15周年の秘密・岐路6 | 黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

黒チョコの嵐さんと大宮さん妄想書庫

嵐さんが好きです。二宮さんが好きです。大宮さんが好きです。

こちらは妄想書庫でございます。大変な腐りようです。足を踏み入れる方は、お気をつけくださいませ。

※BL妄想日記です


苦手な方はお気をつけください。





















玄関を出た


ドアをロックして、鍵をポストへ落とす



「ふぅ…」



目を閉じて、ドアに額をつけた



微かに聞こえてくる声

この分厚いドア越しにも漏れ聞こえるくらいの悲しい声



「さっさと落としといてよかった…」



このドアを開けることが出来る状態だったら

また知らない顔をした俺が、大野さんを抱きしめてしまうから



それでまた縛って、苦しい想いをさせてしまうから









「…寝たかな」



声が聞こえなくなった

物音もしない



あんなに疲れきった顔してるのに

寝る間も削って説明の準備をしてたんだと思う



俺なんかに時間を割いてる場合じゃないのに



もっと早くこうしていたらよかった



…ごめんね




「おやすみなさい…大野さん」











白み始めた街に車を走らせる



悲しい泣き声が、まだ耳に響いてる



明日は酷い顔してるかもしれないな…

マネージャーに氷とタオルを用意しといてって頼んでおこう



仕事は仕事

元気な笑顔を求められたら、どんな心境だろうが応えて当然だからね



でもそれをする為に、やっておくことがある



その身を揺るがすほどの大きな出来事が起こった時は

手順を省いてる場合じゃない



ちゃんと傷付くこと

ちゃんと反省すること

二度と繰り返さないこと


それから、ちゃんと泣くこと



溜め込んでる余裕なんてないんだ

全てを吐き出すように泣いて、泣いて、泣いて

泣き疲れて眠るまで泣いて、また泣いて



そうするとね、ある時、ふっと、余計な物が外れてることに気付くから



そこからは、やるべきことが自然と見えてくる



前を向いて、進んでいける



進まなくちゃいけないんだ




あなたは、大野智なんだから











部屋に付いた

身体が驚くほど重い



「はぁ…幸せだったなぁ…」



ソファに沈んで目を閉じると、次々に浮かんでくる映像



「告白が全く理解出来なくて…

初めての夜はイケなくて…

リベンジしようとしたらすっごく頑張ってくれたなぁ


俺の誕生日も一生懸命で…

あの時、和也って呼んでくれて…

ハワイで動けない俺を支えてくれた


大野さんの誕生日にやっと智って呼べて…

…そうだ、あの約束…」



誕生日ケーキ、今年も作るって約束



「これだけは守りたいな…」



また練習しよう

今度こそ、胸を張って披露出来るように



それを大野さんに食べてもらうには…



「みんなでパーティー…?

あはは…それいいじゃん

そう…あの時は衝撃的だった

お付き合いしてますとか言って…あの人は…ほんとに…」



大野さんは、嘘が付けない

とても優しいから


秘密も似合わない



分かってたのに…



そこが好きで

そこも好きで

全てが好きで

どうしようもなく好きで




「…大野さん、好きだよ」





俺は手順を踏まない



苦しみも幸せだから



想いに蓋をして、それが腹の中で腐敗しても

誰にも、あなたにも見せずに抱えていく




「楽しかったぁ…


俺は…今も、これからも、ずっと幸せだよ…大野さん」





16周年を無事に迎えた


この胸に、愛しい人はもう居ない


俺は秘密を手離して


眠りに落ちた





















終わり




最後までお付き合いいただきました皆様、ありがとうございましたm(_ _)m