのチェイシングを欠かしません。

この選手は日体大時代、何度か試合を見たことがあります。

日体大は、前半リトリートしながらも、できるだけ高い位置で相手に対峙して徐々にペースをつかみ、やがてポゼッションで上回り試合を有利に運べる、試合巧者のチームだという覚えがあります。

いまの新潟と似通ったところが多く、日体大でも1トップのエースとして活躍していたのが久保田選手でした。

役割としては、前からのチェイシング、トップで身体を張りくさびとなる強さ、そして少ないチャンスからでも1本のスルーパスでゴールを決めてしまう決定力があり、機会をうかがい何度も前に飛び出そうと試行する粘り強さがあります。

早稲田や吉備国際大といった強敵相手にずっと劣勢下でも、一瞬の隙をついた決定機をつくるシーンを目にしました。

今回、得点を挙げたのも、まさにそのプレイスタイルが生かされたからこそと、いえるでしょうか。


DFの北原選手(173cm)、中村楓選手(164cm)に、MFの川村選手(167cm)、斎藤選手(161cm)という、上背やフィジカルの強さを発揮する守備陣に、絶えず運動量のあるMF上尾野辺選手にFW久保田選手の攻撃の軸を要とする新潟、

ここに、戦線離脱中の得点力のあるFW菅沢選手とFW大石選手が復帰すれば、チームとしてさらなる成熟を遂げさらに手強くなりそうです。



【新潟の戦術の変遷】

以下は、昨年末の全日本女子選手権準々決勝で、浦和が新潟に初めての敗北を喫して以来、これまでの対戦でのフォーメーションの移り変わりを記したものです。※実際目の当たりにしてメモしてきたものです。



◆2011年12月23日:全日本女子準々決勝

浦和0-1新潟



-菅澤- -上尾野辺-
-上辻- -佐伯-
-川村- -阪口-
-山本- -口木-
-東山- -中村楓-
-大友--


※昨年暮、浦和、ベレーザを下し、元日決勝に勝ち上がったベストメンバー。上尾野辺選手をFWに、FWの口木選手をサイドバックに起用。



◆2012年3月下旬:千葉合同合宿・練習試合

浦和1-0新潟



-平井- -久保田-
-斎藤- -中村早-
-川村- -堀-
-山崎- -若林-
-中岡- -東山-
-大友--


※新人選手の久保田、若林選手の起用。高槻から移籍の中岡麻衣子選手をセンターバックとして起用。

後半には、平井、久保田選手らに代わって、FW菅澤選手が1トップに、大石、上尾野辺選手が左右の攻撃的な布陣となる。



◆2012年5月6日;なでしこリーグ第4節

浦和1-0新潟



 -久保田-
-平井- -山崎- -児玉- -斎藤-
 -川村-
-中村- -若林-
-北原- -東山-
 -大友-


※菅澤・大石・小原選手の故障、インフルエンザによる佐伯・上尾野辺選手の欠場、多くの主力を欠いた直後に浦和と対戦したスタメン。

川村選手をアンカーに置いた今までにないスタイル。




そして今回。

◆2012年7月9日;なでしこリーグ第4節
浦和1-0新潟



 -久保田-
 -上尾野辺-
-山崎- -佐伯-
-川村- -斎藤-
-平井- -若林-
-北原- -中村楓-


 -大友--





新潟は、特にサイドの上下の組み合わせが、バリエーション豊富であり、対戦のたびに違う組み合わせになっているのがわかります。

FW登録の選手をサイドバックに起用しているのが特徴で、全日本女子の時の口木選手の右サイドバック(SB)、練習試合での山崎選手の左SB(※今はDF登録)、今回のリーグカップ戦では、平井選手を左SBとして起用。

俊足と運動量を活かせる抜擢になっています。

今回の平井選手の場合は、前節ジェフ千葉戦では右SBだったのが左SBでの起用となり、浦和の攻撃の要である右からの攻撃を封じる対策だったでしょうか、効果的に機能し右MF柴田選手らの突破を容易に許していませんでした。


5月6日のリーグ戦では、荒川選手に付き切れずに決勝点を許したDF東山選手に代わって、今回は中村楓選手が北原選手とセンターバックを組み、荒川選手吉良選手のツートップの活躍は目立たず、零封に抑えました。

