米国防総省のクック報道官は17日、中国が南シナ海で奪った米海軍の無人潜水機を、「返還することに同意した」と発表した。一方、次期米大統領のドナルド・トランプ氏はツイッターで「中国は米海軍の潜水機を公海で盗んだ。前例がない行為だ」と非難した。
クック氏は「南シナ海の公海で中国が違法に奪取したことに、異議を申し立ててきた。中国当局との直接のやりとりを通じ、中国は返還に同意した」と説明。返還の方法や時期については明らかにしなかった。
トランプ氏は「中国は前代未聞のやり方で奪った。彼らが盗んで返す無人潜水機など要らないと、中国に言うべきだ。中国が持っておけばいい」とツイッターに書き込み、中国とオバマ政権の対応を批判した。
一方、中国国防省は17日、「船舶の航行の安全を脅かすのを防ぐため、正体不明装置の識別調査を実施した」と無人潜水機の強奪を正当化する声明を発表。米側に潜水機を引き渡す方針を明らかにしつつも、米軍による南シナ海での偵察活動に「断固とした反対」を表明した。
中国側は奪った無人潜水機を通じ、自国の潜水艦に対する米軍の情報収集の実態を調査
したとみられる。2001年に南シナ海上空で両軍機が衝突、中国人パイロットが死亡し米軍機が中国の海南島に不時着した事件では、機体の返還合意まで2カ月近くを要した。
今回は中国の一方的な行為で被害もないことから、潜水機を早期に返還しても国内外へのメンツは保たれると判断したもようだ。
官製メディア環球時報が運営するニュースサイトは18日、楊毅海軍少将の「トランプ氏の米大統領就任後は南シナ海での中米の衝突が、さらに激烈になるだろう」との談話を掲載した。