学習指導要領は、日本中どの地域で教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするための各学校での教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準となるもの、つまりは日本の教育の方向性を示すもので時代の変化や子どもたちの状況、社会の変化を反映して約10年に1度改訂されています。2017年が8回目の改訂、9回目の改訂が近づいています。
学習指導要領は目標やおおまかな教育内容を定めていて、幼稚園・小学校・中学校・高等学校・特別支援学校ごと、教科ごとに策定されています。
また学習指導要領は、学校教育法および同施行規則に基づき、文部科学大臣が定める「告示」なので国が定める「法規」としての性質(義務的)を持っていますが、大綱的な基準(最低基準)としての義務であり、学校や教員が独自の教育を行う裁量も認められています
2008年の改訂がちょうど私がPTA会長の時で、小・中学校の授業時間数が1割増え小学校でも英語が必修となる大きな改訂の時でした。
とてもいい機会だと思ったので小学校の学習指導要領の授業時間数の変化を調べてみました。
単純に時間だけを比べてみると
1947年 5565時間 1951年 5780時間 1958年 5821時間
1968年 5821時間 1977年 5785時間 1989年 5785時間
1998年 5367時間 2008年 5645時間 2017年 5785時間
高度経済成長期の入り口になる1958年と真っただ中の1968年に告示された学習指導要領の授業時間数が一番多いことがわかります。この時期は私が小中学生だった「詰め込み教育」や「教育内容の消化不良」と言われる時代でした。
また、1998年(平成元年)に告示された学習指導要領は、ゆとりの中で「生きる力」を育むことを目指した改訂で、授業時間数では一番少なくなっています。
完全週5日制の導入と総合的学習が新設されたいわゆる「ゆとり教育」と言われる時代ですね。
そして2008年の改定では脱ゆとり、授業時間が単純計算で年間278時間増えることになったんです。学校は通常の授業と学校行事など年間カリキュラムを組むのに大変だったと思います。
私は当初、学習指導要領の改訂版を全文印刷して保護者に配布したらどうか?と考えましたが、内容は保護者向きではなかったしボリュームも相当なもの、仮に配布しても目を通す人は少ないだろうと思い直し、その後に文科省が作成した保護者用パンフレットを活用することを役員会で話し合って決め、まずPTA総会で校長先生に学習指導要領改訂について、なぜ?何を?どういう形で?と大まかな話をして貰おう、その後パンフレットを配布して保護者の皆さんに目を通してもらう。さらにその後、学校側の創意工夫でどうカリキュラムに反映させるかを学級懇談会や学級だよりなどで保護者の皆さんに伝えてもらうのがベターではないかと学校三役との話し合いで合意し、そのとおり保護者の皆さんにお伝えできました。。
また学習指導要領に目を通すと今何かと話題に上がっている部活動の変遷もある程度わかります。
1947年 学習指導要領において部活動は選択科目の「自由研究」に位置付けられ、学年の区別がない児童生徒のクラブ活動が初めて教育課程の中に示されました。
1951年の改訂では、全生徒が参加し自発的な活動をする正規の教科と並び、重要な役割を果たす特別活動の領域として位置づけられ、1958年、1960年の改訂でも同じ位置づけでした。
特別活動とは①学級活動(ホームルーム活動)②児童会・生徒会活動③クラブ活動(小学校のみ)④学校行事(儀式的行事、学芸的行事、健康安全・体育的行事、遠足・集団宿泊的行事、勤労生産・奉仕的行事)のことを指しています。
1968年の改訂では、体育は学校教育活動の課題として「総則」に記され、教育課程内の「クラブ活動」が全生徒必修となり、それまで位置づけられていた部活動に関わる表記がなくなりました。
しかし1977年の改訂では部活動を再び学校教育活動として位置付けています。
1989年の改訂では、中・高等学校については部活動に参加する生徒については、当該部活動への参加によりクラブ活動を履修した場合と同様の成果があると認められるときは、部活動の参加をもってクラブ活動の一部または全部の履修にかえることができると示され、条件付き教育課程内のクラブ活動の代替を認めています。
しかし1998年の改訂では、中・高等学校における「クラブ活動」は廃止、学習指導要領に位置付けがなくなりました。
2008年の改訂では、中・高等学校の総則に教育課程外としながらも学校教育の一環として教育課程と関連を図るよう留意するなど部活動の意義と留意点等が示されました。
2017年の改訂でも同様に、教育課程外としながらも、生徒の自主的,自発的な参加により行われる部活動については、スポーツや文化、科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等、学校教育が目指す資質・能力の育成に資するものであり、学校教育の一環として教育課程との関連が図られるよう留意すること。その際,学校や地域の実態に応じ,地域の人々の協力、社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携などの運営上の工夫を行い、持続可能な運営体制が整えられるようにするものとするなど、地域連携が中・高等学校の総則に記されました。
どうも次期改訂でも、部活動を学校から完全に切り離さずに教育課程外(必須ではない)としながらも学校教育の一環であるとする方向性のようです。
部活動の変遷を見ると、改訂のたびに現場は振り回されていることがよくわかります。
理想や理念は素晴らしくてもヨーロッパ型総合型地域スポーツクラブの失敗や各スポーツ競技の企業型から地域型への移行の困難さを考えれば、部活動を学校教育から切り離して社会教育、地域へ完全移行するには日本の土壌ではまだしばらく時間がかかるだろう、当分は曖昧な状態が続くんだろうと思っています。「学校教育の一環」という言葉は重いですね。
現状の部活動については、生徒の自主的、自発的な参加(任意)だからPTA会費からの支援(助成)は不適切、受益者負担が当然だという意見を目にします。PTAの活動対象は当該学校の児童生徒全員だからという理由だそうです。
もっともらしく聞こえますが、受益者負担の原則にのっとりPTAが会員のお子さん限定の活動をすると活動対象が全員だから保護者の加入・非加入に関係なく全員を対象とすべきだといい、部活動は生徒の自主的な参加だから受益者負担というのはとても矛盾しているように思rえるんですよね。
個人の意見は意見としてと尊重しますがPTAは法的根拠のない任意団体で学校教育とは別の社会教育、活動の内容も対象も構成員が決める団体。
一方部活動は教育課程外とはいえ学校教育の一環と学習指導要領に明記していますからねえ。