中盤の守備的な要であるMF川村選手とセンターバックが居並ぶ中央から、突破して得点を決めることは、今の浦和にとっては至難のワザかもしれません。

主力選手を欠き、どのような布陣であっても、浦和との最近の対戦は、すべて1-0で決着がついています。

新潟の各選手にとっては、互角以上に対応できる実感があり、自信を深めているでししょうか。

事前のスカウティングによる対策に優れ、戦術への共通理解が浸透している様子。浦和より強みを持ち合わせているぶん、有利な試合運びができている気がします。


※新潟の奥山監督、千葉の上村監督、伊賀の大嶽監督と、Jリーグで実戦を経てきた監督さんたちが、女子チームを数年継続して率いて来ています。

その間に辛抱強く土台からチームをつくり上げ、有望な選手を招き入れ、手強いチームへと変貌を遂げている、それでもまだまだ過程の段階にあると思えます。

なでしこ景気による一朝一夕によるものでは、決して強くはなれない、地道な今までがあるからこそでしょう。




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【浦和について】

前節の福岡戦同様に、縦に早くボールを動かして行こうとする意識は、選手個々には感じられました。
しかしながら、新潟の強いプレッシャーの前では、なかなか前に持ち運んで行くことができない。とくに前半は、ボールを奪い返しても、全体的に自陣に押し込まれているから、前に供給する選手の数が少ない、前線との距離が開いてしまっているという悪循環を繰り返す、そんな劣勢の状態が続いていました。


公式記録によれば、新潟の間接フリーキックがゼロとなっています。新潟が高い位置で張っていた時間が多かったにもかかわらず、浦和の前線がオフサイドになったとしても、DFラインを飛び出すチャンスさえ無く封じ込まれていたということになります。たしかにFW吉良選手が目立ちませんでしたし。

球際で強さを発揮できる選手が一人でも二人でも増えていかないかぎり、克服できない差があるのは明らかで、このままでは特に上位相手には限界が来ている、と言わざるをないかもしれません。
新潟の選手に競り負けてしまう場面は、対戦を経るたびに多くなって来ている気がします。


そんな中、右SBのベテラン土橋選手が、とくに後半に攻守に渡って動きよく上下し、チームの奮起を促していた様子がありました。

土橋選手は、今季のチームが不利な状況のときに、目立つ活躍があります。

献身的にチームを活性化させようとする、誰よりも運動量豊富な姿勢には、見習うべきファイティングスピリットを見る思いがあります。



・ボールは持てるが、相手のプレッシャーの前に、なかなか前へ運んで行くことができない。持たされている感じが、多々見受ける。

・今まで勝つことが出来ていた相手に苦戦がうかがえるようになり、なかなか勝ち点が奪えない。

・有能な準代表クラスの選手は多数在籍しており、戦力的には問題ないが。

・ほぼ固定されたメンバーが主力で、戦い方はどの対戦相手でも変化がうかがえず同じパターンであり、バリエーションに乏しい。

・そうなると、球際に弱い・気持ちを見せてほしい等の意見が必ず出て来る。


まるで少し前の、トップチームの状態に、よく似ている感じがします。

選手たちだって頑張っているだろうし、歯がゆく思っているところはあるでしょう。



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今は、選手によっては、サッカーが楽しくないかもしれません。

芳しくない結果のたびに、毎回、観客席に向かって頭を下げ、元気や自信も失いがちかもしれません。

リーグ戦優勝は首位と勝ち点差が開き、カップ戦も予選通過がほぼ難しくなり、これからどうモチベーションを上げて取り組んでいくかは、チームとしてしっかり確認してもらいたいところです。

選手たちは、ほとんどがプロ選手ではありませんし、何を目標としていくかは、ほんとに難しいと思います。


なでしこゴールという本に、こんな脳科学者の記述があります。

”脳の特徴から考えて、女性のほうが男性より得意なことのひとつは、仲間と共感しあうこと。男性は、自分がほしい成果を求めてのめりこむ傾向があるが、女性の多くは「みんなのために」がんばることが得意な傾向がある。そういったチームワークをひとりひとりが育てることは、プレーの面でも自分の役割を意識し、それに向かって努力するという気持ちにもつながる。”


昨年は優勝が遠のいていた後半戦、チームがリーグ2位になるという目標を掲げ快進撃につながっていました。

なでしこジャパンは、大震災の思いを背負って日本のために戦いW杯を制覇しました。


レッズレディースは、つぎにどんな変貌を遂げる大志を抱いていけるのか、

リーグ戦再開後に、きっと見せてくれると信じたいです。