自由と規定 | PTAはPTA

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私が経験したことを基にPTAに対して感じたこと・感じていることを綴ってみようと思います。

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学校の校則や制服がブラックだとよく問題視されますが、制服や身だしなみなどの規定は学校に限らず多くの企業も定めていて、中にはとても細かで厳しい規定を持つ企業もあったりします。

ここ近年は働き方の多様化がより一層進むなかでコロナ禍も経て、企業の服装規定緩和に拍車がかかっている、そんな印象を受けます。
制服を廃止する企業が増え、私服も自由度が高くなってきていると耳にする一方で、顧客対応が必要な業種では、まだまだかっちりとした規律が必要との声も多くあります。

前に郵便局員さんが長髪・髭でマイナス評価を受け、裁判を起こして勝訴したということがありました。
当時、郵便局には服装規定があったそうですが、服装や髪型は基本的に従業員の自由、一律不可は認められないと裁判所は判断されました。

学校の校則でも話題に上がる就労時・就学時の服装や髪型については、個人の自由が原理原則、これ自体は多くの人が理解していて、否定する人も少ないと思いますが、その一方で、仕事(職場)や学校にはそれぞれふさわしい服装があると考える人も多く、どこまで自由なのか、どこまで認めるのかの明確な基準や答えはないように思います。

これは日本特有の案件か?といえば、確かに欧米諸国は日本よりも社会全体として個々の権利が保護されていて、一般的に服装は自由という考え方が浸透しているようですが、国によって、職種によっては、日本よりも厳しいドレスコードが規定されている企業もあり、その厳しい規定社員たちはじめ社会全体としては容認されていると聞きます。

インディード(Indeed)が行ったアメリカでの調査で、オフィスカジュアルを認めている企業は、直近5年間で32%から50%と大幅に増加したという結果が発表されましたが、自由の国アメリカでも未だ半分の企業は、30年前に始まった新しい働き方の潮流に乗れていない、認めていないともいえます。

欧米の金融系機関などの中にはスーツのブランドまで指定しているところもあるらしく、そうした厳しい規定が許容されているのは、その業務にどんなスキルが必要で、どういう人を求めているかの基準がはっきりしているから。働く側も自分に合った企業を求めて就職や転職を行い、社風が自分に合わなければ、他の企業に自ら転職していく、日本が業務ではなく組織に所属することに賃金を支払うという雇用制度に対し、欧米諸国は、業務に対して賃金を支払うジョブ型雇用制度だからとの指摘があります。

確かにそうかもしれませんね。

元々ビジネスカジュアルは、アメリカのシリコンバレーで1980年代に始まり、のちに「カジュアル・フライデー」として世界に広まり、日本では「クールビズ」などが導入され、夏だけに限定されていた期間が、徐々に開始時期が早められたり期間が長くなったりして、年間通してカジュアルな服装で過ごす会社も増えてきています。

またイギリスでの調査では、服装規定の強い企業は希望者から悪い印象を受け、服装規定が緩められると、生産性と幸福度が上がると考える人が6割を超えるなど、今や服装規定は、会社の価値を示すものと捉えられているようです。

 

でも、現場では自由を理解しているとはいえ、実際に社内で社員のドレスコードについて話しはじめると、これがなかなかまとまらないのが現実で、あるべき姿や服装のアウト・セーフの基準が、人によって全く違うことが分かってきます。

作業着が必要な職種、スーツとネクタイ必須の職種や会社、ビジネスカジュアルOKの会社、その中でもドレスコードがあったりなかったり、あるいは年齢、性別、業種柄などによっても全く違ってきます。

 

以前記事にも書いたスティーブ・ジョブズの黒のタートルネックは、最初ソニーみたいな三宅一生のナイロン製ジャケットを会社の制服にしようと提案したら社員たちからブーイングの嵐却下。でも制服があった方が毎日便利だし制服を通して自分だけのスタイルを人に伝えることができるから自分だけ制服作っちゃうのも悪くないかというのが黒のタートルとリーバイス501を着る理由だそうです。あれはジョブズ流の制服なんですね。


