西新宿ストーカー殺人事件 闇は2つ存在した? | 始まりはアドラー心理学

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西新宿ストーカー殺人事件

闇は2つ存在した?

 

 

テレビで報道された西新宿タワマン刺殺事件が

非常に気になります。

加害者は3年前にストーカー認定された51歳の男性、

被害者は元キャバクラの経営者で25歳の女性です。

いわゆる変質者による典型的なストーカー犯罪で

初めは「こういうオカしいヤツいるからヤバいよな」、

って位の事件だと誰もが認識したでしょう。

何せ3年越しで3度も警察の世話になりながら

 

懲りずに犯行に及んだ訳です。

しかし、新たな情報が出てくる中で人々の認識に

明らかな変化が現れています。

もしかしたら、ヤバいのは逆かも知れません。

ある意味、男より女の方が怖い事件だったかも知れないのです。
 

 

 【目次】

1.《ストーカーは常連客》
2.《可哀想な犯人?》
3.《男心を利用して稼ぐ悪女たち》
4.《警察の沽券に関わる話》
5.《レッテルで現われる見えない恐怖》
6.《ストーカーの存在しない時代》
7.《恐怖と言葉が一人歩きする社会》
8.《被害者も可哀想?》9.《誰もが嵌まる転落の罠》
10.《我々に為すべき1つのこと》

 

 

1.《ストーカーは常連客》                       

被害者が経営していたキャバクラ店の元ホステスによると

犯行前の男は気さくな感じで周囲の評判も良く

初めは被害者との関係も良好に見えたものの

後にストーカーっぽくなったとの話が出て

店の出入りを禁止されたそうです。

後、屋外で被害者を待ち伏せるようになったため、

2度に渡って警察に通報され、口頭で注意されたり

 

書面で警告を受けた後、再び待ち伏せした際に

 

現行犯で逮捕となりました。

翌月、犯人となった男は不起訴猶予の処分を受けて

1年間の接近禁止命令が出されましたが

再発がなかったので翌年には解除されて

一応の収束を見せていたのです。

しかし、その1年後に女性が住むタワーマンションに

いきなり男がナイフを持って押しかけて、

まさに悲劇の末路となってしまいました。



2.《隠された衝撃の事実?》                  

3年前に被害者が警察に通報した際に残した証言と

容疑者の言い分には大きな食い違いがありますが、

もはや真相を知るのは不可能と言えます。

ただ、一般に犯人が責任逃れでウソを言う例が多いだけに

当初では今回も同じパターンと思われました。

ところが、後に容疑者の父親が事件の背景を証言し、

事態は一気に急展開を迎えたのです。

以下、その証言を踏まえ事件の顛末を説明します。


・容疑者はウーバーの配送を担う普通の中年男性であり、

若い頃から素行も良好で人格に何ら難はなかった。

・被害者とはアイドルの推し活をきっかけで知り合った。

 

・後、「本気で結婚する気があるならお金を持ってきて」

 

と女性に言われ、これに男は従った。

 

(その後、女は2つのキャバクラを出店させている)

 

・容疑者の男は若い頃から自動車とバイクが大好きで

20年も愛用した逆輸入のホンダNSXとNRを

泣く泣く売却して2000円以上の大金を女に渡した。

 

(結婚資金は3000万円と言われている)

 


右上矢印アキュラNSX 中古で買うと約3千万円

右下矢印ホンダNR ヤフオクでは3884万円で落札された事例も

 

 

・詐欺の疑いを抱いた父親が注意を促すも

女性に夢中な息子は意に介さなかった。

・金を渡した後、女は急に冷たくなって関係が悪化、

金の返済を求めるが相手にされなくなった。

 

・男は消費者金融で借金もしていた。

 

(高級シャンパンを注文して売上に貢献していた模様)

・後に、男はストーカー犯として逮捕されて

1年間の接近禁止命令が出された。

・命令が解除されてから1年後に再び男は

金の返済と復讐を目的に女性を待ち伏せし、

3年越しの因縁に悲しい終止符が打たれた。



以上の流れを見ると、いわゆる結婚詐欺に近い印象で

単純に容疑者は騙されたと考えて良いと思います。

 

当時はコロナ禍で女性が金に困っていた可能性は高く、

 

それで魔が差して男を利用しようとしたのかも知れません。



3.《男心を利用して稼ぐ悪女たち》          

元来、キャバクラは男の下心を突いて儲ける形体の店であり、

 

そのNO1ならば男心を手玉に取るなど造作もありません。

 

恐らく、この能力を悪用する夜の女が潜在的に大勢いて

 

人知れず泣き寝入りする被害者も少なくないはずです。

 

 

今回、被害者が男を騙した手口は結婚詐欺に該当しますが、

 

それとは違う形体の詐欺が近年になって増えております。

昨今、パパ活で知り合った男性にウソをついて

金を巻き上げる詐欺が横行しているそうです。

先月、その手口を伝授するマニュアルを販売していた

女(頂き女子りりちゃん)が逮捕されましたね。

何と騙された男性らの被害額は合計で1億2千万!

