How to fly・30 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















「一つ、気になったんだけどさ」

「なんですか、逆訂正ですもする気ですか」



認識の有無や間違いが無いかを確認してもらたくて必死に語っていたからサラッと流してしまったが、とても気になっていることがある



「さっきのは妬いたの?」

「さっきの?」

「俺がハッテン場に行ったって言った時に」



訂正を目的としない別の意思で、その時、大きなストップが掛けられた


その後続いた質問にも、あきらかな熱量が感じられた



「ヤキモチらしきものがチラチラ見え隠れしてたと思うんだけど」



他のパートナーを探したと思った?

お前以外で試したと思った?

そのどれも違うと分かってホッとした、よな?

それはつまり、嫉妬だ、と、いいな、なんて、希望的観測ではあるけれど、期待したい、期待する、お前は俺が好きなのだ、と期待する



「…妬くわけねーだろっ」



これは、妬いたな?



「耳赤いぞ」

「赤くねーわっ!」

「かわいいのが隠せてねーぞ」

「あんたはさっきからうっさいんだよっ!」



枕に顔を押し付けて



「ばーか、ばーか」



子供のような悪口を言っている



ほら、可愛いのが隠せていない




中途半端な気持ちでここまで来たのではないと伝わったのか、可愛らしさが、彼らしさが戻ってきている

今なら、もう少し突っ込んで聞けるかもしれない

彼も、答えてくれるかもしれない



「あのさ、バレた後の反応ってやっぱ…その、肯定的なものじゃなかったの?」

「まぁ…うん」



枕の向こう側から答えが返ってくる



「人とか環境に恵まれてたとしても…やっぱり世間の異種扱いってゆーか、好奇の目はなかなか…」



そっと出された顔には少しだけ影が落ちている

異種という単語は弾かれた者にしか出てこない、好奇という単語も向けられた者にしか出てこない言葉だ


それをさらりと言えてしまう彼は、どのような人と環境の中で生きてきたのか



肯定ではない


ならば


否定か


否定されてきたのか



「今は男相手に商売してるからそもそも男に興味がある人が多いし、ゲイの確率も高いけどさ、日常的にそんなにうじゃうじゃ居る?」

「居ない、かも」



居たとしても、打ち明けられる環境が分からない


実際に俺も、誰にも言っていない



「日本は特に異質なものを排除したがるから」



海外では同性の結婚が法で認められている国がある

しかし、宗教によっては禁忌でもある

日本は異質というだけで排除…



「…家族は?」

「そんなの、最たる例じゃないかなぁ」



傷付けるのは嫌だ


今までも多くの傷を付けられてきたのなら尚更避けたい


だけど、無知であること、ここで尻込みすること、それによって今後さらに彼を傷付けるのなら、今、覚悟を持って聞くべきだ



彼をその傷ごと抱き締める覚悟が、俺に、あるか?



「お前は、言った?」



ある


だから聞く



「っぽいことを」

「そしたら?」

「なに変なこと言ってんのー?的な反応でした」



よかった

肯定ではないかもしれないが、否定ではない



「あの時は…夕食だったかな?彼女は居ないのー?とかの話になって、今かもしれないって思ったんだよね」

「うん」

「震えてた、俺、怖くて、申し訳なくて、こんな息子でごめんって」



よかった、なんて言葉を軽々しく口に出さなくてよかった

申し訳なく思う必要なんて一つも無いが、罪悪感…だろうか

普通ではないことへの罪の意識



家族だからこそ、肯定以外は拒絶と同等だったのかもしれない



後天的なゲイである俺にはまだ辿り着いていない壁

どこまでも、幾重にも、果てしなく立ちはだかる壁

















つづく