「地球内天体アルザル」と「エイリアン」の謎 その5

 

 フィラデルフィア実験の最中に発生した異常な事故は、テスラ・コイルの電磁波交差によって発生したプラズマが引き起こした偶発的な事態だった。この時に発生した巨大なプラズマのエネルギーはすさまじく、一瞬にして水兵たちを蒸し焼きにしたり、体内発火させて灰塵としてしまう。さらに船体と人間が融合してしまうという驚愕の事態が発生してしまった。戦艦エルドリッジを覆った青白い光のプラズマによってエルドリッジは亜空間に移動してしまう。テレポーテーション現象が軍部と関係者の目の間で発生したのである。

 

 

 

 

◆「ハチソン効果」透過テレポーテーション現象

 

 装置のスイッチを入れると、物体が重力に逆らうように浮上し、折れ曲がりようもない金属が捩じれ、切断される。このまるでSF映画のような出来事が起こったのは、カナダのバンクーバーにあるジョン・ハチソンという人物の研究所だった。

 

ジョン・ハチソン

 

 1979年、ハチソンはいつものようにバンクーバーにある彼の研究所内の装置群のスイッチを入れていた。その時である。彼は肩に何かが当たるのを感じた。それは金属片であり、あたかも自分で飛んできたかのようであった。そしてその金属片は、再び飛び上がって彼に当たった。ハチソンは最初、誰かがいたずらしていると思ったが、そうではなかった。こうしてハチソン効果はほんの偶然に発見されたのである。

 ハチソンは冷静に状況を分析、現象に再現性があることに気づく。つまり、これは超常現象ではなく、機械が引き起こす未知の現象であると見抜いた。ハチソンは勘を頼りに、どんどん装置を改良。結果、ハチソン効果は強まり、様々な現象を引き起こすことに成功する。

 

ハチソンの実験装置

 

 さらにハチソンは、驚くべきことに物体の透明化、及びテレポーテーションが起こったことを報告している。地下の実験室から上がった外の倉庫に置いてあるカードボックスにあるはずの釘が、いつの間にか外に飛び出して、倉庫の壁を通り抜け、実験室の壁の表面に出てきたのだ。もちろんそんなところに穴などあろうはずがないのにである。また、ハチソン自身が見ている前で、物体が透明化して、置いてある台だけが透けて見えたと報告している。

 不可解なのは、浮上現象だけではない。金属に変形や破壊が起こった。スプーンがひとりでにねじ曲がる。金属の板やパイプなどが割れるように破壊されてしまう。さらに、融合というトリックでは不可能な現象も起きたのである。融合とは文字通り、2つの金属が溶接したように一体化する現象である。分子レベルで融合していたのだ。

 

金属と融合化したスプーン

 

金属の変形・破壊

 

◆「ハチソン効果を巡る動き

 

 1982年、ハチソン効果の再現性に満足いくデータを得たハチソンは「ファロス・テクノロジー社」を設立。ハチソン効果を商業ベースに乗せて、大きく展開しようという野望を抱いた。ハチソンの研究成果に関する情報は、カナダの技術者の間で噂となり、カナダ政府関係者やアメリカの国防総省、航空宇宙関係者などが多数ファロス社を訪問することとなった。

 そして1985年には、軍事産業大手マグダネル・ダグラス社の技術者たちが来社して効果を確認。詳しいデータを取ると共に、技術提携をほのめかしたことで、ハチソンは持っているほとんどの実験データを提供してしまう。そしてマグダネル・ダグラス社の技術者たちは、これをアメリカに持ち帰った。

 

 1989年、ハチソンはドイツに向かったが、慣れないヨーロッパでは様々なトラブルが起き、遂には自動車事故を起こし、入院生活を余儀なくされた。ハチソンは1900年9月にバンクーバーに戻ってきたが、ハチソンを待ち受けていたのは、バンクーバーにあった実験装置がカナダの政府関係者の指示で勝手に壊され、捨てられていたのだ。なぜカナダの政府関係者が勝手に装置を破壊したのか。それはハチソンの不要な発言が災いとなった。

 装置が破壊されたのは、以下のハチソンの気になる発言の直後のことであった。

 

 「ハチソン効果を応用すれば、地球製のUFOを飛ばすことも可能になります。事実、私の研究施設で、400キロもある変圧装置が空中に浮揚したのです。UFOなどその気になれば、ハチソン効果と潜水艦建造技術で、今にでも簡単に飛ばせることができます。そのことについて、アメリカのBBCや、NASA、さらにアメリカ政府からも問い合わせが来ています」 


 どうやらハチソンの存在と彼の実験装置とが目障りになった連中がいるらしい。アメリカ軍である。アメリカ軍がカナダ政府と共謀して、ハチソンの実験装置を闇に葬ったのだ。さらにハチソン効果を疑問視するような科学者たちが次々と登場したのだ。それは現在までつづいており、Wikipediaで「ハチソン効果」を見てみると、冒頭に以下のような否定的な文章が紹介されている。

 

 「ハチソン効果(Hutchison Effect)は、カナダの自称発明家、ジョン・ハチソンが1979年に発表した反重力物体浮遊などの現象のこと。 H効果(H Effect)と略されることもあるが、その実態についてはトリックを用い捏造された疑似科学と考えられる」

 

 ハチソンの実験データを全て手に入れたアメリカは、ハチソンの社会的な地位すら抹殺し、その技術を闇に封印しようとしたのである。

 

◆ハチソン効果におけるプラズマ

 

 ハチソン効果において最も重要なのは、実験装置のテスラ・コイルによる発電機である。テスラ・コイルからは「電界の縦波」が放射されていると考えられ、複数の装置が発生する強電界が互いに干渉し合って、特殊なプラズマが発生している。ハチソンがカメラで現象を撮ろうとしたところ、カメラと装置の間に虹色の発光現象が見られ、プラズマに包まれた物体は、プラズマが動くに伴って移動する。ハチソン効果における物体浮揚現象の原理はこれである。

 

 物体融合に関しては、最近になって発見されたプラズマの特性である。プラズマ流を当てながら溶接すると、異なる金属同士が分子レベルで融合してしまう。ステンレスとアルミの溶接はもちろん、ガラスと紙といったものまで溶接できる。これはプラズマが引き起こす特筆すべき現象で、現代物理学が解明していない「亜空間」を生じさせることが分かっている。すなわち、ハチソン効果とは、プラズマ現象なのであり、それは「フィラデルフィア実験」において水兵たちに起こった船体と肉体が融合してしまうという怪奇現象の正体だったのである。だからこそアメリカ軍はハチソンの実験データを知って驚愕、彼の存在を貶めるようにしたのだった。。

 

物体の融合現象

 

 ハチソンは「フィラデルフィア実験」では制御ができなかった「テスラ・コイル」を、持ち前の勘の良さとセンスで制御することに成功したのである。アメリカはそんな男と実験データがアメリカ以外の国に渡ることを恐れたのである。

 アメリカ軍はロスアラモス研究所においてハチソン効果のデータを深く解析。ハチソンが作ったものと基本的に同じ装置を作り、物体浮揚や金属の破壊、融合などの現象を再現。これをアメリカ軍の「有人プラズマ飛行物体」―すなわち「地球製UFO」のテクノロジーに応用し、研究開発から、既に実用段階に入っている。

 

<つづく>