※BL妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
「段差気を付けろよ~」
いつもだったらこんなところで転ぶはずもないけど
今のニノには全く見えてないだろうから、足元をしっかり確認した
「あらら?」
下を見て視界に入ったのは、しょーんぼりな俺
「うわ~ あははっ」
素肌にニノを感じてるのに
このしょんぼり具合はなかなか情けない
俺もあれか
この状況を飲み込めないのは一緒なのか
「……のさ…」
「ん~?」
「…ゆ…」
「あ!忘れてたっ!」
言われて気付いて、腕を伸ばした
ゴポゴポゴポッ
浴槽から音が聞こえて、お湯が出始める
風呂入るって言って張り切って脱がしたのに、全然そっちに気が回ってなかった
やっぱ俺も動揺してんだぁ
あんな話聞いた直後だもんなっ
でもなんでだろ、あんまり悲観的な気分じゃない
現実逃避してるわけでも無理矢理楽観的にしようとしてるわけでもないんたけど
「ぅ…うっ…うぇ…」
あ、これだ
ニノが先に、泣いてくれたからだ
俺一人だったら、あの部屋でブチギレてた
文句言いまくって、そこら辺のもん蹴っ飛ばして
「馬鹿か?」「アホが!」「この糞ヤロー!」って暴れてた
話の内容は、今もとんでもないと思ってる
人の大切な心の部分を無視してるんじゃないかって思う
だけどあれは、ニノの未来の話
でもどんな方向になっても、なにを選んだとしても、それは全部ニノの未来だから
あの部屋で「馬鹿」も「アホ」も「糞」も言わなくてよかったな~って
ニノが隣に居てくれて、今にも死にそうな顔で真っ先に泣いてくれたから
俺は無駄に暴れたり、空回ったり、極度に悲観したりしなくてすんでるんだよ
「シャワー出すぞ~」
お湯が溜まるまでに、身体を洗うことにした
ぴったりくっついてると体勢が不安定で転びかねないから、ゆっくりと腰を降ろす
ここで冷水なんか頭から被ったら二人でパニックになるから、ちゃんと確かめる
はい、大丈夫、ちゃんとお湯ですっ
足元からゆっくりシャワーを当てて、身体、頭
それから涙と鼻水でぐっしょぐしょのニノの顔にもしっかりお湯を浴びせた
「…おぉ?これは難しっ!」
シャンプーボトルって片手だとなかなか難易度高い
上から押して、すぐさま手を移動させて受け取ろうとしたけど、びろ~んと下のタイルに垂れちゃう
「ニノ、手伝える?」
「ぅ…ん…」
片腕を伸ばしてくれたニノがポンプを押してくれた
俺はそれを手のひらで受け取る
あ、今ちょっとだけいい雰囲気になった
すっごく小さい事だけど、これは立派な共同作業だから
な~んか楽しいかも
つづく