当テーマでは、医薬品についての記事を
既にいくつか公開しています。
頭痛薬、風邪薬などについては以下を参照ください
今回は、比較的安全な医薬品に属する
「貼り薬」や「塗り薬」などについて説明したいと思います。
・外用鎮痛薬
サロンパスやアンメルツなど、
体に貼ったり塗ったりする湿布や液剤が該当します
どんな薬にも共通して入っているのが、
冷感刺激成分のメントールとカンフルです。
いわゆる「スーッ」とさせる効果ですね。
血行を良くする作用があるとされていますが、
真の狙いは「痛みをごまかす事」にあります。
スーッとする刺激に意識が向く事で、痛みを感じにくくする訳です。
「なんだ、インチキじゃん」と思うかも知れませんが、
必ずしも、そうとはいい切れません。
そもそも、痛みの原因は炎症です。
炎症は、有害な物質を排除したり、
傷付いた細胞を修復したりするために、
人体が自ら起こす防衛反応に当たります。
つまり、痛みというのは、
「今、治してるよ」という人体からのメッセージなのです
この炎症を止めてしまえば、当然ながら治るのが遅くなります。
よって、痛み(炎症)を止めずに「ごまかす」という手段は、
とても理に適っている訳です
しかし、外用鎮痛薬には、
しっかり痛みと炎症を消す成分も入っています。
特に強いのが『ジクロフェナク』や『フェルビナク』、
『インドメタシン』などです
これらの成分により、かなり症状は楽になりますが、
相応の副作用もあります。
そのため、使用する量と期間に制限があり、
守らないと人体に悪影響を及ぼす危険があります
従って、肩こりや関節痛など、慢性的な症状には不向きです。
もし、使用するならば、打ち身や捻挫、ぎっくり腰など、
急性的な疾患での使用に留めてください。
慢性的な痛みを抱えている方、もしくは副作用が心配な方には、
『サリチル酸』の入っているプラスター(薄い貼り薬)や
液剤(チール、ローション)がお勧めです
サリチル酸(~メチル、グリコール)は、痛みを止めるよりも、
血行を促す効果が主体なので、副作用も少な目になります。
慢性の場合は、プラスターだと「かぶれる」可能性が高いので、
液剤やクリームなどが良いかも知れません
また、臭いが気になる方はサリチル酸メチルを選択してください。
サリチル酸グリコールは、いわゆる「湿布臭」が強目です
周囲が気にならない人や「この匂いが堪らないんだ」という人以外は、『メチル』の方にした方が無難だと思います
最も副作用がない少ないのは、「タイガーバーム」という軟膏です。
痛みを感じにくくする(ごまかす)成分のみですが、
血行を促す作用も多少はあるので、
それなりの効き目が期待出来ます。
唯一の難点は匂いが独特(僕は好きですが)だという点。
気になる場合は『ハッカ油』を使うという手もあります。
主成分はメントールで、痛みをごまかす効果は抜群です
直に付けてキツいと感じる方は、
ワセリンと混ぜて「ハッカ軟膏」を作ってみてください。
ハッカ油もワセリンもドラッグストアで手に入ります
ハッカ油は虫よけやアロマテラピーとしても使えますし、
ワセリンはハンドクリームや
リップクリームとしても使えるので、持っていて損はないでしょう。
・傷薬
傷薬といえばマキロンが有名ですね。
古くはマーキュロや赤チンなどがありましたが、
今や過去の遺物となっています。
何故なら、ほとんど効果がないと解ったからです
そもそも、傷薬の目的は消毒にあります。
化膿を防ぐために、傷口に付いた雑菌を殺すのが目的です。
かつて常用されていた赤チンには、
あまり菌を殺す効果がありませんでした。
他、オキシドールや黄色い液体のアクリノールも同様です。
それで、現在では、マキロンやイソジン、オロナインなどの、
そこそこ効果がある薬が使われています
