人類史上最大の陰謀「生成AIの謎」その4
内閣府が喧伝する「人間中心のAI社会原則」というAIに関する”ルール作り”の中身というものは、あくまでもお題目であって、何もないに等しいものだ。実際、中身は何にもないが、それは中身を考えられる政治家などいないからで、その後ろには官僚たちの目論見、つまり官僚に指示を出している「ペンタゴンの意向」があり、それを下支えするのが外資系コンサルティングファームと弁護士事務所という構造があるということだ。「AI(人工知能)」をまるで万能の道具かなんかだとだど勘違いしている日本人の多くは、この構図が見えていない。 2023年から2025年にかけて、「生成AI」は急速な発展を遂げた。そして現在、国際的なAI競争が巻き起こっており、日本政府のための提灯メディアでは、日本政府が「国家レベルでの戦略策定へと移行させました」などとさもありなんな体裁で喧伝している。その背景には、アメリカは「AIを国家安全保障の核心」と位置づけ、EUでは「AI法(AI Act)により世界標準の規制を推進」しており、中国は巨額投資で国産モデルを次々と投入しているため、日本政府の尻に火が付いたのだ、という論調になっている。 そして、この潮流に対し、日本は「AIを制する国が次の時代の主導権を握る」という認識のもと、産業構造、公共サービス、教育、国際競争力のすべてを網羅する新たな指針を必要としたのです、と結んでいる。しかし、その肝心の指針とやらが一向に埒が明かないものなのである。そして、「日本再起」というお題目を掲げるのだ。 内閣府の「人間中心のAI社会原則」の続きにだが、しっかり読むとやはり何がいいたいのか分からない。 我が国は、AI の活用により、経済発展と共に社会課題を解決する Society5.01 の実現を通して、日本の社会と経済の活性化を実現し、国際的にも魅力ある社会を目指すと共に、 地球規模での SDGs への貢献も果たしていく。多くの科学技術と同様、AI も社会に多大なる便益をもたらす一方で、その社会への影響力が大きいがゆえに、適切な開発と社会実装が求められる。AI を有効に活用して社会 に便益もたらしつつ、ネガティブな側面を事前に回避又は低減するためには、我々は AI に関わる技術自体の研究開発を進めると共に、人、社会システム、産業構造、イノベーションシステム、ガバナンス等、あらゆる面で社会をリデザインし、AI を有効かつ安全に利用できる社会を構築すること、すなわち「AI-Ready な社会」への変革を推進する必要がある。 この文書における中心的課題である「AI(Artificial Intelligence, 人工知能)」の定義につ いては研究者によっても様々な考え方があり、現在のところ明確な定義はない。例えば EC ハイレベルエキスパートグループ報告書 2 においては、「環境や入力に対応して知的な 動作(一定の自律性を有することもある)を行うシステム」とされている。しかし、「知的な動作」の実体は解釈に依存する側面もある。また、2016年に米国で発表された AI100 報告書 3 では、学問分野としての AI を、「知能を持った機械を作る研究であり、知能とは置かれた環境中で適切に、かつ何らかの洞察を持って機能すること」という Nils J. Nilsson の定義 4 を引用しているが、この定義も大きな曖昧性を持ったものである。実際、同報告書では、 AI の定義が曖昧であること自体が、AI の研究を加速している肯定的な側面があるともし ている。これらの状況を鑑みると、何を以て「AI」または「AI 技術」と判断するかに関して、 一定のコンセンサスはあるものの、それをことさらに厳密に定義することには現時点では 適切であるとは思われない。 また一般に「AI」と呼ばれる様々な技術が単体で使われることは少なく、情報システム の一部として組み込まれて使われることが一般的である。本文書では、高度で複雑な情報システムには、広範に何らかの AI 技術または、本原則に照らし合わせて同等の特徴と 課題が含まれる技術が組み込まれると言う前提に立ち、本原則は、このような技術を包含した「高度に複雑な情報システム一般」に適応されると考えられる。このような考察の下 で、我々は、特定の技術やシステムが「AI」かを区別するのではなく、広く「高度に複雑な情報システム一般」がこのような特徴と課題を内包すると捉え、社会に与える影響を議論した上で、AI 社会原則の一つの在り方を提示し、AI の研究開発や社会実装において考慮すべき問題を列挙する。来るべき Society 5.0 がより良いものとなるためには、関係ステー クホルダーが対話しながら協力していくことが必要不可欠。 「国際的にも魅力ある社会を目指す」とあるが、訪日外国人旅行者数は令和7年(2025年)で4,268万人もいて、京都なんかこれ以上外国人客が来てほしくないと言ってるような状況だ。既に十分に国際的に魅力のある国である。