東電マリーゼに思うこと、TASAKIのときを思い出して | うらじょ

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浦和レッズレディース中心にはなりますけど
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明日から延期されていたなでしこリーグ2011が開幕します。


しかし、世間的に鑑みても当然のことながら、リーグに所属する東京電力女子サッカー部マリーゼは、活動休止をとり今シーズンの参加を自粛しました。


休部の先、今後の活動については、7月になんらかの発表があるそうですが、いまだ原発が治まらない危機状況からの回避とあらゆる賠償責任に追われることになる東京電力に、女子サッカー部を顧みる余裕など無理だというのは、傍目でみて誰しもが思うところでしょう。

チームの移管先が見つかるのであればとても幸いなことでしょうが、被災された東日本に求めることはもちろん、関東近辺でもかなり難しい現状であることは間違いありません。




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2008年、なでしこリーグの一時代を築いたTASAKIペルーレが廃部しました。

TASAKI真珠が、1989年の創部以来女子サッカーの振興へ積極的に強化を図り、2003年にはリーグ優勝、国体優勝、全日本女子優勝(全女は2003年度、このときのメンバーには、現浦和レッズレディースの柳田美幸、土橋優貴がいます)の三冠を達成し栄華を誇った時期もありました。いまだこの記録を破ったチームはいません。


廃部となる深刻な経営危機に陥ったとき、同族会社であったTASAKI真珠に外的資本が入り経営参画すると整理対象となったのが、研修センターや寮などの社用地売却と、女子サッカー部だったのです。

ただこういった対象となるのは、女子サッカーにもちろん限らず、女子バレーやバスケットなどでも同様ですね。

「企業スポーツ」としての宿命ともいえるのでしょうか、終わりの時を迎える当事者となった選手たちにとっては堪らないでしょうが。


当時のTASAKIには、代表選手、準代表クラスの選手、これからを嘱望される選手が多数所属しており、リーグ機構側としても移管先を探すべく懸命に対処していた覚えがあります。

現在もリーグの総務主事である田口禎則氏が、奔走している様子を自ブログに経過報告をしていました。

リーグ参加年間経費4~5千万(←事情通の方に聞いた話です、間違ってたらごめんなさい)捻出できる移管先を、某傘下として取り付けるまでに至ったものの結局ご破算となり、TASAKIの移管先は消滅したらしいです。

苦渋の様子は田口氏のブログからもうかがえました。


TASAKIの場合、他チームへの移籍を積極的にあっせんしていた一方、引き続き社員としてサッカーを離れ残留する選択肢がありました。

多くの有力選手が他へ出て行く中、職場結婚され日本代表DFとして北京五輪ベスト4の中心選手であった池田浩美選手は残留を選び引退、同じく元代表のFW大谷未央選手も引退という、まだじゅうぶんに現役続行出来得る有力選手の名残惜しいこともありました。



まずは以上の過去のとおり、この震災前でさえ移管先が困難であったこと、選手たちに選択が迫られサッカーを辞めてしまうケースもあることを記しておきます。


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田口禎則・総務主事によれば、東電女子サッカー部は活動が全く行えず、今後は白紙で存続についての話もできていない状態とのこと。
ただ東電の社員であるマリーゼの選手たちは、報道によると他チームでのプレーを希望したいのであれば各クラブとも受け入れることも確認しているそうですが、しかし選手が移籍した場合の社員としての身分については、東電広報は「ケース・バイ・ケース」と曖昧な様子で応じています。


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(鮫島選手)


マリーゼには、なでしこジャパンの左サイドバックの正レギュラーとして活躍中である鮫島彩選手など、他にも代表候補の選手がいます。

6月の女子W杯が間近となり、他チームに移籍してでも少しでも練習・実戦から離れずに過ごしてもらいたい有力選手であり、東電としても社員としての身分を暫定的に保証するケースになるのでしょうか。

それを世間が許すかどうか、実際にはむずかしいはずであり、東電マリーゼから完全に離れてプレーを続行することが望ましいのでしょうか。


なにより選手たちが、震災後に会社から長らく自宅待機を命じられ、サッカーどころではない心身状態が続き、調整不足であることは確かです。

第一原発、第二原発、周辺事業所で働いていた選手たちが、深いショックを受け原発が落ち着くまではサッカーは出来ない、あるいはもうサッカー自体出来ないと思っているかもしれません。

