ベジフルインフォネット76号 在来種ジャガイモ 富士のねがた | 日本野菜ソムリエ協会認定 「野菜ソムリエコミュニティ新潟」

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ジャガイモは南米アンデスを原産地とし、

インカ帝国の繁栄を支えた重要な食料です。

その後、スペインがインカ帝国を征服したことによりヨーロッパに伝わりました。

日本には江戸時代初期にオランダ船により長崎に入ってきました。

 

長崎など九州各地でも栽培が成功していない時期に、

本州でいち早く栽培に取り組み成功したのが甲斐国(現在の山梨県)です。
今回取り上げた「富士のねがた」というジャガイモは

山梨県上野原市の山間部で現在も細々と栽培が続けられている、在来種のジャガイモです。

 

現在、主に流通している男爵やメークインなどに比べると収量が少なく、

小ぶりであることなどから時代と共に生産者は減少しました。

 

 

【富士のねがた】

 

 

この地域の標高は600m以上、周りは1,000mを超える山々に囲まれ、

耕作地は猫の額ほど、現在の生産者は70代、80代の高齢者である。

そんな状況でなぜ今でも「富士のねがた」を作り続けるのか?

答えは簡単「美味いから」でした。

 

隣は東京都の奥多摩、こちらにも「治助芋」という名のジャガイモが存在します。

おかれた環境は似たり寄ったり、こちらも狭い地域だけで伝承されてきた品種で、

どちらも市場に出回ることはありません。

最近、各地で伝統野菜などに再び光を当てる事業などが行われていますが、

私たちの祖先が食べてきた作物を残していきたいと思うのは

単なる感傷ではないと思います。

これらの野菜などには現代人の好みに合わない「苦味」や「えぐみ」などがあり、

 

これらを改良したF1品種の作物が開発されました。

F1品種では味だけでなく、色や形までも改良され流通に適するように作り変えてきました。
もちろん、F1品種の作物を否定するつもりはありませんが、

在来種や古来種と言われる作物の存在や歴史に

目を向けてみることも必要かと思いますが、皆様はどのように思いますか?

 

 

(野菜ソムリエプロ 木村純一)