How to fly・15 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















毎夜ステージに立つ彼は、店の定休日が近くなるほど疲労が蓄積されていく



「…ごめ…ねむ…」

「うん、帰るよ、しっかり寝て明日もがんばれ」

「ん…」



事後、急激に眠くなることが多い


そもそも体力があまり無いらしい

気力もそろそろ限界か?と分かる夜も増えた



「今日も帰るよ」

「えー…でも予約…」

「いいから、無理すんな」

「うぅ…」

「戸締まりだけはちゃんとしろよ、おやすみ」



こんなことが重なり、そしてそれをきっかけにして、二人で過ごす時間の選択肢が増えていく



擦り合わせて出すだけで止める

手を貸して彼だけ出す

手を借りて俺だけ出させてもらう



のんびりと酒を飲んだり、のんびりと話をしたり



「…ん?」

「寝てたね」

「寝てないしっ」



うっかりうたた寝をしてしまった彼の寝顔をぽや~んと眺めたりもする



「おつかれ~」

「すぐやるよー」



なぜかヤル気満々の夜も



「おつかれっ」

「酒!」



なぜか不機嫌MAXの夜もある



二言三言しか言葉を交わさない夜、驚くほど饒舌な夜、何を言っても躱されてしまう夜

やる日もあれば、やらない日もあって、当然支払う金額も常に変動する



どんな夜であっても不服ということはない

重ねた夜の分だけ想いも重なっていく



充足する二人だけの時間

これはもはやデートと言っても過言ではないのではないか



「確かめてみたいことがあるんだけど」

「なーにー」

「これってやっぱりデートかな」



大きな願望を込めて聞く



「は?バカなの?」

「…すみません」



残念

まだ過言らしい

いつかデートをしてみたい





知りたい欲には限りがないのだろうか



彼が話してくれる彼のことを少しずつ知っていく喜びは、風呂上がりのビールに少し似ている

ぷはーと、しゅわーと、内側に染み渡る



例えば、場所のことを話してくれた夜



「なんでここ?」


「なんで…って、なんで?」


「もっと広いとこでやればいいのに」

「ここはお似合いじゃないんだ、ざんねーん」

「似合ってる、けど、もっと広いとこも似合ってると思う」

「広いとこねぇ」

「お客さんがたくさん居てさ、お前を見るために集まっててさ、気持ちよさそーじゃん、広いとこの高いとこ」

「地下なのに高いとこにいるってゆーのがシュールでよくない?」

「人生にシュールさを求めてんの?」

「人生ってほど大袈裟じゃないけど…根本的に無理ってのはあるよ、独学だし、コネもないし」

「そうなのか、もったいないな」

「無理ってゆーかさ、他の場所なんて俺は…」



彼が言い淀む時は、押すことも引くことも止める

そこが聞きたいのだと勢い込んでも、空回りする

だからじっくり待つ



「逃げた…あぁ、逃げたんだね、そうそう、だからここ以外には行けないんだよ、そうだよ、辿り着いたのがここだったんだもん」

「辿り着いた?」



ここがトーゲンキョーだから?



「うってつけの場所だよね」


「放浪してたの?」


「してたかもね」

「逃げたって何から?」

「そんなこと言ったっけ?」

「言ったよ、今さっき言ったばっかだよっ」

「へぇー?」



最後は強引に躱された

















つづく