また、顧客の価値観が堅ければこちらも堅く、カジュアルであればそれなりにという形で、相手の基準に合わせている会社や部署の経営陣の価値観で基準を決めている会社もあったりと、「服装」に対する考え方というのは、会社によって実に多様ということに加え、コロナ禍でリモートワークの機会が増えたことで、さらに変化していて、統一するのは容易ではなく、遠くない将来ドレスコード自体がなくなり、それぞれ個人の判断で、TPO(時間:Time、場所:Place、場合:Occasion)に合わせるということになっていくのかもしれません。

でも、服装やドレスコードの違い=会社の社風の違いと周囲が受け止めているとしたら、全く自由よりもある程度の定めはあったほうがいいように思えてきます。

私の勤める会社も入社当時には、男性はブレザーのみ、女性は上着とスカートという制服があり、ともに会社からの貸与でした。また、作業着の必要な部署には会社名入りのものが配給されていました。
通勤用の私服についてはネクタイは必須、ジーンズはNGぐらいで全体として緩い感じだったと記憶しています。

それでも入社5年目くらいに制服見直し検討委員会が社内で立ち上がり、若手中心の委員による社内アンケート、顧客アンケートを参考に女性の制服がフルモデルチェンジ、そしてさらに5年後くらいに、賛否さまざまある中、自由化という名の事実上の廃止となり現在に至っています。
当時制服廃止の一番の要因は、自由や権利というよりも会社側の経費削減だったと私は思っていますけど。

学校はどうかといえば、意外かもしれませんが、アメリカでもイギリスでもカナダでも欧州でも、私立や公立の厳しい学校には制服があって、とくにイギリスでは、私立・公立ほぼ100%に近い割合で幼稚園から高校まで制服があると聞きました。それも有名校ほどめっちゃ厳しい、細かい規定らしいです。

どの国でも同じだと思いますが、厳しいしつけに従うことは協調性や勤勉性など非認知能力を高めるための訓練であり、それぞれが自制心を持つことはリーダーになるうえで大変重要なことという認識が根底にあると伺っています。

また別の調査、日本の高校生へのアンケートでは約8割が学校制服はあったほうがいいと回答していて、良い点として「毎日の服装に悩まなくていい」(58.3%)「学生らしく見える」(56.0%)「どこの学校か一目でわかる」(34.8%)が上位3位でした。

逆に学校制服はないほうがいい理由上位は、
「個性が出ない」「束縛されている感じがあるから」「温度調整が難しいから」でした。

どれもよく聞くご意見で、自分たちも学生時代にクラスや部活でよく言いあいました。正しい・間違っているではないんですよね。それぞれの主張にはそれぞれの理由があったんです。

また、企業に対する調査で興味深い結果を目にしました。

まず、現在の服装についての質問では
①スーツ、制服…34.1%②オフィスカジュアル…37.9%③完全自由…24.4%
④その他…3.6%
で、今はスーツ・制服、完全自由、その中間とほぼ同等の割合であり、②と③を合わせた約3分の2の会社がある程度個人の裁量に任せていることになります。

面白いのは現在の服装について、それぞれにみな満足度が非常に高いことと現在の服装を理想に選んだ理由です。
<スーツ、制服希望>
「決まった服装の方が楽だから」「公私の区別をつけたいから」「相手に失礼な印象を与えないため」
<オフィスカジュアル希望>
「服装のルールはある程度あった方が、オフィス内の統一感がでるため」「内勤時はある程度、身体がリラックスした状態で仕事をしたい。あまりカジュアルすぎると、仕事をしている気がしない」
<完全自由希望>
「楽なものが一番」「自分らしさや個性でのびのびした人の方が、心や発想にゆとりがあり、生産性が高い」「自由な発想、自然体で仕事ができる」

「スーツ、制服」が理想の人は、仕事へのけじめや対外的なことを意識し、「完全自由」が理想の人は、快適さや個性を大切にしている。そして「オフィスカジュアル」が理想の人は、この2つの中間に位置していることが分かります。

学校の制服の要・不要について答えた学生のみなさんの回答と比べると・・・よく似ている気がしませんか?
自分と同じような価値観の方もいれば、全く異なる価値観の方もいらっしゃる。
そしてどんな選択にも必ず理由がある。


その理由に聞く耳を持つか持たないかでその先も変わっていくように思います。


貴方はどちらでしょう?

 

 

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