自由民主主義憲法完成にむけた方策の提示(提議その3) | 日本世論の会 本部

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平成30年2月22日

自由民主党総裁・内閣総理大臣 安倍 晋三 殿

自由民主党憲法改正推進本部長 細田 博之 殿

 

横浜の教育を考える会 代表 湯澤 甲雄

横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222

 

自由民主主義憲法完成にむけた方策の提示(提議その3)

 

(提議その2から続く)

5、基本的自由(Fundamental Freedom)について

国際人権条約は、基本的人権を至高のものとして尊重すると同時に、人間が生まれながらにして有する自由即ち基本的自由が享受できるようにするために、「個人の自由(Liberty)と権利(私権、Private Right)」を条件として、同条約3部に合計32条文を創設しています。自由(Freedom)は放置したら争いが発生し享受できないからです。この32条文に相当するものは世界人権宣言において「一人一人(Everyone)又は個人の自由と権利」を定めた人権であり、「基本権」とも称されます。

創設された「個人の自由と権利」は、憲法第12条、16条から40条の間に散在しており、国民個人が不断の努力で保持する、濫用を禁止する、常に公共の福祉に使用する国民の義務条文です。公共の福祉の中には公務員が公共団体を通じて国民に永久に奉仕する「基本的人権」の保障がありますので、「基本的人権」に対し「個人の自由と権利」は劣後します。「基本的人権」と「基本権」とは、生成の過程が全く異なります。文科省がこれらを同一視して中学校公民教科書において記述している事、さかのぼれば、日本学術会議法学会がこれらを同一視した「憲法解釈の通説」としている事は、立憲された自由民主主義政治体制の破壊となる刑法の内乱行為に当たるので、排除されるべきです。

 

6、憲法第13条について

(1)憲法第13条は、国民の基本的人権ではないが、国民固有の権利である生命と幸福追求権は、基本的人権に準じて憲法が最大の尊重を必要とするとした条文です。ところが憲法第13条の条文の中には、国際人権条約によって尊重される対象になっていないものが、二つ尊重されることになっています。

第一は「すべて国民は、<個人>として尊重される」

第二は「<自由>を最大の尊重を必要とする」です。

 

(2)国際人権条約が、これらを尊重の対象としていない理由は、これらを国が尊重するとしたら、それは自由の無い全体主義の政治となるからです。それは憲法前文1項の立憲の精神に反します。

  従って、<(提議その1)2、国際人権条約(社会権規約、自由権規約)の国内法制化>することによって、「後法優先の原則」により、上記二つの条文の無効化を図ることとすべきです。憲法改正不要と思料します。

(3)第一の条文は、マッカーサー憲法草案第12条の原文「All Japanese by virtue of their humanity shall be respected as individuals.」(意訳「人道を帯した全ての日本人は、基本的人権を帯した家族や共同体の人々として尊重される」)に対し、意図的と思える重大な誤訳が行われた形跡があります。(マッカーサー憲法草案の原本が行方不明(隠匿?)となっている重大な問題が別にあるために、この誤訳の根拠が今一不足です。) 

 

7、国民個人の義務条文について

  憲法制定時の日本人は、国土もなければ基本的人権も無い(=主権が無い)

  単に日本という島に住む土人でした。従って独立国家の国民が有する国に

  対する公の権利も義務が一切ありませんでした。連合国占領軍によって、辛うじて私人としての自由と権利が認められていただけです。このために憲法には、国家に忠誠を尽くす国民としての義務規定が全くありませんでした。

自由民主主義を原理とした政治の軌範を定めた国際人権条約前文末尾には

「Realizing that the individual, having duties to other individuals

and to the community to which he belongs, is under a responsibility

to strive for the promotion and observance of the rights recognized

in the present Covenant,(意訳)「個人は、家族や共同体を構成する全て

の人々に対し、良心、正義感、道徳感、法律などに従い、人として尽くすべき本分(Duty)を負うこと、また、個人は憲法を含む国民の基本的人権を増進擁護のために努力する義務を負うこと」とする規定があります。

ここに規定された国民の義務には、例えば教育勅語に述べられている道義などが復活挿入することができると思われます。

 

8、緊急事態法について、

  国際人権条約を国内法とすることによって、憲法が国民に永久に保障する国民の基本的人権の具体的内容が定まりますので、これに対する緊急事態発生時の対応として、上記した「国民個人の義務条文」並びに「国民個人の自由と権利(私権)を常に公共の福祉のために使用しなければならない義務条文」の適用が発生します。これにより、緊急事態発生時における私権の制

限に関する法的問題は、解消すると思料します。以上