東電の社員として自ら志願し、現場の助力に駆り出ている女性社員がいる話も聞きます。選手の中にもいるかもしれません。

想像するに今は、マリーゼの選手たちがプレイヤーとして機能することは、他所に機会が設けられたとしても、気乗りせずモチベーションは上がらず、コンディションも調わない無理な状況にある選手も多いでしょう。

大きな負い目を抱いていたとしても仕方ないかもしれません。


しかし世情からみて、きっちり責任を果たすことが求められるのも、厳しいですが当然そうみられるところもあるでしょう。

原発安定に向け尽力できる選手たちには引き続きがんばってもらいたいですし、また、いずれ折を見て他所に移籍する場合には、なでしこリーグが全体として取り組み手厚くサポートしていただきたいと願います。




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一昨年、浦和とマリーゼの試合をJビレッジスタヂアムで見た帰り、最寄のJR広野駅までタクシーを利用しました。

試合を見ていたタクシーの運転手が、マリーゼはもとより前身のYKKや浦和についてもとても詳しい方で、駅までの短い間、いろいろ話しをうかがいました。


マリーゼの選手たちは、午前中仕事で午後にJビレッジの恵まれた環境のもとで練習ができる。引退したとしても社員として残るか否か選択できる。職場結婚して円満におさまるケースもある。

他と比べて身分が安定していることを強調していたのは、だから大事な試合では、いい選手がいても実力が発揮できずに敗れてしまう、ここいちばんの「強さ」が他と比べて足りないということでもあり、運転手にとっては昔から悔しく思うところなのだそうです。

優勝争いをしていた浦和とマリーゼが対戦し、浦和が1-0で勝った後の車中でのことでした。


皮肉にもここいちばんの強さは、東電の原発の対応にも見ることはできませんでした。

タクシーの運転手が言ってたことは、サッカーに限ったことではなかったという思いです。





昨年のマリーゼのサッカーには興味を惹かれました。

4-3-3で左SB鮫島選手の位置が右より高い独特のシステム、基軸となっていた中盤のMF宮本ともみ選手(現伊賀FC)が移籍し、今シーズンはどんな変化をみせるのか楽しみでした。


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(上辻選手、プレイスタイルが湯郷・宮間選手に似ている)


自在なパスワークをみせるMF上辻佑実選手が、宮本選手に代わって新入団の常盤木学園高出身MF齋藤あかね選手や福島アカデミー出身のMF浜田遥選手らと、どう中盤を組み合わていたでしょうか。



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(安本選手、浦和の後藤・熊谷とは常盤木学園で同級生)


両サイドから脚力のあるMF田原のぞみ・FW伊藤美菜子両選手の突破力は脅威であり、ワントップにはFW安本沙和子選手が豊富な運動量で敵陣へプレッシャーを掛け続ける。大きなサイドチェンジを交え展開力のある活発な攻撃陣には魅力があります。




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(長船選手・3月の代表ポルトガル遠征では初スタメンを果たす)


CBには磐石の長身DF、経験豊富な対応力をみせる元代表の下小鶴綾選手と身体能力の高い現代表の長船加奈選手がひかえ、しっかりマークに付かれるとシュートを撃つのは容易ではありません。




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(天野選手・2007年に浦和にJFA強化選手として練習に参加)


反射能力の秀でたGK天野実咲選手は年々成長をみせ、その大きな声でのコーチングに自信がうかがえました。控えGKには、187cmという長身からたびたびユース代表にも呼ばれていた山根恵里奈選手がいます。

守りに入ると強固な堅牢さをみせるのもマリーゼの特徴です。



今後また、チームとしてのマリーゼと選手たちを見てみたい希望だけは、これからも抱き続けたいと思います。





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(下小鶴選手)


下小鶴綾選手ですが、ご存知の方は多いと思いますが元TASAKIの中心選手でした。

代表としてもキャリアがあり、TASAKIでも代表でもDF池田(磯崎)浩美選手とセンターバックを組んでいました。

TASAKIが廃部となった翌2009年、一度は引退してセレッソ大阪スクールコーチに就任していたものの、夏にFC高槻の選手として現役復帰しました。

DFの中心として健闘するも高槻はリーグ降格となり、2010年にはマリーゼに移籍しました。

今季はキャプテンに任命され、「今シーズンのチームの目標は『優勝』。選手一人一人が最後まで諦めない精神を持ち、チーム一丸となって戦い抜くことを誓います」と抱負を述べていたものの、休部となってしまいました。







