兄と弟の秋・6 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















「謝るのはズルいよ」

「そうだよね、ちゃんとする」

「ちゃんとって?」

「今すぐ出ていく」

「…は?」

「和の言う通り、俺は狡かった

和にキスしたいってずっと思ってたんだ

弟にキスしたくて、頭がおかしくなりそうなくらいキスしたくて

和を自分のものにしたかったからキスした

だから、それについては謝らない

でも不快にさせたことは謝る、ごめん

ごめんね、和

けじめ、ちゃんと付けるから」



上に居た和を押し退けてベッドから起き上がった

クローゼットの一番手前にあった鞄を取り出して、今日明日に必要な分だけを突っ込む



「…智兄?」

「あとのことは翔に頼むから安心して」

「ちょっと!智兄っ!」

「弟に恋をするような兄で、本当に…ごめん

じゃあね、和」



廊下に出る時、背中で俺を呼ぶ声を聞いた



たったそれだけのことでも、俺は幸せになれた






階段を駆け降りる

踵を踏んだまま靴を履いて、玄関を開けた



和が居ない外の世界へ行こうとした身体は



「智兄!智兄ってば!」



後ろから掴まれた腕に引き戻された




「…なに?」

「ちょっと待ってよ!」



謝罪が満足に出来てなかったのかな



でも「ごめん」なんて言葉を何度重ねたところで説得力はない

だから、行動で示さないといけない




「急になんなの?訳分かんないんだけど!」

「大丈夫、みんなの生活は保証する

残りの荷物は後で引き払うし、みんなが居るときにこの家には入らない

もう二度と…」



和の前には現れないから



途中で言葉が止まって、最後まで言えなかった



今さら感傷的になって躊躇したわけじゃない


和への最後に伝える言葉が、本当にこれでいいのかと思ったからだ



…これが最後



最後なら、この想いを告げても…




「和」

「ちょっとなんなの?出ていくとか意味分かんないんだけど」

「最後に聞いて欲し……」




なぜか、息が止まった



玄関の扉から秋風が流れて


スッと身体の横を通り過ぎる




「…キス


したいならしてやるって言ったのに」




僅かに濡れた場所が熱い




「急になにも無かったみたいにして俺のこと避けて、今度は出てくとか

ほんとなんなの?訳分かんないよ」




今、触れていた?



和の唇が


俺の唇に…?





「ってゆーか、恋って言ったよね、さっき


どさくさに紛れて

ねぇ、智兄

言い逃げはズルくない?」

「……ご…め…」

「ぇえっ?!また泣いたのっ?!なんでなんでぇ?!」

「ごめ…ぅっ…」

「ちょっとやめてよぉ

俺のキスがヘタクソだから泣くとかマジで傷付くからっ!」

「ご…ぅう…ごめ…っ…」




弟の和が

兄の俺に



キスをした秋が始まった





















終わり