9.【信頼と共同体感覚】 | 始まりはアドラー心理学

始まりはアドラー心理学

より、楽しい日々を送るために、
より、ハッピーな人生を過ごすためには、
どうすればいいのでしょうか?
そのための方法論や実践論を考えています。
ちょっと難しい内容かも知れませんが、
みなさんのお役に立てるような情報を伝えていきたいと思います。

アドラー心理学では、人間の幸せも悩みも、
対人関係が100%だとされています。
つまり、対人関係が上手くいけば、
それだけで人生は光輝くものになり、
逆に上手くいかないだけで、世界が地獄に見えてしまう訳です炎

人々は仲間たちとの絆を大切にします。
この絆の強さは
『信じる』強さで決まりといって過言ではありません。
しかし、僕らの絆は、ふとした出来事により、
意外にも簡単に切れてしまいます。
信じる人からの、思わぬ危害や裏切りなどにより、
せっかくの関係が絶たれてしまう事が多々あります。

関係が絶たれるのは、被害を受けた側が、
相手を許せない事によります。
この辺りは、前回に、アドラー心理学の『課題の分離』や
『自己決定性』を踏まえて説明しました。 
今回は、人を許し、無条件で信じる事(信頼)が出来る方法について、 
共同体感覚を踏まえ考えてみます鉛筆

前回までに触れた『目的論』、『課題の分離』『自己決定性』は、
人間が『共同体感覚』に芽生えるための重要な観点となります。
共同体感覚とは、自分が共同体の一部である事を自覚し、
他人の役に立つため、
周囲に貢献するために行動を起こそうとする意識の事です。
この意識を育むには、他人に関心を持ち、他人の気持ちを考え、
他人の意思を尊重出来なければなりません。 
このように、外の世界に目を向けるには、
自分自身の中にある様々な課題を克服し、
ある程度の精神的余裕を作る事が先決となります。
『自分の事にしか関心がない』、
『自分の事だけで精一杯』などの状態から、卒業するのです卒業証書

僕らが、他人に関心を向け、他人の気持ちを理解しようとする時、
自分を基準にして考えます。 
自分にとって嬉しい事や嫌な事を、
他人も同じように感じていると信じ、
気持ちを理解しようとする訳です。
以上は、理屈ではなく、
生まれつき具わっている感覚が強く影響しています。
それは、共感心です。
他人が喜ぶ姿を見て自分も嬉しくなったり、
他人が苦しむ様を見て自分の心が痛むのも、
共感心の働きによります。

共感心は、共同体感覚にも大きく関わっています。
人々に貢献しようと思えるのも、
他人の幸せを自分の事のように感じるからです。
僕らは、相手が幸せなら自分も幸せであり、
相手も同じように感じている事を知っています。
だから、多くの人々が、他人の役に立とうとし、
他人のために痛みを負う事を厭わず、 
他人と一緒に歓びを分かち合おうとするのです。

共同体感覚が強まれば強まるほど、
自分と他人の区別が希薄になります。
最終的には、もはや、「私」という主語も必要なくなるでしょう。
あるのは、「私たち」のみであり、全ての心が一つになるのです上差し

以上の段階に至るために必要なのが、
他ならぬ『信頼』となります。
つまり、他人を無条件で受け容れる事です。

いろいろと説明しましたが、
現実に他人と信頼し合う事は、なかなか難しいものです。
多くの場合、対人関係が壊れてしまうのは、
相手の危害や裏切りを許せない事に問題があります。

次回は、この辺りを深く考えてみましょう。
アドラー心理学の『自己決定性』、『目的論』、『課題の分離』、
『共同体感覚』を踏まえながら、
『信じる事』について最終的にまとめたいと思いますバイバイ