そして、「AI も社会に多大なる便益をもたらす一方で、その社会への影響力が大きいがゆえに、適切な開発と社会実装が求められる」とした上で、「AI に関わる技術自体の研究開発を進めると共に、人、社会システム、産業構造、イノベーションシステム、ガバナンス等、あらゆる面で社会をリデザインし、AI を有効かつ安全に利用できる社会を構築すること、すなわち「AI-Ready な社会」への変革を推進する必要がある」のだという。 「AI に関わる技術自体の研究開発を進める」というが、そもそも研究を打ち切ったのは日本政府だ。もちろん、その背景にもペンタゴンの意向がある。なにせアメリカは「AIを国家安全保障の核心」と位置づけているのだ。不良品の「Windows」を日本で席巻させるため、日本独自のOS「TRON(トロン)」を普及させない戦略に出た。「TRON(トロン)」は、1984年に東京大学の坂村健氏が提唱した、日本発の純国産リアルタイムOSプロジェクトで、電子機器の動きを細かく制御する「組み込みOS」として設計されており、世界中で年間100億台以上の機器(カメラ、自動車、家電)に搭載され、高いシェアを誇る隠れた世界標準OSである。 炊飯器、デジタルカメラ、自動車のエンジン、工業用ロボット、アクションカメラ(GoPro)など、電子機器のマイクロコントローラ(マイコン)をリアルタイムで制御するなど、IoT時代の到来以前から家電等の制御に使われ、特にアジア地域において今も高いシェアを誇っている。その特徴は応答速度が非常に速く、コンパクトで、カスタマイズがしやすい。また、ライセンス料が非常に安価(または無料)というのも魅力だが、そんなものを世界のPCの標準OSとして席巻させることは、ペンタゴンの考える国家戦略上の邪魔以外の何物でもなかった。 1980年代半ば、日本の教育現場で使われるパソコンの標準OSとして、東京大学の坂村健教授らが中心となって開発した「B-TRON」が有力視されていた。しかし、当時、日米貿易摩擦が激化しており、アメリカは日本独自のOSが普及することで自国製品(Windows)が締め出されることを危惧した。その裏には国家安全保障局(National Security Agency:NSA)が「Windows」のバックドアから侵入してユーザーの情報を「更新」「アップデート」という名で抜き取る仕組みを開発していたからで、それを邪魔する可能性が高かったTRONを排除すべく、米通商代表部(USTR)にTRONを「日本の市場を閉鎖的にする『非関税障壁』」であると主張させたのである。 TRONはオープンな規格だったが、当時すでに「PC-9800シリーズ」で日本のパソコン市場を席巻していたNECなど、国内メーカーの「独自規格の囲い込み」戦略が問題視され、通産省もその流れを汲むTRONの導入に消極的になった、というストーリーになっており、結果として1990年代にGUI(グラフィカル・ユーザ・インターフェース)を備えた「Windows 95」が世界的に普及し、TRONはパソコン用OSとしての競争力を失った。尚、一般のパソコン用OS(B-TRON)としては普及しなかったが、家電や自動車の制御に使われる組み込み用OSであるITRON(アイトロン)は、世界中の製品に搭載され、No.1のシェアを誇る世界標準技術として現在も使われている。 さらに問題だったのは当時の通産省である。「Windows95」の大フィーバーを経て、やがて「Windows98」へとアップデートしていく傍ら、マイクロソフトはPDA向けにWindowsCEというOSを完成させていた。当時、TRON(T-Engine)とWindowsCEを合体させたハイブリッドOSが開発され、日本製のハンドヘルドPCに組み込まれていた。これにプリンターをセットにした小型端末をJR東日本の車掌が携帯し、座席指定券を持たずに自由席で新幹線に滑り込んだ乗客に対し、車内で空席を検索して発券するオペレーションが実現されていた。TRONは優れたOSではあったが、ユーザーインターフェースとファイルシステムの実装が必要で、だったらそこをWindowsCEが補完すれば良い、という発想から実現した端末であった。 この辺りの裏事情を語っているのは古川享氏である。古川氏は1986年5月、米マイクロソフトの日本法人マイクロソフト株式会社を設立、初代代表取締役社長に就任した方で、筆者も存じ上げている。当然、マイクロソフトの社長、会長になった方なので、100%その言葉を鵜呑みにすることはできないが、古川氏は当時の状況を以下のように話している。 ところが、この取り組みに当時の通産官僚が噛み付いた。TRONの旗振り役である坂村教授に対し、「マイクロソフトと付き合うなんて、あんた国賊だね」とのたまったのだ。この頃はまだ、純国産OSへのこだわりが強かったからこそと言えるが、この扱いに対し、当の坂村教授は「通産省はいつも我々の足を引っ張る」と怒りを顕にしていたのが印象深い。ちなみにそのTRONだが、一時期は“産業の米”として各種デバイスや家電製品に組み込まれていた時期もある。医療機器や産業ロボットなど、多くの現場で実はTRONが動いているケースは少なくなかったし、ソニーや家電メーカーもオーディオやテレビをはじめ、大半の製品にTRONを用いていた時代があった。 さらに付け加えれば、HONDAのヒューマノイドロボット「アシモ」は当初、WindowsCEを使ってよちよち歩きの実現に漕ぎ着けたが、坂村教授は「TRONを使っていれば最初から走っていたよ!」