兄と弟の夏 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

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嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















「ただいま~」

「おかえり、ご飯は?」

「すぐ食べる」

「用意しとくから着替えてきな」

「サンキュ」



キッチンに顔を出して帰宅の挨拶

それを終えると、すぐに階段を上る足音が聞こえてくる



一見すると、ごく普通の会話と行動



だけど、俺達にとってはすごく不自然





「智兄っ!ただいま!」



まずここで抱きつかれる



「会いたかったよー!」

「おかえり~って朝見送ったでしょー」

「朝別れてからずっと会いたかったの!」

「はいはい、俺もですよ~」

「智兄っ智兄~っ」



このあとずっと後ろを付いて回って、隙あらば抱きついたり、手を繋いできたり



それが俺達の日常だった


だからは今は、物凄く不自然なんだ





「ごちそうさまでした」



手を合わせると、使った食器を洗い始めた



「和」

「ん~」

「高校はどう?」

「普通」

「夏休みなのに毎日行くの?」

「学習室借りてるから」

「せっかくなんだから家でのんびりしたらいいのに」

「してるよ、学校で勉強進めてるから家ではのんびりし放題」

「そう?」

「よし、終わり

朝ごはんの用意とかある?」

「…ないけど」

「じゃ、おやすみなさい」

「…おやすみ」



ほら、一回も触ってこない

近くにも来ない



「やっぱあれは怒ってるんだよなぁ…」



思い当たる節は多分にある






「進学?しないよ」

「え?なんで?」

「なんでって、すぐに働いたほうが効率的じゃん」

「今の時代中卒だとかなり苦労するから」

「苦労は若いうちにたくさんしたほうがいいんだよ」

「こら、話をすり替えるな」


「進学はしないの」


「駄目だよ」



進路希望調査についての紙を潤から受け取った


同じように和からも渡されると思ってたのに、いつまでたってもその話にならない


もしかしたら進む学校をどこにするのか悩んでいるのかと思って「進学は?」と、何気なく聞いたんだ



「…これ以上 智兄の負担になりたくない


自分の食べる分くらい稼ぎたいし俺が働けば家計だって楽になるでしょ、だから」

「金の心配はしなくていいって」

「お金もそうだけど、智兄が大学に行けるじゃん

現役は無理になっちゃったけど、そんなにブランク空けずに行ったほうがいいんだから」

「それも前に話したけど、俺は大学に興味がないから行かないだけで、これからも行く気はないよ」

「俺も学校に興味無いから行かない」

「だから、話をすり替えるなって」

「すり替えてない!同じ話だよ!」



話は平行線を辿った



何日も話し合って、翔と雅と潤にも加勢してもらって、やっと高校受験へ送り出した



順当に合格、無事に入学

俺も社会へ出て働き始めた



その頃から、和の態度が変わっていった






「感情的にでもなってくれれば何とかしようもあるんだけどね…」



一見すれば普通、むしろこれが普通



だからこそ打開策が見付けられない

















つづく