How to fly・16 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















例えば、音楽のことを話してくれた夜は呆気なかった



「その日の気分、気紛れでしかないよ」



衣装のことを話してくれた夜は驚いた



「露出が多い?うわーこれだからエロオヤジは」

「確かに俺はエロだけどっ」

「あれね、必然だから」

「うっかり見えちゃうくらい短いパンツの必然性ってなんだよ…」



上下左右に大きく足を開くことが珍しくない

もちろんそれはパフォーマンスの一部であって、いつ見ても感動する


同時に、俺のように勝手に煽られてしまう奴も居るだろう


とんでもない色気を振りまいていること、短いパンツがそれを増長させていることを、本当に分かっているのだろうか



「仕方ないでしょー、止まる動作の大半は摩擦なんだから」

「…摩擦?」

「肌のね、出来るだけたくさん出しとかないと簡単に落ちるよ」

「へー?!そういう仕掛けなんだ?すげぇーっ」

「だから初心者の衣装は特にきわきわになっちゃうんだけどぉ…」



確かにそれは必然だ


短いパンツも仕方ない



「女の子もきわきわ必然よ?」

「えっ」

「うわ、鼻の穴広がった、エロ~」

「これも必然だろっ」

「怒るエロこわーい」

「お前だって女がきわきわだったら見ちゃうだろーがっ」

「見ませんね、わたくしは紳士ですので、女性にそのようなエロい鼻を向けたりしないのですよ、残念でしたね、おほほ」

「むかつくっ」



棒のことを話してくれた夜は、いつまでも心に残った



「ポールって呼ぶんだ、へぇ~、なんでポールにしたの?」

「そこにポールがあったから」

「山かよ」

「ポールです」

「しかしいつ見ても飛んでるみたいだよなー、感動するよ、毎回」

「それはほんとに飛びたかったのかもねぇ…」

「飛びたい?」

「うん」

「空を?」

「じゃなくてもいいけど」

「飛びたいからポール?」

「違う方法もあったんだろうけど、必死だったから分からなかったのかなぁ」

「違う方法って、飛ぶ為の?」

「そう」

「今も探してる?」

「それね、自分でもびっくりしたんだけど、忘れてたんだよ、探してたってことを忘れてた」

「…忘れてた?」

「あなたに聞かれるまですっかり」

「…そっか」



飛びたい

抽象的な言葉なのに、妙に具体的で、しかし現実感がない言葉


逃げた

そう言っていた時の雰囲気と似ている



何から逃げて、なぜ飛びたいのか



いつか話してくれるだろうか






「知り合いがさ、飛びたいらしいんだよね、一般的に言ったらどんな意味だと思う?」



まさかの梅雨明け

一時間押しの昼休み

枝を大きく広げている木

春には桜が咲いていたその木陰で、ベンチに並んで座る同僚に奢りのコーヒーを渡す



「パイロットですかね?」

「それは違うっぽい」

「だとしたら、おクスリ系?」

「くすり?」

「ブッ飛ぶって言いません?」

「まさか」


「まさかで言ったら…ビルの屋上から…」


「もういい、聞いた俺がバカだった」



もし仮に初日に「飛びたい」と聞いたなら、俺もその可能性を疑ったかもしれない

でも今は違うと分かる

彼の場合はもっと純粋な…



「夢、かなぁ」

「夢?アメリカンドリーム的な」

「じゃなくて、子供の頃の」

「あー、そっちかぁ、未来の全てが輝いてた頃っすね」

「突拍子もないことを夢にしなかった?だんごむしになりたい!とかさ」

「俺はプロ野球選手でしたねー」



俺の夢は、何だっただろう?

















つづく