実に月で200万円ほど得ていたと伝えられており、

キャバ嬢の月収20~30万円を大きく超えます。

 

もう、真面目に働くのがバカらしくも見えてしまいますね。



同様に今回の被害者も、店の開店や経営を口実にして

 

男に大金を貢がせた点では頂き女子に該当するでしょう。

 

その舞台が夜のクラブだった点も何か似ております。


ちなみに頂き女子りりちゃんは、稼いだ金をホストクラブで

 

浪費していたようです。

ホストに貢ぐために犯罪者となった訳で、何か今回の犯人と

 

被害者の関係に重なる部分もあります。


4.《警察の沽券に関わる話》                

今回の事件は警察の失態が招いた悲劇と

捉えて良いと思います。

容疑者は3年前に待ち伏せで警察の警告を受けた際、

「多額の金を返してもらうために会いに行ったのに

ストーカー扱いされる」との証言をしていました。

同時に、女性を詐欺罪で訴えたい旨も話しましたが、

これを警察は「無理だ」と断ったそうです。

その翌月、警察は男が待ち伏せする現場に張り込み

男の立場を知りながら問答無用で逮捕しました。

つまり、この逮捕は誤認である可能性が高い上、

後に起こる殺人事件の発端ともなり得るのです。



犯行前の男は大切な愛車2台を売った大金を奪われて

一方的にストーカーの汚名と責任を着せられ、

不当な逮捕の憂き目を味わう羽目になりました。

好きな女性に裏切られて犯罪者にされた立場を窺うと

その怒りと殺意も簡単には否定できなくなります。

仮に、警察が詐欺の疑いで捜査を進めていたら

逮捕されたのは女性の方だったかも知れません。

また、弁護士を紹介するなどの措置があったら

女性から金の返済と謝罪があったかも知れず、

少なくとも事件は未然に防げたはずなのです。


5.《レッテルで現われる見えない恐怖》     

単に女にしつこく言い寄る男をストーカーとするなら、

それは大昔から普通に存在していました。

元々、押しの強いタイプは男性のデフォルトであり、

それを過去の女性も承知していたと思われます。

恋に焦がれる情熱のあまり極端な行動に走るのは

時代や男女を問わず人間の性なんです。



強引な異性でも、相手がまんざらでもなければ

返って嬉しくもあり特に問題にはなりません。

実際、しつこい男に関しても昭和の途中までは

それほど問題視されていなかったと思います。

しかし、ストーカーなるワードが話題となり、

相応の事件が報道されるようになってから

社会の空気は一転しました。

一部の猟奇的な犯罪がニュースで報じられてから

社会に潜むストーカーなる暴力的な異常者が

いつ迫るか分からないかのような危機感が

女性たちの間で広まっていったのです。



6.《ストーカーの存在しない時代》           

例えば、ドラマ『101回目のプロポーズ』なんて

どう見てもストーカーですよね。

当時は、特に取り得もなく冴えない男性が

しつこく付きまとって美女を手に入れた、

なんて話は履いて捨てるほどありました。

実際、店の女性に客の男性が粘り強く求愛し、

結婚に至る例なども珍しくなかったのです。


スマホもSNSもない当時の通信手段と言えば、

手紙か家の電話くらいしかありませんでした。

待ち伏せるにしても、店以外に接点がなく、

連絡先を知らない状態で相手に会うには、

それしか他に手立てはないと思います。

仮に女性が迷惑に思っても「迷惑なのでヤメて」、

と述べれば済みますよね。

ハッキリ断れば男性も諦めるしかないので

無理に付きまとう必要もなくなるのです。

そんな感じで、前のめりで暴走する男を寛容な目で見つつ、

恋愛の自由を認める土壌が昭和の頃にはありました。



7.《恐怖と言葉が一人歩きする社会》       

今や少しでも積極的だとストーカー扱いされ

時に警察に捕まる時代となりました。

この状況は痴漢の冤罪にも通じる部分があります。

過去、何もしてない男性が痴漢の罪を着せられ

被害者が不当に示談金を請求する手の詐欺が

問題になったことがありますよね。

ここに、詐欺で金を奪ってバレたらストーカー扱いし

自らの犯罪と責任を逃れる手口が追加された訳です。


今回の件だけでなく、不当にストーカー扱いされて

泣き寝入りする被害者は意外に多いと思います。

恋する純粋な気持ちを「気持ち悪い」と言われ、

好きな女性から異常者のように扱われる男性が

どれほど傷つくか想像できるでしょうか?

