How to fly・27 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















「よし、止めよう、止めるよな?俺だけが最低なだけだもんな?マスターはいい奴、だからお前はここから出ていく必要なしっ!明日もステージやる、出ていく必要なし!明日もここで寝る、出ていく必要なし!マスターとも変わらず仲良し、出ていく必要なし!よーし!問題なーし!出ていく必要なぁーーしっ!!」



最後は身振り手振りも総動員して顔の前で腕を交差させて×印を作った



ぼふっ

「いでっ」



交差させた腕が、なぜか自分の鼻に直撃する



「さっきからなしなしなしなしうるさいんだよっ」



枕が投げ付けられたらしい



「お前が出ていかないって言ったら黙るよっ!」



鼻が潰れていないか左手で一撫ですると同時に、右手で身体の横に落ちていた枕を投げ返す



「いてっ…なんで投げ返すわけ?!このっ」

「いてっ…出ていかないよなっ?!」

「いっ…だからうるさいんだよっ」

「いっ…いかないよなっ?!」



彼と俺の間を枕が往復する



「しつこい!出てけっ!」

「いやだ!俺はしつこいんだっ!」

「開き直るなっ!」

「マスターにも言われたよ!」

「へー!めんどくせー客だって?!」

「粘着質だって!」

「さすがマスター!」

「うるせーっ!」



その後の展開を考えるでも無く始めた枕投げだったが、嬉しい効果があった

今すぐ出ていく雰囲気が無くなっている


舵はまた切られた

ホッとして、手が止まる


今度はどんな技で投げてくるか?と身構えていた彼に



「楽しくてなに話してたら忘れるくらい夢中になっちゃったじゃん、はい」



枕をベッドまで運んで手渡す



「なんだー、もうやらないのかー」

「充分やっただろ、ここ、座るぞ」



一人分空けて、ベッドに腰を降ろす



身体を動かしたからなのか、気持ちに余裕が生まれている

裸からさらに一枚脱いだみたいに

きっと彼にも余裕が生まれているに違いない

白い顔に僅かな赤みが見える

固く閉じた蕾がほんの少しだけ綻ぶ程度の余裕

それでも大きな一歩だ



「世の中の認識って、何に対しての認識なのか聞きたいんだけど…話せる?」



ここを出ていかなければならないと思った理由は、逃げたと言っていた理由と重なるような気がする


そこを少しでもいい、俺に話して欲しい



隣よりも少し距離のある場所


枕を胸に抱えて少し俯いてしまった

が、やはり完全に閉じている様子ではない

確信はない、でも、きっと話してくれると思う

時間はある


気長に待とう





「…俺さ」

「うん?」



小さな声だった



「…ゲイ、なんだよね」

「うん」



言葉に集中する



「気持ち悪いでしょ」

「全く」



きっと大切なことを話そうとしてくれている



「…え?」

「え?」



僅かな言葉も聞き逃したくない



「気持ち悪いよね?」

「全く気持ち悪くない」

「…ちゃんと聞いてた?」

「ちゃんと聞いてる」



やっと絞り出された言葉だ



「俺はゲイだって言ったんだけど」

「うん、え?何に対して気持ち悪いって言ったの?世間?」

「じゃなくて、俺のこと」

「よかった、合ってる、俺もそう聞かれたと思ってた」



俺の人間性が試されるような重要な事を尋ねられているのだと思う



「気持ち悪いでしょ?」

「気持ち悪くない、気持ちいい」



だけど、当たり前なことを繰り返し聞かれ、当たり前のことを返しているだけになっている



「は?」


「へ?」



会話が噛み合っていない?

















つづく