How to fly・26 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















「ずるい?どの辺が?」



嬉しさのあまり飛び上がりたくなる身体を、クッションに吸収させる



「だって…あれだけ肌重ねたら少なからず情も湧くでしょ、それを好きとか嫌いとかに振り分けるのはずるいんじゃない?」


「それは一回だけなら湧かないのにってこと?」


「そう」


「何回もやったから情も湧くだろうって?」


「そうだよ、だからそれを何かに当てはめるのはずるいって言ってんの」

「他の客にもその情が湧いてるんだな?」

「湧いてる、誰にでも」

「嘘だ」

「嘘じゃない」



会話が続くことは嬉しいが、素直に認めないだろうと思っていた



「二回目は無いんだってな」



マスターからの手土産、ここで使わせてもらう



「お前が言うように俺は数えきれないくらい肌を重ねることが出来たよ、けど、他の客は一回きりなんだろ?」

「なんでそれ…」

「相手はどうだか知らない、一回でも情が湧く奴は湧くんだろうと思う、けど今の話だとお前サイドから情が湧く暇はないってことだよな?つまり、俺以外に情は湧いてないってことになるんだけど」

「じゃあ、湧いてない、あなたにも」



今の切り返しには面白味の欠片もセンスもない


彼はひねくれた言い方もするが、それは相手の反応を見ながらわざとそういう言い方を選ぶ時に限られる



「じゃあって言い方はないだろ、今さらそれは通用しねーよ」



本人が楽しんでいない場合は、ただの幼稚な屁理屈だ


返す言葉が強くなってしまう



落ち着け、無理矢理追い詰めると彼が疲弊する

飲まれるな、言葉選びも感情のコントロールも加減しろ



「二回目が無いってのはマスターから聞いたんだよ、俺だけが二回目以降の予約を許されてたんだよな?」



また自惚れ野郎が出現した



「だから俺だけ違うんじゃないかって思った、特別だったらいいなって」



怯むな、これが俺だ




「あぁ…そっか、なるほどね」



納得したような声と表情

一見すると俺への気持ちを認めたようにも見える

でも、なぜだろう

悲しそうな顔をしている…?



「居心地がよかったからちょっと忘れてた、ふふっ、最近は忘れてること多いなぁ、びっくりしちゃうよ

うん、そうだよね、あー、ここには長くお世話になったなぁ」



背中がゾクリと冷たくなる



「ちょっと待て」



今、物凄く危うい流れになってないか?



「その言い方だと、ここを出てくみたいに聞こえるけど…」

「そうだね」

「は?なんで?!」



どこで舵を切って、どこからその道に入ってしまったのか全く分からない



「だって無理でしょ、世の中の認識はまだまだ変わらないし、だから一つの場所に居続けるのは難しいし、マスターも…ね、うん、分かってたし」

「分かってた?なにがっ?」

「人は言いたくなるものなんだよね、これも忘れてたなー…、でもちゃんと思い出した」



これだから頭の回転が速い奴らは面倒臭い

俺は全く分からないのに、勝手に言葉を省略して勝手に展開して勝手に終息させる

目の前に存在する人間を、俺を置いて勝手にどこかに行こうなんて許さねーからなっ



「確かにマスターは悪くない、仮面外したらヤンキーみたいでびっくりしたけどいい奴だと思う」

「そうね、素はヤンキーに近いかもね」

「二回目が無いことをマスターから聞いたっていうのは言い方間違えた、ごめん、正確には、マスターが言ってた独り言を俺が勝手に盗み聞きしただけ」

「盗み聞き?」

「卑怯だった、申し訳ない」

「…最低」

「ごめんなさい、ほんとに最低、俺が最低、だからここから出てくとか、そういうのは違うと思う、うん、違う、どう考えても違うよっ」



自分の語彙の少なさに落ち込むが、この危うい道からの脱出が最重要事項

ここで彼の中から退場させられてしまうのは避けたい


同じ言葉でいい

伝わればいい

何度でも言ってやる

















つづく