梨の果肉が半透明で柔らかい…
もしかして腐っている?
梨を食べようと切ってみると、果肉が半透明で柔らかくなっているというケースが
増えているようです。これは、「みつ(蜜)症」といわれる梨の病気の可能性があります。
みつ症とは
みつ症は梨の果肉が半透明になり、シャキシャキとした食感が失われてしまうことです。
腐っている訳ではないので食べても問題はありませんが、
梨としての商品価値は失われてしまいます。
なぜ「みつ症」になるのか?
みつ症は夏場の高温と土壌のカルシウム不足が主な原因と言われています。
カルシウム不足は土壌にカルシウムを施肥することで解決しそうですが、
枝が伸びすぎていると実にカルシウムが届かず、結果みつ症になりやすくなるようです。
【豊水】(記事とは直接関係ありません)
今回は生産量全国一位の千葉県白井市で話を聞きましたが、当地では7月ほとんど毎日雨が降り
日照時間はごく僅かでした。さらに8月は毎日酷暑が続いたことが原因だろうと思われます。
みつ症の見分け方はあるのか
みつ症は外観から判断することはできません。
梨を手に取ったとき果肉に柔らかさを感じたらみつ症の疑いがあります。
また、一部分だけがみつ症の可能性もあり、生産者でも判断できない場合もあります。
生産量が2番目に多い豊水は、みつ症が出やすい品種だそうです。
出荷段階ではねられた梨は商品価値が失われているため
訳あり品で販売するか廃棄ということになると思いますが、加工品として活用出来ないものでしょうか。ジャムやコンポート、ピューレなどに加工する試みもされていますが、まだごく一部のようです。
梨に限らず日本の農業は天候不順や異常気象により大きな影響を受けています。
加工品に利用することも含め事業継続の方法を模索することが重要な課題となるかと思います。
みつ症の梨は、りんごの蜜と同様ですので食べても問題はありません。
強い甘味を感じますので、別物と思って食べてはいかがでしょうか。
二ホンナシの新品種
旧盆(8月15日)前に収穫できる果実は高値での販売が可能であることから、
なしについても早生品種である幸水よりも早く収穫できる極早生の品種開発が求められていました。
新品種「はつまる」
そこで農研機構により開発されたのが幸水よりも早く収穫できる「はつまる」です。
「はつまる」の育成は1993年に「筑水」と「筑波43号」の交雑を行うことから始まりました。
その後、極早生で良好な食味のものを選抜し育成が続けられ、
2014年7月に「はつまる」と命名され品種登録出願されました。(登録は2015年6月になされました。)
果実の大きさは330g程度と幸水よりも少し小さめです。
果皮は黄赤褐色で見た目は幸水や豊水と同じようです。
果肉は黄白色で多汁、酸味は柔らかいということです。
茨城県の新品種「恵水」
恵水(けいすい)は茨城県の農業総合センターが「新雪」と「筑水」を交雑し育成したものです。
2011年(平成23年)12月に品種登録され、2016年(平成28年)から本格的に出荷が始まりました。
重さ約1kg、糖度14度以上で形のよいものは高級果物店において¥8640で販売されていました。
このような個体は1万個に1個しかないとの事です。
通常は600g程度の大玉で、酸味は少なく、糖度は13度程度です。
収穫時期は9月上旬から下旬で豊水などと時期はほぼ同じです。
今回最初の項で取り上げた「みつ症」の発生が少ない品種になっています。
イチオシ冷凍技&マイ冷凍エピソード 大募集!
日本野菜ソムリエ協会では10月18日の冷凍生活の日を記念して、
イチオシ冷凍技とマイ冷凍エピソードを9月30日まで募集しています。
応募方法はInstagramまたはTwitterで指定のハッシュタグをつけて投稿するだけです。
入賞者の方には豪華賞品も用意されるようですので興味のある方は応募されてはいかがでしょうか。
詳しくは下記の日本野菜ソムリエ協会ホームページをご覧ください。
http://vf.way-nifty.com/vmc/2020/08/post-574dab.html
野菜ソムリエFarmersコミュニティを開設
日本野菜ソムリエ協会ではプラスアルファの知識で青果物に付加価値をつけ、
日本の農業を盛り上げ「農業を次世代に継承できる社会を目指す」ことを目的に、
野菜ソムリエの有資格者で生産者の方の活動の場として「野菜ソムリエFarmers」を
新たに開設しました。
野菜ソムリエ以上の資格保持者でかつ生産者というコミュニティ会員の方で、
生産者であるご自身のことやご自身の農産物について情報発信してみたいと思われた方、
参加を検討してみてはいかがでしょうか。
参加条件や活動内容など詳細は下記の協会ホームページより確認してください。
https://www.vege-fru.com/doc/news/20/08-2.pdf
(野菜ソムリエプロ 木村純一)