図書館戦争シリーズは有川ひろさんの小説。メディア良化法が制定された30年後、正化31年のパラレルワールドが舞台だ。

 

  メディア良化法とは?

 

1988年、公序良俗を乱し、人権を侵害する表現を規制する法律『メディア良化法』が制定された。

その執行機関として良化特務機関が設置され、メディアや印刷物が検閲され危険とされる表現を規制する事となった。

その検閲に対抗できるのは、図書館法の『図書館の自由に関する宣言』を謳う図書館だけ。

 

メディア良化法の制定から30年後、良化特務機関と図書館の対立は武力を行使する状況となっていた。

 

  小説版 図書館戦争シリーズ①~④

 

 

 

■図書館戦争 2006年2月発行

 

堂上篤・・・図書を守る防衛隊の特殊部隊の教官

笠原郁・・・特殊部隊初の女性隊員。

 

作者の有川ひろさんは、月9の連続ドラマ風の物語ってコンセプトと言っている。

特殊部隊の教官に向かってタメ口をきく新人隊員など、不愉快に感じる所もあるが、恋愛ドラマやアニメの原作と考えるなら仕方ない。

 

メディア(テレビやネット情報やSNS、書籍など)の表現を規制する必要はあるのだろうか?と考えさせられる。

なぜなら表現の自由は憲法で認められているから。

でも、親として子供に見せたくない表現があると思う気持ちも分かる。

その『良かれと思う善意の正義感』がこの小説のテーマだ。

 

■図書館内乱 2006年9月発行

 

全体に恋愛ストーリー感が濃く、首筋がかゆくなる。

入院中に読んでいたら、看護師さんから『えっ?そんなの読んでるんですか?』って言われた。おじさんがライトノベルを読んでるのは恥ずかしいのか?

それこそ、自由ではないかと勝手に思う。

 

 

 

■レインツリーの国 2006年9月発行

 

図書館戦争シリーズのスピンオフ小説。

図書館内乱の作中で、中澤鞠江が図書館で借りる小説『レインツリーの国』を実際に小説化したもの。

後にメディア良化委員会の有害図書に指定される。

 

2015年に森玉裕太と西内まりや出演で映画化された。

 

 

■図書館危機 2007年2月発行

 

新人隊員だった笠原郁の昇任試験など、成長過程を応援したくなっちゃう。

 

メディア良化委員会の検閲に引っかかった差別用語とされる『床屋』の表現を巡る論争が興味深い。

これはフィクションではないと思う。

メディアで使ってはいけないとされる禁止言葉は実際にあるし、増えてもいるのだから。

私たちの知らないうちに、誰かが『みんなの為なんだから』と言葉を規制している事実があるのだ。

 

■図書館革命 2007年11月発行

 

そのテロ事件は、ある小説の内容に酷似していた。

『本が悪影響を与えるのだ!作者は逮捕するべきだ!』と言う人は、良かれと思って言ってるんだろう。

この1冊で映画化できそうな内容の濃いアクションストーリー。

 

※図書館戦争シリーズのスピンオフとして、別冊図書館戦争①、②があるが、作者曰く、恋愛成分高めでベタ甘との事なので宿題にしておく。

 

 

  映画版 図書館戦争

 

■図書館戦争 LIBRARY WARS

2013年4月公開

監督:佐藤伸介 

出演:岡田准一、榮倉奈々、田中圭、福士蒼汰、栗山千明、石坂浩二

 

 

1冊目の図書館戦争のストーリーに沿った内容。

恋愛ストーリー、戦闘アクションと見所満載。

亡くなった日野図書館の館長として、児玉清さんの遺影が出てくるが、事情を知っていると泣ける。

 

■図書館戦争 THE LAST MISSION

2015年10月公開

監督:佐藤伸介 

出演:岡田准一、榮倉奈々、田中圭、福士蒼汰、栗山千明、石坂浩二、松坂桃李、土屋太鳳

 

 

原作の2巻、3巻の茨木県展のストーリーで、ほぼ全編が館内でのアクションシーン。

福士蒼汰のウエストの細さに、ついつい目が行く。

岡田准一のアクション俳優としての認知を高めた一作。

 

  感想

 

図書館戦争が書かれたのは2006年で、15年前の事。

架空のメディア良化法は、国民に害のある情報を規制しようとするものである事は理解できる。しかし、国民の自由の権利を侵害する物でもある。

有川ひろさんは、作家の立場でコトバの自由のついて考える事を投げかけているのだ。

 

日本国憲法第3章 国民の権利及び義務 第21条

1、集会、結社、および言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

2、検閲はこれをしてはならない。通信の秘密はこれを侵してはならない。 

 

でも、実際には放送禁止用語ってあるでしょ。

SNSに何を書こうが自由だったはずなのに、誹謗中傷に当たる物は規制されるべきと言う。

手続きすれば電話やメールの通信履歴を公開する事も出来るらしい。

それって、上記の自由の権利を犯しているって事じゃないかな?

 

『良かれ』と2003年には個人情報保護法もよく知らないうちに制定された。

小説の良化法の様に法律がよく知らない内に決まっていくのは怖い。

 

図書館戦争シリーズは月9連ドラ風で恋愛成分が濃い小説だけれども、表現の自由とは?権利とは?を少し考える作品だった。

 

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