適応疾患

表1　改正案：適応疾患（群）
Ⅰ. 救命救急的適応
1． 減圧症 Ⅱ・Ⅲ型（救急的適応・再圧療法）及び減圧症 Ⅰ型（急性期適応・再圧療法）
2． 動脈性空気ガス塞栓症（救急的適応・再圧療法）
3． 一酸化炭素中毒及び青酸カリなど組織中毒性低酸素症（救急的適応）
4． ガス壊疽 特にクロストリジウム性（救急的適応）及び致死性軟部感染症（急性期適応）
5． 低酸素性脳症（救急的適応）
6． ショック症候群 特に出血性，心筋梗塞，エンドトキシン性（救急的適応）

Ⅱ. 中枢神経系及び感覚器に対する適応
7． 脳血管障害 及び頭部外傷特に脳浮腫（急性期適応）
8． 脊髄損傷（急性期適応）及び神経根障害
9． 脳・脊髄麻痺のリハビリ
10. 網膜中心動脈閉塞症（救急的適応），網膜及び視神経の虚血性疾患（急性期適応）
11. 突発性難聴 及び顔面神経麻痺（急性期適応）

Ⅲ. 運動器に対する適応
12. 挫滅創 及び開放骨折 特に筋区画症候群（急性期適応）
13. 筋腱・靭帯損傷 及び骨移植・骨延長（急性期適応）
14. 重症熱傷 及び植皮，虚血皮弁（急性期適応）
15. 糖尿病性壊疽（急性期適応）及び 難治性四肢末梢潰瘍
16. 難治性骨髄炎及び深部感染症 特に耐性菌感染，易感染性宿主

Ⅳ. 内臓系，その他に対する適応
17. 腸閉塞 及び腸間膜動脈閉塞症，腹膜炎（急性期適応）
18. 肝障害 及び多臓器不全（急性期適応）
19. 遅発性放射線障害 特に膀胱，下部消化管，下顎骨
20. 放射線照射 又は抗癌剤の増感 特に悪性グリオーマ，頭頸部癌

注釈： 関連領域をジャンル（大項目）に大別し，一覧表から該当する適応疾患を選び易くした。歴史的3大救急疾患である“減圧障害（減圧症，動脈性空気ガス塞栓症）”， “急性CO中毒”， “ガス壊疽”を筆頭とした。

高気圧酸素治療の適応疾患

1.	外傷
	1) 軟部組織損傷 : 熱傷、凍傷、スポーツ外傷などの筋挫傷 2) 地震やその他災害時の家屋倒壊による広範囲筋挫傷(クラッシュインジャリー)や多発外傷 3) 開放性骨折、広範囲筋損傷
2.	難治性創傷
	1) 糖尿病性皮膚潰瘍・壊死 閉塞性動脈硬化症やバージャー病などの虚血性皮膚潰 2) 感染性では急性及び慢性骨髄炎、壊死性筋膜炎、ガス壊疽、術後感染創 3) 放射線治療による壊死組織の縮小と修復促進 4) 生物による咬刺傷(犬、猫、ヘビ、ムカデ、クラゲ、イソギンチャク、オコゼ等)による難治性創傷 5) 皮膚移植後
3.	骨・筋肉疾患
	1) 感染性関節炎 2) コンパートメント症候群 3) 黄紋筋融解症
4.	末梢神経・血管疾患
	1) 突発性難聴 2) 急性網膜動脈閉塞症 3) 顔面神経麻痺 4) 急性・慢性動脈閉塞症
5.	脳・脊髄疾患
	1) 脳血管障害 2) 脊髄虚血疾患 3) 腰部脊柱管狭窄症 4) 低酸素脳症
6.	消化器疾患
	1) 麻痺性イレウス
7.	腎・尿路疾患
	1) 出血性膀胱炎 2) 放射線照射後の膀胱壊死
8.	減圧症（潜水病）・動脈ガス塞栓