※BL妄想日記です
苦手な方はお気をつけください。
新幹線が定刻通りに到着した
プルルルルルル
別れの合図
「ありがとうございました、また来ますっ」
「う~ん…」
「大野さん?」
ホームの時計をチラリと見た
「よし」
手を繋いで、歩き出す
「…え…えっ?」
プシュー
扉が閉まった
「なっ…なんで…」
「もう少しだけ見送るね」
「ぇえー?!」
二人を乗せた新幹線が動き出した
「ちょっ…え?!会社…仕事は?!」
「だって離れがたいんだもん」
「だからって!」
俺だって離れがたいし、一緒に居られる時間が伸びたことは嬉しいでけど、でもっ
「これでもう一回、キス出来るね」
「…ふぇ?…ちょ…ダメ…」
「ほんとに可愛いんだからなぁ」
ぐっと腰を引き寄せられて
「人が通るかもしれないから…ね?」
言葉の最後に破壊力のあるウインクをすると
短いキスを何度も繰り返した
あ~…
腰がぁ…
砕けるぅ…
「はぁ…ん…」
「あ、立ってられない?本社まで送ろうか?」
次の停車駅が見えてきたところで、俺を支えながら嬉しそうに笑ってる
「だっ…だめです!」
「でもぉ」
「でもじゃない!降りなきゃダメっ!」
「え~?」
「お互いに!お互いの場所で!頑張るの!
それでまた…智に甘えに行くからっ!」
「うん」
「智も辛くなったら甘えに来てねっ!」
「うん、行く、甘えに行くね」
プシュー
扉が開いて、外の風が入ってくる
名残惜しそうな背中へ
「いってらっしゃい!」
元気いっぱいに言った
くるっと振り返った大野さんは、すごく優しくて甘い笑顔を見せてくれた
「行ってきます、いってらっしゃいっ」
「行ってきまーすっ!」
「ふぅ~…おわっ…腰やば…」
ふらつく足を進めて、なんとか席についた
「行ってきます、と…いってらっしゃい、かぁ…」
これ、いいよね
すっごくいい
「早く毎日言いたいなぁ…」
隅々まで智で満たされた心と身体
そっと抱きしめて、目を閉じた
終わり