と言われるほどだ。TRONとはそれほど評価されたリアルタイムOSだったのである。そんなTRONプロジェクトが結局は教育用コンピュータとして普及しなかった背景について、新聞やネット上では「マイクロソフトの圧力があったからだ」などと言われているが、これは都市伝説のようなものだろう。むしろその逆が事実に近く、通産省の横槍の方が、よほど障壁としてたちが悪かったはずだ。実はこの時の遺恨は現在にまで引き継がれている。 通産省はその後、マイクロソフトへのアレルギーも手伝って、TRONではなくLinuxを推すようになり、LinuxOSのパソコンの普及を図る。具体的には、総務省に働きかけて、LinuxOSのパソコンを地方行政のメインマシンに規定したのだ。坂村健教授と古川享氏(TRONとWindowsCEのハイブリッドOSの記者発表会) すでにマイクロソフトが市場を席巻していたとはいえ、地方行政のユーザーにとってはWindows PCであろうがLinux PCであろうが違いなどよくわからない時代である。各地の市役所には、お上に言われるがままLinux PCが配備され、さらにここに、国産ワープロソフト「一太郎 Linux版」が実装されることになる。これによって何が起きたかというと、地方行政で建物や橋梁などを建設する際、その入札条件として、Linuxフォーマットの「一太郎」で作成された書類でなければ申請できないという、まるで笑い話のような規制が敷かれることとなった。つまり、中央の建設会社が地方の入札に参加しようと思ったら、まずLinux PCと一太郎を購入しなければならかったのである。 今でこそPDFでの申請が可能になっているものの、ごく一部の地方都市には、令和の世においてもいまだLinux版一太郎が稼働している。これは官僚がコンピューターの未来を思い描くとろくなことにならないという、典型的な例と言えるだろう。 余談だがそれと同じ頃、通産省や総務省、文部省が一体となり、日本のコンピューター市場の発展のために、補正予算から2300億円ほどの予算をつけたことがあった。当然、こうした垂れ流しに集まるのは、技術開発よりも予算欲しさの企業ばかり。既存の技術に毛が生えたようなチップを掲げてプロジェクトの体を取り繕ったり、複数企業のコンソーシアム(合弁事業)として日本の技術創生プロジェクトの採択を受け、予算をもらったら納品直後に解散するといったような、「国家予算のバラマキ行政」という事案が続出したものである。私は、「納入前後にその価値を第三者に評価してもらうことはしないのですか!?」と発言し、「余計なことを言うな!」と諭されて、2度と委員会には呼ばれなくなってしまった。 以上が古川氏が語った裏事情だが、官僚たちの体質は今も変わっていない。つまり、「生成AI」なる巨大利権の裏側でいい思いをしたい官僚たちは、出入りのコンサル会社などとまたまたTRONとWindowsの時と同じことを繰り返そうとしているのだ。片や「日本独自のAIの開発が必要」=「日本国内AI利権」を考えながらも、結局はまたアメリカの指示に従う羽目になることを理解しているということだ。 内閣府の資料では「原則」ばかりで、いったい何がしたいのか分からない。もちろん、官僚の動きに合わせて利権に敏感な政治家たは「生成AIは金のなる木」と考えている。というかそれしか考えてない低脳の集まりでしかないが、内閣府ではこう記している。 「AI」と呼ばれる様々な技術が単体で使われることは少なく、情報システム の一部として組み込まれて使われることが一般的である。本文書では、高度で複雑な情報システムには、広範に何らかの AI 技術または、本原則に照らし合わせて同等の特徴と課題が含まれる技術が組み込まれると言う前提に立ち、本原則は、このような技術を包含した「高度に複雑な情報システム一般」に適応されると考えられる。 来るべき Society 5.0がより良いものとなるためには、関係ステー クホルダーが対話しながら協力していくことが必要不可欠。 要は「高度に複雑な情報システム一般」に関わる会社や組織を増やし、金をばら撒き、利権を増やしたいと言っているのだ。そこには謎の社団法人がいくつも設立されたり、予算が配分される会社や組織に天下るというバラ色のストーリーを描いているのだ。そのためには政治家に頑張ってもらって「予算」を増やさねばならない。なんで内閣府が「人間中心のAI社会原則」というなんの中身もないAIに関する”ルール作り”をさも重要なことかのように喧伝する理由はここにある。 一緒に儲ける仲間に向けて「関係ステー クホルダーが対話しながら協力していくことが必要不可欠」と言っているのであり、そのためにも「法整備」という名の金儲けの仕組みが必要なのであり、そこに関わっているのが自称デジタル族議員、コンサルティングファーム、法律事務所なのである。彼らが本気で日本の未来=「来るべき Society 5.0」を考えて「AI-Ready な社会」への変革を推進する必要があるなどとは考えてなどいない。そして、この国の未来を本気で考えている官僚などほとんどいないのである。<つづく>