私は子供の頃、空を飛ぶことが出来た。

両手をパタパタと上下に動かすと、建物の2階くらいまで浮き上がって、手を止めるとスーっと地面に降りてくる。

多分、小学校2年生くらいまでは飛ぶことが出来ていたはずだ。

 

大人になったら、いつかタイムリープすると思っていた。

思い出のあの時に戻って、もう一度やり直すのだ。

ある日突然、気が付けば過去に戻っているはずなんだ。

 

そして、ついにタイムリープを経験した。

数年前のあの時や、数十年前のあの時、あの日、あの場所に戻ったのだ。

忘れていた記憶を思い出したのだ・・・

 

・・・『終わりましたよ』とベットで声を掛けられて、目が覚めた。

手術室に入ってから8時間近くが経過していた。

私はタイムリープした過去から、戻ってきていた。

 

 

  10月の雑読

 

 

 

■地下鉄(メトロ)に乗って  浅田次郎

1995年、第16回吉川英治文学新人賞受賞作品

ある日、地下鉄永田町駅から地上に出ると昭和39年の世界だった。

気になっていた父親や兄弟の事を知る為に、過去に遡る事にした。

 

私自身も、両親の若い時の事や馴れ初めについて、聞いたことがない。

地方から出てきた両親は、大阪で核家族となり、その子供たちも同居せずに家を出て、更に核家族となった。

子供たちが両親と一緒に住むのは、就職する頃までの20数年間だけだ。

そのうち、サザエさんちの様な家族構成が異様に感じるのかもしれない。

 

■時をかける少女  筒井康隆

1967年発行の中高生向けSF小説の代表作。

1983年に大林信彦監督、原田知世主演で映画化され、2006年には細田守監督によって同名のアニメーション化もされた。

 

2冊続けてタイムリープ物を読んだので、私も麻酔で眠っている間にタイムリープを経験したんだと思う。

 

 

 

 

■別冊図書館戦争Ⅰ(図書館戦争シリーズ⑤) 有川浩(ひろ)

図書館戦争シリーズのスピンオフ作品だが、4巻の続きだ。

図書館で起こる日常と堂上と郁の恋の行方のお話。

 

■別冊図書館戦争Ⅱ(図書館戦争シリーズ⑥) 有川浩(ひろ)

シリーズに登場する様々な人物にスポットが当たり、最終巻として満足度の高い作品だった。これは1巻から時系列で読み進めたい。

 

1巻から4巻までのレビューはコチラ

 

 

 

 

■プレゼント 若竹七海 1996年発行

仕事はできるが不運すぎる女探偵、葉村晶が登場する一番古い作品。

彼女の20代でのフリーター時代や、28才の長谷川探偵調査所に入社した頃の話。

小林警部補が登場する話と合わせて8話の短編集となっている。

 

■暗い越流 若竹七海 2014年発行

葉村晶登場作品2話をを含む全5話の短編集。

巻末の近藤史恵さんの解説では、『ミステリ好きならストーリー展開の予想はある程度できている。その予想をかいくぐられる事に喜びを感じる』とコメント。

若竹七海さんのミステリ小説は、外さないと言っているのだ。

分かるけど、もう一度読んでも理解が不十分なのは、自分の読解力の低さだな。

 

お見舞いに友人のカモメ君から頂いてハマった葉村晶シリーズ。

他の作品のレビューはコチラ

 

 

 

 

  滋賀医大病院 院内図書室『かいつぶり』

 

10月中に入院していた滋賀医科大学付属病院の院内図書室は、とても環境が整っている。

直木賞や芥川賞など、まるで書店の様に配置されていた。

 

 

 

■あるかしら書店 ヨシタケシンスケ 2017年発行

 

その町の外れの一角に『あるかしら書店』がある。この店は『本にまつわる本』の専門店。

絵本作家ヨシタケシンスケさんの本に対するやさしい気持ちが伝わってくる一冊。

 

 

 

■終着駅 宮脇修三 2009年発行

 