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サッカーはできなくとも、下小鶴選手のコメントのとおりに、選手一人一人が最後まで諦めない精神を持ち、チーム一丸となって戦い抜くことは継続してもらいたいです。

いつになるのかわかりませんがマリーゼの選手たちには、今を乗り越えどんな形であれ、ひとりでも多くサッカーを続けてもらいたいですし、プレーをする喜びを取り戻してほしい。

このまま去るにはもったいない選手が多数いるのですから。


また、彼女たち自身が受け入れられるにじゅうぶんな安定した世の中に戻すためにも、自らが担うべきところは社員としてまっとうしてください。




マリーゼの選手として、闘うフィールドは違うけれども、

ここいちばんの強さを発揮するのは今こそだと、そう思わずにはいられませんー



※あとがきとしてー


マリーゼに入団が内定していた齋藤あかね選手が、さきほど浦和レッズレディースへ入団することになったとの発表がありました。

齋藤選手は中学まで浦和レッズジュニアユースレディースの選手として活躍し、常盤木学園高校を経てマリーゼへ行く予定でした。

浦和レッズレディースオフィシャル。


いち早く報じたロビポン0点さんのブログ から知りました。


まだマリーゼに入団する前の選手でしたから、早々に進路が決まりなによりでした。

齋藤選手の他に、新入団内定選手として、MF小野瞳選手(早大)、MF小山季絵選手(早大)、MF浜田遥選手(JFAアカデミー福島/福島県立富岡高)もいますので、受け入れ先を本人たちが望むなら、早く決まるように願いたいです。



※さらに追加情報ー


これも先ほど、JFAから5月9~20日に行われるアメリカ遠征(14日と18日にアメリカ代表と試合があります)メンバーの発表があり、鮫島彩選手が選考されていました。

所属先をみると、マリーゼではなく現在移籍手続中となっています。

いずれ近いうちに、移籍先が発表されるかもしれませんね。


JFAオフィシャル


今回はとても長いブログになったついでに、アメリカ遠征代表メンバーも以下に載せておきますね☆


GK
山郷 のぞみ 

163cm61kg 浦和レッズレディース 

海堀 あゆみ

170cm64kg INAC神戸レオネッサ 

DF
近賀 ゆかり 

161cm53kg INAC神戸レオネッサ 

矢野 喬子 

164cm55kg 浦和レッズレディース 

那須  麻衣子 

161cm54kg INAC神戸レオネッサ 

西田  明美 

167cm67kg 浦和レッズレディース(初選出)

岩清水 梓 

162cm54kg 日テレ・ベレーザ 

鮫島 彩

162cm53kg 移籍手続中 

有吉 佐織 
159cm52kg 日テレ・ベレーザ 

熊谷 紗希

171cm59kg 浦和レッズレディース 

MF
澤 穂希 

164cm55kg INAC神戸レオネッサ 

宮間 あや  
157cm50kg 岡山湯郷Belle 

川澄 奈穂美 

157cm50kg INAC神戸レオネッサ 

阪口 夢穂 

165cm58kg アルビレックス新潟レディース 

宇津木 瑠美 

168cm63kg モンペリエHSC(フランス) 

中島 依美 

158cm51kg INAC神戸レオネッサ(初選出)

FW
安藤 梢 

164cm57kg FCR2001デュイスブルク(ドイツ) 

丸山 桂里奈 

163cm56kg ジェフユナイテッド市原・千葉 

大野 忍  

154cm50kg INAC神戸レオネッサ 

永里 優季 

168cm60kg 1.FFCトリビューネ・ポツダム(ドイツ) 

高瀬 愛実 

165cm59kg INAC神戸レオネッサ 

岩渕 真奈 

155cm52kg 日テレ・ベレーザ 


丸山選手、岩渕選手が代表復帰。

中島選手が初選出に、浦和レッズレディースから西田選手も初選出となり嬉しいことです。