兄と弟の秋・2 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















「智くん」

「ん?」

「和に言った?」



長袖のシャツを着始めた朝

出掛ける支度を終えた翔に聞かれた



「…言ってないよ」

「え?そうなんだ?アクションも起こしてないの?」

「そう…うん」



キスをアクションと呼ぶなら起こしたことになるかもしれないけど


あの夜は、気持ちを言う言わないという次元ではなかった



「上手く表現出来ないけど、少し変わったよな」

「変わった…?」

「だから言ったのかと思ったんだけど違ったのか」



確かに変化はしたんだと思う

俺の望んでいた方向とは真逆の方へ



「で?智くんは伝えないで出て行くつもり?」

「なん…で…」

「それぐらい見てれば分かるよ」

「…そっか」



翔にはすぐバレる

俺よりもずっとしっかりしてる



先に生まれただけで兄と名乗る俺がここを出ても、安心して任せられる




「あのさ、俺も雅も潤にも迷惑掛かってないから

無駄に悲観して勝手に出てくとか止めてね

じゃ、いってきます」



無駄な悲観…?



「…いってらっしゃい」



どういう意味だろう









持ち帰った仕事が一段落ついて、ふぅ~と息をつく



「コーヒー飲も…あっ…間違えた」



いつもの癖でドアに向かった身体を椅子へ戻した




あの日から、和が家に居るときはなるべく部屋から出ないようにしている



これ以上嫌な気分にさせたくないのに

顔を見るとあの身勝手なキスを思い出して、くだらない欲が頭を擡げるから



弟に恋をするこの心も、身体も

和にとっては、害以外の何物でもない




コン コン


カチャ



手元の明かりだけで仕事をしていた部屋に、光が射し込んだ



「あ、ごめん、寝てた?」

「…え?」



開いたドアの隙間から部屋を覗いたのは和だった



「なにっ…なんか用?」



二人きりになってしまうこんな場所にわざわざ来るってことは

最終通告を言い渡しに来たのかな



気持ち悪いから出ていけって、そんな類いのことだろう



もう少しだけ和と、もう少しだけみんなと

そうやって先伸ばしにしていた罪



優しい和に言わせてしまう前に、出ていくべきだった




「用っていう用があるわけじゃないんだけどさ」

「うん…」



もし和が出ていくと言うなら、それは止めないといけない

和には一つの非もない



俺が、全部悪い

















つづく