How to fly・17 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















「つーか先輩、デートの相手とはどうなりました?お付き合い順調っすか?彼女さんにお友達紹介してもらえますかね?」

「紹介は無理だな」



先の話を知り合いとしたが、飛びたいと言っていた奴と、俺がデートを望んでいる奴

二人を同一人物だとは思わないらしい

そういえばCAではなく、パイロットと言っていた、そして付き合う相手は彼女


あっちは男、こっちは女

それが普通



「あらら、別れちゃいましたか」

「違う、まだ恋人にもなれてねー」

「へ?まだそこ?あれから随分経ってません?」

「時間掛けることが苦にならない相手だから」

「ハイスペックな美女なんすねー」

「確かに美人だな」

「ちなみに…ボインのほうは?そっちもすごいっすか?」

「ぺちゃんこ」

「マジか!」



同僚は今どき珍しいくらいに素直だ


デートの相手は男だと言って訂正しても「へー、そうなんすか~」で済ますかもしれない

背が高く、誰にでも優しく、常に爽やかで



「先輩…微乳フェチだったんすね、さすが、深いっす!」



おおらかにエロいところもモテそうだ



「あっちーなー」

「もう梅雨明けですもんねー」

「よし、行くか」

「ですねー、お仕事がんばりましょー」



二本の空き缶をゴミ箱に捨てて、照り返しの強い歩道を並んで進む



日常生活の中に身を投じると、店と、そして彼が、非現実的な存在に思えることがある

こうして太陽の下にいる時は特に

あの地下が実際の距離よりも遠く離れた場所にあるように思える



意味のない焦燥感

ここで胸が焦げても、彼には届かない





いつものように予約をし、いつものように彼を待ち、テーブルにグラスを並べる



「子供の頃の夢ってなんだった?」

「昔のことは忘れました」



何気ない会話をしていたが、これは地雷だとすぐに察する

表情は変わらないが、空気が重い



「職場でそんな話になってさ、俺はイラストレーターだったなーなんて思い出したから」

「ふぅ~ん」



子供の頃が地雷なのか、夢が地雷なのか

確かめてみたいけど、今夜はまだ笑顔を見ていない

深追いは止めて、話題を変える



「昨日も残業でさ、だからここにも来れなかったんだけど、友達と飯の約束してても毎回ドタキャン、友達どんどん減る」

「へぇ~」

「お前は?働いてる時間が特殊だし、外に出ないと友達減らない?」

「そんなのいない」



空気が重さを増す

これも地雷?



「そしたら俺とは?すでに友達みたいなもんだし、記念すべき一人目に立候補してもいい?」

「それはセフレのお誘いですか」

「違う、普通の」

「普通ってなんだよ、サラリーマンでも頭悪そうな言葉使ってんだなー、がっかりするわ」



深追いするな

そこら辺で止めておけ



「特別ならいいんだな?」

「だから、いらないってば」



頭のどこかで警戒音が鳴っている


これ以上は踏み込まないほうがいい



「なんで?」

「なんでー?ばかなのー?いらねーもんはいらねーんだよ」


「理由が知りたい」


「うるせーなー、もうやる?やれば黙る?やってさっさと帰れよ、やらずに今すぐ帰るんでも全然いーけど」



重い空気は闇へと変わっていく



明日は定休日

疲労はピーク

酒に強くない彼は一定量以上飲むと感情のコントロールが甘くなる



「友達がダメなら恋人」

「…は?」


「恋人に立候補する」



意図的にその隙をついた訳ではない


壁があることは知っていたし、触れてはいけない領域があることも分かっていた


以前不用意に傷付けたことを反省し、その為の安全装置は働いていた


が、無視をした



なぜここまで進もうとしたか


それは、様々な要素が重なってしまったからだろう


俺の日常、普通の同僚、男女の当たり前、ここを遠く感じた、お前を遠く感じた、思わぬ場所で胸が焦げた、友達にはなれない、いらないと言われた


知らぬ間に、俺のコントロールも甘くなっていたのかもしれない


闇夜だろうと突き進んでしまいたいくらいに



事情はある


そんなものは誰にでもある


察しているだけでは前へ進めない



伝えよう


今、伝えたい




「好きだ」

















つづく