Tempesta・3 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















次の週は朝から雨が降っていた

こんな日は客足が遠のくみたいだけど俺には関係ない


いつもの時間に家を出た



パーソナリティ二宮和也の声が好き、冷静な店員のナターシャが好き

でも一番好きなのは、ふにゃって笑ったり動揺したり怒ったような顔もする二宮和也



「早く会いたいな、でも焦ったらダメだよな」



傘に落ちる雨粒


その一粒一粒に想いを馳せながら、いつもの道をゆっくり進む




チリン

音で店が近いことを知り、顔を向けると老夫婦が入っていくのが見えた



今日はどんな二宮和也と会えるだろう

楽しみだけど、少しだけ怖い



「よし!行くか!」



気合いを入れて一歩踏み出して



「んんっ?」



すぐその異変に気付く



姿が見えない、店内に二宮和也が居ない…?

左右に移動しても、爪先立ちになっても見付けられない

休憩、それとももう帰るとか?

様子を見る為に店の裏へ回って…って、それはダメだ!気持ち悪い!また猛然と目の前を駆け抜けられて終わりになる



「とにかく待ってみるか~」



傘の柄を握り直した





どれくらい待っただろう


雨は粒が数えられないくらい細かくなっている



チリン


Sが出てきた

老夫婦を見送っている



二宮和也はまだ居ますか?!


駆け寄ろうとしたのに、ずっと同じ体勢で立ち続けていたせいか、足が思うように動いてくれない



チリン

Sが店内へ戻って行く



「あぁ…ダメかも…」



今週は会えないのかもしれない

会いたいのに、こんなに会いたいのに

どうしたらいいのか分からなくて途方に暮れていると、店内に人が増えていた



「あーっ!」



二宮和也だっ!

固まった足をバシバシ叩いて、また見えなくなってしまう前にドアを引く



チリン



いつもは澄んだ緑が見える大きな窓に俺が映る

この時間に来るのは初めてだけど、昼とは雰囲気が違って面白い



「…いらっしゃいませ」



二宮和也が出迎えてくれた



「おう」



会えた、嬉しい



当然のように浮かれる俺とは対照的に二宮和也は少し硬い

緊張しているように見える



ここは押すべき?それとも引くべき?

迷っていると、見たことのある顔が近付いてきた



…相葉ちゃん?



ラジオの仕事をしてる時にスタッフさん繋がりで挨拶したことがある人だ

とっても優しい人だったからちゃんと覚えてる

ここの店員さんだったんだ

いつも同じ時間に通ってたから会わなかったのかもしれない



「窓際のお席でよろしいですか?」



明るく促されて「うん」と頷く


大きな味方を得た気がした





目の前にはナターシャではない二宮和也が座っていて、胸いっぱい


美味しいケーキを食べて、美味しいコーヒーを飲んで、お腹もいっぱい



「俺は、あなたに対してモヤモヤしています」



率直に言ってくれたから、こっちも飾らずにたくさん話した

そして、伝える



「ラジオの二宮和也が好きで、奇跡的に声を見付けて、そんで実際に会ったら二宮和也をもっと好きになった!」



それからもたくさん話した

今思えば自分のことばかりをたくさん


調子に乗っていた、それが失敗だった



二宮和也の顔が徐々に曇り、涙が滑り落ちた



「おい!どうしたっ?!」



傷付けたのかな、悲しませたのかな

手近な紙で次々に落ちてくる涙を懸命に受け止めていたら



「失恋、したんだよ、春に」



桜が開花する頃、元気が無くて心配していた頃のことを話してくれた




「声に恋して、一方的に失恋した」



二宮和也が好きだった人


二宮和也が声に恋をした人



それが過去だと言うのなら、今の俺にも可能性があるはず

相手がさーちゃんや相葉ちゃんじゃなくてよかった

でも、今も、そいつのこと好きなんだね




不安は隠せなかったけど、必死に聞いた


そして、唐突に膨れ上がる信じがたい可能性



「平日の朝に聴い…」


「ちょっと待って!」



思わず、言葉を遮った



まさか、そんなこと


でも、もしかしたら



可能性があるなら信じてみたい、確かめてみたい

夢が悪夢でも、希望が絶望でも、それが事実かどうかを知りたい




「おはようございますっ、大野智ですっ」



数ヵ月前に言い終えた懐かしい台詞は、あの頃と同じように響いてくれる



「うわぁーー!!」



呼応するように、目の前で何かが弾けた




…俺か?

…俺だな?



二宮和也は大野智の声に恋してたんだなっ?!



お互いがお互いの声に恋をしていたなんて

そしてその声をお互いに見付けてしまうなんて

なんて素敵で、なんて素晴らしいことなんだろう!
















つづく