これで、多くの男が女性に向かう勇気を失い、

今や社会は草食系男子ばかりとなりました。

その結果、女性も恋愛に夢を抱けなくなって

男女の7割が結婚しない社会が到来したのです。


今やスマホやSNSの普及により、既読スルーや

ブロックなどを利用して無言で異性との関係を

一方的に断ち切る風潮も目立ちます。

本気で好きな人から理由も解らず拒否された場合、

我を失ってストーカー的な行動に走ったとしても

決して不思議ではないはずです。

このように恋に狂うと常軌を逸するのが人の常であり、

それは男も女も違いはありません。

現代には、恋に狂って言動が暴走する女性を

メンヘラの一言で片付ける風潮もありますね。

ストーカーもメンヘラも時と場合によっては

誰もが陥る可能性があり、変な単語で一括りに

全否定するのは立派な差別に値するはずです。

 

 

8.《被害者も可哀想?》            

 

今回、女性の被害が自業自得だったかの印象もありますが、

 

それも仕方ないと思える事情が後で明らかになりました。

 

被害者の女性は18歳でキャバクラ嬢になり、銀座の店で

 

NO1の地位を掴んだ努力家だったと伝えられています。

 

今回の犯人と出会ったのは2021年頃と推測されるので

 

まさにコロナ禍の真っ只中です。

 

当時は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置など

 

夜の飲食店が窮地に立たされてましたね。

 

夜のホステスさんが続々と自殺していた闇の期間です。

 

 

念願だった自分の店を開いたのは、2021年の12月なので

 

夜の飲食店が苦境に立たされていた時期と一致します。

 

そんな苦しい状況を後の犯人がサポートした訳ですが、

 

やはりコロナ不況の煽りからは抜け出せませんでした。

 

その後に恩人をストーカー扱いして警察に突き出したのは

 

あまりに常軌を逸した行動かと思います。

 

初めから金を奪うつもりだったのか、途中で愛想が尽きたか、

 

何か苦境に置かれて心が闇に墜ちたような印象です。

 

しかも、こんな鬼の所業を為しながら店2つを畳むことになり、

 

ここ1年は無職で1人で何とか暮らしていたようです。

 

男がくれた金が残っていたかどうかは解りません。

 

それでも、最後は真摯に謝罪すべきでしたね。

 

そうすれば、互いに地獄を見ずに済んだかも知れないのです。

 


9.《誰もが嵌まる転落の罠》         

実際、犯罪に巻き込まれるリスクは誰にでもあり、

社会に潜む犯罪者に誰もが恐怖を抱いています。

その一方で、自分が犯罪者になる心配をしてる人は

ほとんどいないはずです。

失礼ながら、その認識は甘いと言わざるを得ません。

ズバリ、全ての人間が犯罪者の予備軍と断言しても

決して間違いないでしょう。

一般に 人格や素行に問題のある人ばかりが

犯罪に走ってるように思われがちですが、

それより極平凡な普通の人が犯す罪の方が

圧倒的に多い現実があります。

テレビで犯人の知人にコメントを訊ねた場合、

「そんなことする人には全く見えなかった」、

「真面目な人だったんで信じられない!」、

などと答える例って多くないですか?

つまり、僕や読者の方々のような普通の人が

何かの拍子で犯罪者になってしまったんです。


人間の行動は自身の人格より、置かれた立場や環境や

他人の言動など外的要因に大きな影響を受けます。

現に逮捕された人の多くが、貧困に苦しんでいたり、

大切な親や子どもや配偶者を失って絶望していたり、

誰かに酷く虐げられていたなど不遇な立場にいて、

まさに我を失うように犯罪者と化しているのです。


ある意味、犯罪者と自殺者の心理は似ており、

その事件の多くは突発的なものと想像できます。

自分の苦悩が自分だけではどうにもならない状態で

不安や孤独や絶望で生きる気力がなくなった瞬間に、

人は最後の一線を超えてしまうのでしょう。

もし、これら境遇の人が誰かの目に止まり、

何かしら声がけや手助けなどを受けていたら

最悪の事態に陥らずに済んだかも知れません。

まさに常人と罪人の運命は紙一重なんです。


10.《我々に為すべき1つのこと》      

今回の事件を思うと、深い絶望のあまり復讐の鬼と化し、

 

好きだった女性を殺してしまった犯人が不憫でなりません。

また、若くして社会の酷しさに揉まれて心が闇に墜ちた末、

報復されて世論のバッシングで追い討ちされた被害者にも

思わず強い哀悼の意が心に滲み出てきます。

決して他人事ではありません。

同じように不遇な人が皆さんの周囲にいないとも限らず、

自分がそうならないとも限らないんです。

そう考えたら、いかなる罪を犯した悪人であっても

今までのように簡単には叩けなくなります。

自己責任とか自業自得なんて言葉も安易に使えません。

相手が誰だろうと、苦しんでる人が近くにいるならば、

手を差し伸べるより他に我々が為すべきことはないんです。