●概要
◇37のモノを焦点に、世界史的にどのような影響を与えて行ったのかを概略的に説明している本。
◇ちょこちょこ知らないことがあって面白かったが、詳しい話はもう少し焦点を絞った本で補完しないと浅くなる。
●ためになった知識
◆トマトについて。原産は南アメリカのアンデス高地であるが、当初ヨーロッパ人はトマトを食べ物とは考えずに観賞用として楽しんでいた。1600年前後ではトマトは精力剤、催淫植物として捉えられたことから、イギリスではトマトを「ラブ・アップル」と呼んだり、アメリカでは姓がつくという意味で「ウルフ・アップル」と呼ぶ。ピューリタン革命のクロムウェルは、催淫植物とみなしたトマトの栽培を禁止したりもした。イタリアでパスタにトマトソースをかけるようになったのは、1800年頃からとのこと。
◆パブ・バーについて、パブの語源はパブリックハウスの略であり、イギリスで地域住民の憩いの場や居酒屋に由来する。バーの語源はアメリカ西部のフロンティアの時代。当時の飲食店では樽に入れたウィスキーをグラス売りしていたが、酔っ払った客が店主の目を盗んで勝手に樽から酒を飲んでしまうことがしばしばあった。そのため、業者は頑丈な横棒(=バー)を渡して、客が勝手に酒樽に近づけないようにしなければならなかった。境界の横棒は、やがて横板に代わり、カウンターを通した対面式の酒場としてバーと言うようになった。
◆レストランについて。レストランは、フランスが発祥。パリでブーランジェという人物が、羊の肉の入った「レストラン」という名前の、活力をつけるスープを売り出して大評判になり、それ以来この料理の名前が新しいタイプの料理店の名称になった。ちなみに「レストラン」はフランス語で元気を回復させるという意味。その後レストランが広がった契機として、フランス革命でルイ16世が処刑され貴族が特権を剥奪されたことも挙げられる。貴族お抱えの料理人は職を失ったが、彼らは街の各所でレストランを開業した。コックの長い白い帽子はこの当時評判だったカーレムという料理人のトレードマークが由来だった。こうしてフランス料理は宮廷料理から大衆料理になった。
◆地下鉄のメトロという由来。ロンドンで世界で初めて開業した地下鉄の名前が、メトロポリタン鉄道という。そこからメトロが来ている。
◆19世紀蒸気機関の改良から第二次産業革命を起こし、いち早く重工業で発展して世界の工場としての地位を確立したイギリスだったが、当時は鉄がまだ脆い銑鉄しかなかった。その後ベッセマー法という空気を吹き込んで銑鉄から鋼鉄に変える方法が普及した(転炉、現在では別の方法が取られている)。これにより鋼が安価に生産できるようになり、鋼鉄大量生産時代が到来する。これだけの理由ではないと思うが、イギリスは産業革命をリードしていて工場がすでにあったため、新興国であったアメリカやドイツは最新型の方式を採用してイギリスを抜かしていった。イギリスは工場更新に苦戦したことも要因の一つである。
●タイトル
「モノ」で読み解く世界史
●著者
宮崎正勝
●評価
★★✬☆☆
●初版
2017年7月15日
●読書日
2023/3/26







