Tempesta・2 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想書庫です


苦手な方はお気を付けください





















「二宮和也でした、また来週♪」

「また来週ぅ~、また明日ぁ~」



日曜の夜に声を聴いて



「こんにちは、いらっしゃいませ」

「いつもの」



月曜の昼に会いに行く



見付けた時が月曜日だったからかな


その時間に行くことが習慣になった




注文を終えて、庭に出る



カチッ

すぅ、ふぅーー



細い煙が消えていくのを眺めながら思う



笑顔で出迎えてもらえる、コーヒーを運んでもらえる、にこやかに見送ってもらえる


声だけではない生身と接するようになって、想いが目の前の二宮和也に向かって勝手に溢れていく



「あの言葉…俺の為だけに言ってくんねーかなぁ」



見付けただけでもあんなに嬉しかったのに


欲というものは、こういうモノなのかもしれないと思った



「また来るから、また来週な」



これ見よがしに言って、繰り返すけど



「ありがとうございます、お待ちしております」



おうむ返しはしないルールなのか「また来週♪」とは言ってもらえない



「あーあ!今日も失敗だっ!」



肩を落として帰る日々もまた楽しい




今は幸せ、今が幸せ

いいじゃん、このままでも



そう思い始めていた頃、衝撃的なアレを見ることになる




近付く二つの顔

少し前から元気が無くて心配していた二宮和也の顔と、唇が若干尖って見えるSの顔



…ぇえっ?!



しばらくして離れた一つ目の顔は、照れたように小さく笑う

二つ目は眉毛を上げて「照れんなよ」的なドヤ顔



…今、なにした?



目を逸らせずにいると、ドヤ顔がこっちをチラ見して


「ふっ」


鼻で笑った



…ああ゙ーー!!



チューしたっ?!チューしたのかっ?!なんでチューすんの?!まさか付き合ってんの?!だったら俺でもよくない?!俺とチューでもよくない?!好きだよ?!二宮和也のこと好きな奴がここにも居るよぉーっ!



ひらりと、紙ナプキンが床に落ちる

鼻息で飛ばされたらしい

驚くほどの貧乏ゆすりがテーブルをガタガタと揺らして、カップがカチャカチャ鳴る


握り拳になっていた手は汗でびしょびしょ



俺って動揺するとこんな風になるのか



「マジか、あははっ」



初めて知る自分に笑えた



今が幸せで、このままでもいいって思ってるのに、さらにその先を求めるなんて

こんなに強く何かを求めてしまうなんて



「二宮和也ってすげぇな…」



恋ってすげぇな…




「それってさ、その、Nってやつ


二宮?Nって二宮だよな?」



お前を知ってるよアピール



「二宮、和也だろ、じゃ、また来週な」



お前に興味があるからまた会いに来るよアピール



こっちだって恋してるんだ、俺もチューしたいんだ


だったらもう大人しくコーヒーだけ飲んでる場合じゃない


万が一付き合ってる奴が居るとしても、そいつよりも俺のことを好きになればいい



二宮和也が好きだから俺のことも好きになってもらおう作戦実行開始をここに宣言する





次の月曜日



「失礼ですが、どこかでお会いしましたか」



席に案内されると二宮和也が接客以外の声を掛けてきた


俺が、二宮和也の中に、存在している


お前を知ってるよアピールが功を奏している



存分に浮かれた


もう友達になれた気がした…のは、もちろん錯覚だけど、一歩も二歩も近付けたと思った




帰り際、二宮和也はいつもの笑顔ではない


今がチャンス!とばかりに気合を入れて



「また来週な」



しっかり言う



「…ありがとうございましたぁ」



あれ?それで終わり?


元気も覇気も、何も無い


なんで名前知ってんだよ!って文句言っていいんだぞ


お前は誰なんだよ!名乗れよ!って怒ってもいい



もっと俺に、なにかを俺に、向けて欲しいんだよ、二宮和也



「終わるの待ってるわ」



外で会おう


ここは仕事場だから、なにか思うことがあっても自由に言えないのかもしれない



二人きりで会おうだなんていきなり過ぎたかな、少し強引だったかな?と思ったけど、形振り構ってる場合じゃない

こうしている間にもまたSとチューしてるかもしれないんだ




外の看板が消えて、店内の灯りも落とされる

何度か見掛けたことのあるMさんが先に出てきた



「そろそろかなぁ」



なにを話そうか、なにを聞こうか

いきなり「好きだ」なんて告白しても信じてもらえないだろうから、まずは好きになった経緯を聞いてもらって、二宮和也こともたくさん教えてもらいたい



「まだぁ?残業かぁ?」



大きな窓を覗き見ると、灯りを落とした店内で動く影があった

それはいつまで待っても止まることはなく、次に二宮和也を見たのは日付も変わる頃



「あ~、やっと終わったんだ~、お疲れさー…ん?」



声を掛ける為に足を進めると、物凄く猫背の二宮和也は物凄く怖い顔をしている

…嫌われた?


一瞬だけ躊躇うその隙に、二宮和也は猛然と駆け出した



「ちょ…待っ…なんでぇー!」



呆気なく背中を見失った




「強引なのが嫌いなのかも…」



泣きそうになりながらトボトボ歩いてたら終電を逃した



「失敗だ、大失敗だよ…」



心が折れそうになる


こんな時はあの言葉



また来週♪



「そうだよ!来週までかんばる!来週もがんばるっ!」



夜空を見上げて思い返せば、走り去る姿は必死だった、可愛かった



「好きだよ」



言ったら、もっと好きになった
















つづく