実は、傷口を消毒するという行為は、既に時代遅れになっています。
何故ならば、消毒薬の化膿を防ぐ効果は水と大差ありません。
傷口に付いた菌は、殺すよりも水で洗い流した方が簡単です。
例え、少しくらい残っても、人体の免疫機能で退治出来るので
特に支障はないのです
消毒薬が時代遅れだという理由は、もう1つあります。
何と、消毒薬は、それそのものが毒なのです
消毒薬は、菌のみならず、
周囲の細胞も、菌を退治する免疫細胞も一緒に破壊します
その様子は、まるで、テロリストが潜んだ市街地へ
無差別攻撃を仕掛けるようなものです
市街地にミサイルを射てば、警察も機動隊も、
付近の民間人も一緒に死んでしまいますよね
同時に街が粉々に破壊され、
それを修復するために、多大な手間がかかります。
破壊された残骸(死んだ細胞)は、
生き残った菌たちにとって格好の隠れ家(エサ)になります
これは、人体にとって、まさに厄介な状態です
菌が大量に増殖して、
傷口が化膿(炎症)してしま危険性があるからです
化膿すれば返って治りは遅くなり、
また無駄に痛い思いをしなければいけません。
これでは本末転倒ですね
化膿には、抗菌成分の入った軟膏が有効です。
これならば、細胞を傷付けず、菌だけを退治する事が出来ます。
予防と治療の両方で使える上、
特に副作用もないので、持っていて損はないでしょう。
市販薬では、ドルマイシンやクロマイという名前で売られています。
通常、切り傷や擦り傷であれば、
ただ水で洗い流してから絆創膏を貼るだけで十分です
ただ、深い切り傷や、広い擦り傷の場合は、少し注意がいります。
特に夏場であれば化膿する確率が上がるので、
抗菌軟膏を付けた方が無難です。
化膿した場合は患部がグチュグチュになります
こうなると完治まで時間が掛かりますよね。
勇気のある方は、水道を流しながら、グチュグチュした部分を
軽くガーゼで擦って取り除いてみてください
少し痛い目に遭いますが、その方が早く治ります
先ほど述べた通り、このグチュグチュした部分こそが、
まさにテロリストの温床なのです
この部分を排除してから抗菌軟膏を塗れば、
処置としては完璧となります
既に述べた通り、通常の傷ならば、
「水で洗い流してから絆創膏」で十分ですが、
よりキレイに早く治りたい方は
モイストヒーリングで治療してみてください
以前、「傷口は乾燥させた方がいい」といわれてきましたが、
それが間違いだった事が既に判明しています。
今や、傷口を密閉させて体液を維持しつつ回復させる治療法
(モイストヒーリング)が主流となっているのです。
乾燥させる治療法だと『かさぶた』が出来てしまい、
それが傷痕として残ってしまいます
一方、モイストヒーリング方式だと
傷痕が残らない上、治りも早くなるので、まさに良い事づくめです
但し、傷口が大き過ぎたり、深過ぎた場合、「犬に噛まれた」、
「錆びた釘を刺した」など、化膿の可能性がある場合は除きます。
不潔な状態で傷口を密閉すると
中でバイ菌が大量に増殖してしまうからです
包丁で指を切ったり、転んで軽く擦りむいた程度であれば、
迷わずモイストヒーリングを試みてください。
方法は至って簡単です。
ただ、傷口を水で洗い流して水気を取った後に、
食品用ラップを巻くだけ
必要ならばテープで止めてください
また、市販の専用絆創膏を使うという方法もあります。
バンドエイドのキズパワーパッドならば、
どこの店にも必ずあるはずです
ただ、価格が高いので、リーズナブルにしたい場合は
やはりラップが良いと思います。
傷対策には、絆創膏と抗菌軟膏、そしてラップがあれば、
それだけで十分です。
うっかり、消毒薬を買わないように気を付けてください。
次回は『皮膚薬』について説明したいと思います