宮脇俊三は1929年生れ、中央公論社編集長時代の1978年に退社し『時刻表2万キロ』で作家デビュー。以来、鉄道紀行文学の第一人者と呼ばれる。

2003年の没後、未発表のエッセイを取りまとめた作品。

 

旅情を感じる要因

1,沿線の風景

2,乗客同士の方言の会話

3,型落ちした列車のノスタルジー

4.木造駅舎のレトロ感 

 

特に終着駅に深く旅情を感じる。稚内駅、肥後小国駅、大前駅、熱塩駅、蛸島駅、根室駅、津軽中里駅、大社駅、中村駅を紹介するなど、読めば旅に出たくなる。

 

 

  直木賞・芥川賞受賞作品

 

 

■月の満ち欠け 佐藤正午 2017年発行 第157回直木賞受賞作品

 

『試しに死んでみる』

月の様に生き返る死、種を残す大樹の様な死。

どう説明してもネタバレになるので、ストーリーには触れないでおく。

かつて読んだ東野圭吾の『秘密』(1999年に映画化、出演、小林薫、広末涼子)で感じた切なくやりきれない気持ちを思い出した。

 

2022年12月に映画が公開予定だ。

出演、大泉洋、有村架純、目黒蓮、伊藤紗莉、柴咲コウなど。

 

 

■銀河鉄道の父 門井慶喜  第158回直木賞受賞作品

 

岩手県の詩人で童話作家の宮沢賢治の父である宮澤政次郎の話。

本のオビには、『天才の父』とあったが父親にとって息子は天才ではない。

仕事が長続きしない放蕩息子を心配し、娘を失くした悲しみに暮れる父親なのだ。

 

 

 

 

 

■むらさきのスカートの女 今村夏子 2019年 第161回芥川賞受賞作品

 

公園に座る『むらさきのスカートの女』を観察する私。

スラスラと読めるので一気に読んで、雰囲気を味わう。

レビューを見たりしてはいけない、考えるのではない、感じるのだ。

 

 

 

■背高泡立草 古川真人 2020年 第162回芥川賞受賞作品

古川真人さんは156回、157回、161回でも芥川賞候補に挙がっている常連だ。

 

感想は賛否あるだろう。ストーリーや文章の好み、読み心地のよさは人によって違うから。

私は形容詞が重なる回りくどい文章が苦手なので不快に感じたけどね。

何より読み終えて、なぜ『背高泡立草』のタイトルを付けたのだろう?の疑問が拭えなかった。

 

 

 

 

■スクラップ・アンド・ビルド 羽田圭介 2015年発行 第153回芥川賞受賞作品

 

スクラップ・アンド・ビルドは老朽化して非効率な設備を廃棄して新しい設備に置き換える事。

作品内のスクラップとは、87歳の祖父?失業している自分?

老人介護や年金の事など、ちょっぴり引っかかる1冊だった。

 

 

■ニムロッド 上田岳弘 2019年発行 第160回芥川賞受賞作品

 

現代の情報化社会を背景に、仮想通過を扱う事業を担当するエンジニアの自分と小説家を目指す同僚の話。

役に立たない物って成功の為に必要なら役に立たないとは言わないんじゃないかな?

本当に役に立たないって何だろう? By ニムロッド

 

 

  分厚い本

 

 

私の本棚にある一番分厚い本がコレ。

 

 

■国境 黒川博行 2001年発行

 

疫病神シリーズの2作目、800ページ以上もあって普通の文庫本の4冊分の厚さだ。

ヤクザの桑原と建設コンサルタントの二宮が追い込みをかける舞台は朝鮮民主主義人民共和国。

『何とかなるやろ』が全く通用しない別世界って事は分かった。

 

 

 

■永遠の0 百田尚樹 2006年発行

 

百田尚樹さんのデビュー作。2013年12月公開で映画化され、第38回日本アカデミー賞の最優秀作品賞、主演の岡田准一さんは最優秀主演男優賞を受賞した。

これは定期的に読み返すべき1冊と思っている。

 

映画のレビューはコチラ

 

 

 

10月は入院と静養で、いつもより読了数も多い。

これからは外出を増やしていきたいと思う。

 

 

 

 

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