●概要・感想
◇枕草子の解説というよりも、枕草子出でてくる話題をベースにして、著者の考えや体験を踏まえて人生論を展開している本である。最後の奥付にある著者の略歴を見て、もしかしたらと思って調べたら、高校受験で古文で自分も使った「マドンナ古文」の荻野氏であった。
◇そう考えると、枕草子を書いた清少納言も荻野氏も、時代は違えど男社会の中である意味、”聡明な女性”、ときには”いけずな態度を取る女性”と考えられる面がにており、自分を重ねて書いたのだと思った。清少納言のことが大好きなことが読めば読むほどよく伝わってきた。
◇また、予備校講師としての立場から、現代(といっても2010ごろ)の社会、若者に対する意見は、正直自分のことを言われているようでドキッとするものがあった。
◇夫婦関係に関することでもドキッとする、自分のことを言われていると感じることが多々あった。女心は秋の空というよりも、女心の理屈を知らないで自分勝手に生きている男のほうがロマンチストなのか頭の中がお花畑なのかということを考えされられる。
◇男女どちらにも進められる本である。
●印象に残ったこと
◇優秀な面もあるが、上司などから見ると無責任な態度を取る様に見える若者は、「自己責任」において、仕事の価値を「個」の基準で決めていると考えられる。だから約束は意味をなさないし、常識がないように、他の仕事が大事だったや、優先順位を独断で決めている無責任さがあるのだが、本人は自分は工夫して良かれと思ってやっているからたちが悪い。だから、ただ怒るだけでは埒が明かない。(自分もそのような麺があると思うが)彼らには、「他」を意識させなければいけない。ほとんどの時間を自己実現のためだけに費やしてきた子供たちが、ある日突然、人の役に立つ人間に生まれ変われるはずがない。辛抱強く再教育するしかないし、「したい」か、「したくない」かの気分を基準に仕事をする傾向にあるのを変えていかなければならない。具体例をもって、序列や協調の大切さを説いていく。
◇酔っ払いは最悪。お酒で普段抑圧されている感情が表に出てきて、いやらしい、みっともない態度を晒すのは、本性が出ている用に思えてならない。
◆「思いがけないもの」にある、恋愛関係の不始末に関するものは非常に辛辣であり正鵠を得ているようにみえる。おそらく世の女性が読むと、皆同意するのではないか。異性関係の不始末には心当たりがないが、そのような態度を取ってしまう人の気持ちがわかってしまうので、読んでいて自分が責められているような気持ちになり、反省させられる。
◇~このタイプの男性には共通点があって、知性を売りにしている職業の人が多い。正しくて物わかりの良い人種として生きてきた人たちである。自分が悪者になることがあってはならないのであろう。そのせいであっちにもこっちにもいい顔をしてしまう。妻には内心大いに不満を持っているが、言い出せず外で滔々と不満を語る。愛人などに出来もしない約束をする。どうせ最後は卑怯に逃げるならいっそ悪者になりきって、罵詈雑言を正面から受け止めれば良いものを、この種の男性はいつも自分を被害者に仕立てなければ気がすまないらしい。自体は悪化しっちもさっちもいかなくなると、「もう、自分の説得では聞かない」などとほざく。第三者、例えば自分の親などが変わりに矢面に立つと、それをホッとした顔で見ている。それどころか時には薄ら笑いで頷く。本来惨めさを感じて然るべき場所で、首尾よく勝ち誇った表情などするのが、他人事ながら腹立たしい。 (p.76-80)とある。原文はもっと軽妙でかつ言葉がいきいきとしているので、原文を見たほうがより伝わると思う。
◇認められたいなら、上司が、会社が何を望んでいるのか観察して、その思いどおりに動いてみたり先読みして動いてみる。そうして話を聞いてもらえる状況になってから企画書ややりたいことを主張するべきである。ただし、前述の通り、自分の価値観を基準にするのではなく、あくまで「他」を意識したものでなければならない。
◇人は支えられて生きられるものである。頼るときの甘え に関してだが、甘えには節度というものがあり、善意にも限度がある。どれほどの甘えが許され、好意を得られるかは人間関係の損得勘定はどんな場合も「頼む側」がするものではない。それを含め、信頼して相手に委ねるのが「頼る」ということだと思う。それを心得ていれば、多くの人間関係は、情け深く、あたたかく、思いの外愛おしいものである。
◇宇宙飛行士の山崎直子さんは、候補生に選ばれたときは独身だったが、厳しい訓練を続けながら夫と結婚し、娘を出産し、シャトルに乗ることができた。「キャリア」と「こども」女性が憧れる幸福のすべてを両手いっぱいに抱えて宇宙に行くことができたのは、過去の助成が諦めてきたものを、夫が変わりに諦めてくれたからである。夫は国際宇宙ステーションの管制官になる夢を捨てて、家事をこなし、娘の世話をし、親の介護も引き受けて、単身赴任のママは写真の中にいるとしか思っていない娘のためについには日本での仕事までやめて渡米を決意したのだという。ただ、この夫婦にも危機はあった。妻は「辛かったのは家族の理解を得ること」「離婚を考えて二人で裁判所まで行った」と話す。そんな経緯もある中で、シャトルの打ち上げの日、遠ざかるオレンジの炎を見つめて夫は、「誇りに思う」とコメントした。
◆このエピソードを聞いて、本当にふたりとも、心から尊敬の念に耐えないおもいでいっぱいである。
◇物分かりよく見える女ほど、屈折が激しい。プライドが邪魔をして世間体が先に立つからだ。「私は粗末に扱われているわけではない」とどうしても周囲に知らしめたい。それも含めて「男の計算」かとうがった見方も飛び出してしまう。女性なら多かれ少なかれ、おなじような思考経緯を辿った経験があるという。
◆男からすると、良かれと思って、相手を思ってしたつもりの行動でも、屈折した味方のフィルターにかかると、穿った見方に取って、かえって天秤にかけられてしまう。ねぇ、私を本当に愛しているの?という言葉に凝縮されて。 あぁ、こわいこわい。本当に。
◇色男の朝帰りは、行為の最中だけではなくその翌日に出でる。出勤時間などを逆算して、準備などはするが、それを悟らせぬよう朝もう一度口説くと見せかけるような、夢見心地のなかにおいたまま滑るように消えていく。すべて演技であるがそれが大人の気配りである。だが多くの男性はそんな乙女心に無頓着である。昨夜あんなに愛を捧げたのだから当分は大丈夫などと高をくくっている。気分は晴れやかだから帰りの際もいさいよい。そんな人は昨夜の営みもさぞかし性急だったと想像される。心当たりがある男性は、相手から相当の原点を食らっていると覚悟した方がいい。
◆心当たりがありすぎて、読んでいて自分が恥ずかしくなる。女心はよくわからないと考えてしまうが、きちんと理屈があってそれを知らないで自分本位で過ごしてしまうことに対して、手痛いパンチを食らった気分である。
●タイトル
ヘタな人生論より枕草子
美しい生き方ができるおとなになるために
●著者
荻野文子
●出版年
2010年7月5日
●読書日
2023/3/8










