兄と弟の秋 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















雨が降る毎に、少しずつ大気が入れ替わっていく



木々は実を落として、大きく広げていた葉を色付けていく



澄んだ空気の中


一つ一つ閉じていく外の景色



俺も同じように


一つ一つ閉じていく




…そう思っていた






「智兄、ただいまっ」

「あ…和…」



心配していたのは、俺が居るこの家に寄り付かなくなって


翔や雅、潤とも離れてしまうことだった



「なに?どうしたの?」

「いや…おかえり」

「ただいまっ ご飯ある?」

「あるけど…」

「すぐ食べる~


着替えてきまーすっ」



トントントン


軽快なリズムで階段を登っていく音が聞こえる



「帰ってきてくれた…」



長い休みが終わっても、学校が始まっても


和は毎日この家へ帰ってきてくれた




「よかった…」









あの夏の夜



和にキスをした夜



涙が枯れるまで泣いた後、どうやって自分の部屋へ戻ったのかも覚えていない



翌朝


唇に残っていた和の感触



兄弟という一線を超えていた俺に


和はもう二度と微笑んでくれないだろうと思った



会話も無くなって、目も合わなくなって、そのうち姿も見えなくなるんだろう



このままでは和の生活を窮屈にして、みんなの生活も息苦しくしてしまう


こんな駄目な兄だけど、弟達の生活は保証するという約束だけは守りたい



俺がこの家を出ていく日が、すぐにやって来る



準備を、始めないと…




「智兄?」

「…え?」

「箸からご飯落ちたよ?」

「あぁ、ごめん、ぼーっとしてた」



夏は終わったのに、なぜか和は変わらない

俺の目の前でご飯を食べるし、何事も無かったかのように話し掛けてくる



…俺のこと、気持ち悪いだろうに




「ごちそうさまでしたっ

智兄ももういい?一緒に片付けちゃうけど」

「…うん、ありがと」



あんなことをされたのに、弟を一生懸命に演じてくれているんだ



…優しいね



本当に、ごめん
















兄と弟の夏

兄と弟の夏・2

兄と弟の夏・3

兄と弟の夏・4

兄と弟の夏・5

兄と弟の夏・6




つづく