平成28年12月17日
財務省御中
横浜の教育を考える会 代表 湯澤 甲雄
横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222
財務行政(文部科学省予算関係)に関する意見
職員定数を巡って、文科省と財務省との間で激しいバトルがあったと聞き及
びました。私は元銀行員ですから教育の実情に疎いのですが、生徒数の激減に
比例して職員定数が減らず、予算が減少しない原因について外形的側面から以
下意見を述べさせていただきます。愚見にご賛同いただき、財政の面から文科
省予算と教育行政の抜本的見直しのご検討を希う次第です。
1、多忙な教師について
平成28年12月15日産経新聞「正論」同志社大学教授三木光範氏「国際学力
調査から見えるもの」の中に「教員は、教育だけでなく、生活指導や課外活動
の指導などにも多くの時間を割かれ、残業は当たり前、休暇も取れない状況が
多い」と指摘があります。私が見るところ、平成18年12月22日法律第120号
により教育基本法第17条「教育振興基本計画」が新設され、この条文の下に平
成25年6月14日閣議決定により「教育振興基本計画」(A4版 79頁)の事務
が、従来の学習指導要領に基づく教育事務に付加されたことに冒頭述べた原因
に大いにかかわっていると思います。
2、教育振興基本計画と義務教育諸学校教科用図書検定基準について
同計画前文冒頭に<今正に我が国に求められているもの、それは「自立、協
働、創造に向けた一人一人の主体的な学び」である。グローバル化の進展に対
応した教育の展開である>と目的が書かれています。しかし、この目的は、教
育基本法の教育目的に無いものでありまして、従って憲法第26条(教育を受け
る権利、教育の義務)「すべて国民は、法律の定めるところにより、――教育を
受ける権利を有し、――教育を受けさせる義務を負う」の規定に違反するので、
教育振興基本計画に基づく教育行政は違法です。更に、文科省が定めた同計画
は、「国会に報告する」と教育基本法に定められています。ところが、衆議院は
この報告を受けた記録は全くないと称していますので、文科省の作文にすぎま
せん。益々憲法第26条の法律の定める教育とは言い難く政治活動と言えます。
また、同計画を実行するために「義務教育諸学校教科用図書検定基準」が変
更されました。平成21年3月4日文部科学省告示第33号により、第1章総則
にあった「教育基本法第1条に定める教育の目的、方針など並びに学校教育法
に定めるその学校の目的及び目標」を抹消し、「教育基本法第2条に示す教育
の目標並びに学校教育法及び学習指導要領に示す目標」に変更し、「教育基本法
第1条の教育の目的に規定する国民の育成」を蒸発させてしまいました。この
場合も、憲法第26条の規定に違反する教育です。要するに、文科省も立法府も
日教組の法務戦略の罠に嵌った教育行政法を制定し、憲法の定める自由民主主
義政治に対し、これを破壊する革命を起こす教育が、全国の公立学校で国費を
使用しながら行われている現状を認識しなければなりません。
3、同計画と憲法・教育基本法が定める教育との違いについて
憲法は前文冒頭において「自由民主主義を原理とする政治を国是とし、この原
理に反する法律は一切排除する」と規定しています。これを教育基本法第1条
の教育の目的に当てはめれば、「教育は、人格の完成を目指し、平和で自由民主
主義を原理とする政治を行う国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた
心身共に健康な国民の育成を期して行われなければならない」となります。換
言すると「教育は、個人を憲法前文1項の定めにより、自由民主主義国家の国
民に育成することを目的とする」ものであります。ところが同計画は、個人の
育成でありグローバル人間の育成(国境がなくなり、国家が消滅し、地球が一
つになる時代に対応した無国籍人間の育成)であり、国民の育成が欠落してい
ますので憲法第26条から乖離した教育内容です。全国の地方自治体の知事並
びに教育長は、前述の通り憲法、教育基本法違反に加えて、地方自治法第2条
並びに地方財政法第2条(地方財政運営の基本)にも違反した状態に立たされ
ています。同計画に基づく教育はただただ、教師の繁忙度を増して、生徒の学
力向上を妨げ、あってはならぬ財政予算を費消させる万事有害な教育です。
以上
平成28年12月17日 財務行政へのご意見・ご要望を受け付けました。あり
がとうございました。いただいたご意見・ご要望は、今後の財務行政の参考と
させていただきます。