●感想
◇愛する意味の著者と同じ方の書籍。出版年は2005年だが、扱われている問題はむしろ今のほうが深刻になっており共通である。
◆「自分の幸せのみを喜ぶものの幸せは有限である。しかし他人の幸せを我がことのように喜べるものの幸せは無限である」。愛は与えると減るものではなく、増えていくものであるという著者の別の本にあるような考え方が大切だんだと思う。
◇相対化されたあるべき姿を目指すのは、経済的に生きていくためには必要だけれど、個人の、絶対的な価値観でのワクワクを感じることだったり理想に向かってのギャップを埋めていく作業こそが、生きる意味につながると感じたまとめるとこれだけになるが、行間、具体例、想いを受け取って実施していくことが大事なんだと思う。
◇内的成長を経ることで、同じものを見ても感じることが変わる。よく機動戦士ガンダム(first ガンダム)をみるときに、10代で見るときの感想、20代で見るときの感想、30代で見るときの感想は違うので味わい深いという話がある。着実に内的成長を積み重ねていけば、目に映る景色・感情移入・心に刺さる言葉 いろんなものが変わってくるということなのかなと思う。
●印象に残ったこと
◆現代は他社の欲求を生きる時代になってしまっている。より入るのが難しい学校に入る、職業につく、企業に入る。そんな誰もが羨むものを獲得していければ幸せになれるという価値観が推奨されてきており、それで高度経済成長の波に乗り、うまく行ってきた。言い換えると、「他の人が欲しがるような人生をあなたも欲しがりなさい」という価値観である。
◆大人になる成人の通過儀礼を経ることで、子供は傷つき一度死に、そして大人として再生するという生と死の再生の儀式がある。子供は親の支配を逃れ、自分の人生を歩みだす事ができる。それを経ないとアダルトチャイルドとして、自立できない精神的に子供のままになる。親が悪いという説明にとどまって、自分が被害者だという立場に安住した言い訳を続けてしまう。ある意味社会のシステムとして親も子も、生きる意味を見失うような被害者である。
◆その価値観は自分が交換可能な存在、「透明な存在」であることに繋がり、かけがえのない とは対極な存在を示していく。
◆合理性と効率主義を突き詰めていくことで、成果を上げてきた。それが繰り返されることで、無意識農地の行われる習慣的プロセスとして染み付いている。
◆だからといって、効率性を求めなくていいという話では決してない。効率性に身を置く「黄金の拘束服」を身に着けないといけない。それ以外に黄金を手に入れる方法はない。格付けを常に高く保つことが、経済成長のためには必須である。
◆それは「考え続けなければいけない」人生が待ち受けている。安心できるものではなく、常に人の目にさらされ続けるものである。2000年代前半に取られた構造改革は、グローバリズム・自由主義でこれらの強さを個人に求めるものだった。
◆現代は成長依存という宗教的観念で覆われた時代であり、数字の大小で評価されてきた。ある側面では中身から見る価値が軽視され、生きる意味を迷わせる。
◆50点より80点のほうがいい点数だからそれを目指すことがいいとこだとされているが、人生に何を求めるのか のレベルが重要なのに軽視されていないか。
◆同じ数字でも人によって重みが違うものがある。末期がん患者の余命で1年と宣告された人の1は、人によって捉え方が変わる。喜びも悲しみも、そして私たちと愛する人たちの関わりや思い出がぎっしり詰まった”1”であり、数字信仰の結果多い方がいいという価値観だけで評価してはいけない。
◆数字は公平でわかりやすいが、量だけで見られない質を切り捨てることに繋がりかねない。数字は諸刃の剣だ。内実があってそれが数字に反映され、フィードバックされてますます改善されるKPIとなるなら豊かな現実をもたらすものとなるが、数字だけ合わせればいいという数字こそが目標になると、数字に生きる意味を奪われかねない。
◆心を大事に、QOLを大事にする時代と言われている。無意識のうちに、誰かが私たちの心を満足させrてくれる方法を教えてくれるだろうと思っている。それ系の書物を読み漁って答えを探そうとしても、こう生きるべき、こうすれば成功するという ものに飛びついてしまいそうになる。こんなおすがりでは何も生まれない。他人の目が必要なのではなく、自分の姿を・心を移す鏡なのである。
◆思い通りの人税を描くときに、全てで100点を目指す必要はない。キリがなく、他人に対する劣等感がいつまでもつきまとう。すべての分野でなく、どの分野で自分は大きな満足を感じるのか。言い方を変えれば一点豪華主義である。人生の満足度が高い人は、選択肢が多かったり平均点が高い人ではなく、これさえあれば何もいらないという人である。
◆自分に取ってんの「意味」を捨象して、数字という目標に最大効率化できる人間はテストが得意だ。しかしそこから先、自分はどうやって生きていくか と言う問の前では全く無力になってしまう。私と世界が愛で結ばれていないからである。
◆生きる意味は変遷してってもいい。歴史を積み重ねてってもいい。変化していくこと、内的成長をしていくことだ。ではどうやってそのきっかけを貰えればいいか。①ワクワクすること と②苦悩すること である。
◆ワクワクすること、生きているという実感は生きる意味の中核である。命の輝きを実感することであり、生きる意味を創造すること、世界と愛でつながっていることを実感する瞬間である。ワクワクすることの極意は、ワクワクしている人と一緒にいることである。情熱や生命の輝きは伝染する。
◆一方苦悩はワクワクと現実の葛藤の極限状態であり、違和感、なにか違うんじゃないかという感触である。これは生きる意味を作り直すことのチャンスでもある。苦悩しないことが癒やしにつながることはない。真の癒やしは依存することではなく、孤独で悩み抜いたあとに他人と支え合うこと、内的成長につなげていくことで昇華することである。
◆「力や弱さの中でこそ十分に進化を発揮される」「一番しんどい状態にある人こそ、しんどさのなかから、仲間の不安を受け止めて共感してくれて、そこに人を解放していく力が出てくるもの。聖書も仏教も他の経典でも、行き着くところはすべてそこなんじゃないか。」
◆日本人は人の目を気にして常識的な行動を取る民族だが、実は他人の目がない場所において、自分の目からみて恥ずかしいことに対して無関心であることも多い。誰に迷惑をかけるというだけではなく、自尊心・自己信頼に支えられた”我がまま”を追求うすることは自分を生かした人を活かすものであることが多い。それがないと"ワガママ"となることが多い。
◆やられたことをやり返す敵討ちの視点は続けるべきではない。敵討ちを続けることは敵からの解放ではなく、常に意識され続けているという意味で支配され続けている。
◆教えを聞くこと、説かれた正解を聞くことは虚しさを倍加させるものであることもある。苦悩しているとき、困り果てているとき、その苦しみの声を聴いてもらった体験は、確実に自分自身と世界への信頼を深める。
◆オリジナリティは他の人と違う個性ではなく、自分自身が創造者であるかどうかと言うのがポイントである。
●著者
上田紀行
●タイトル
生きる意味
●評価
★★★★☆
●読書日
2023/2/12