教育行政の是正について | 日本世論の会 本部

日本世論の会 本部

各支部並びに会員相互の交流と広報を目的としています。

平成28年9月30日

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿

総務  大臣 高市 早苗 殿

法務  大臣 金田 勝年 殿

文部科学大臣 松野 博一 殿

 

横浜の教育を考える会 代表 湯澤 甲雄

横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222

 

      安倍内閣の全体主義に傾斜した教育行政の是正について(提議)

 

1、まえがき

 我が国の憲法は、前文冒頭に「人類普遍の原理である自由民主主義を原理とする政治を国是とし、この原理に反する一切の法律を排除する」と、政治目的を明確に規定しています。この原理は、安倍総理の言われる「自由、民主主義、基本的人権、法の支配といった基本的価値」と同じであり、我が国の政権が仮に民進党政権、共産党政権に変わったとしても踏襲されなければならない普遍の政治原理です。憲法改正の対象には絶対にならない原理です。この原理が諸法律によって守られた政治即ち法の支配する政治が「政治的中立」です。

 振返れば連合国占領下にあって、国土も国民も存在しない被占領地であった日本人にマ

ッカーサー司令部が提示した憲法草案は、憲法という体裁を備えたその実体は占領軍政規則でありました。戦後我が国が自由民主主義国家として独立した時点は、昭和27年サンフランシスコ条約により日本の国土が返還され国土が存在することとなり、次いで昭和54年国際人権条約(社会権規約と自由権規約)が締結され「国民」(Individuals=all members of the human family)が歴史的に形成した「基本的人権」(Fundamental Human Rights)という名の国民の主権の存在が認められた時以降です。しかし、日本国民は永久に保障される「基本的人権」の具体的内容について、確たるものとして法律をもっていまだに知らされておらず、チンプンカンプンの状態に置かれています。それのみならず、「基本的人権」とは<「個人」(Individual=everyone)が「自由」(Fundamental Freedom)を享受するために、国連や国が「創造した条件」(If conditions are created whereby-- )である「自由と権利」(国際人権条約第3部の条文、憲法では第12条と第14条から40条に至る義務条文を指す)>であると、左翼勢力が捏造した憲法解釈を押し付けられてきました。文部科学省も中学校公民教科書において、「個人(Individual)の自由と権利」即ち「個人の権利」が尊重されるべき「基本的人権」であると国民を騙してきました。これでは、国民(Individuals)の存在が抹消されており、自由民主主義を原理とする独立国家とはなりえません。

 昨今このような「基本的人権」と「自由」を認めず、捏造した「個人の権利」を尊重する

左翼勢力の全体主義の憲法解釈が、安倍内閣の教育再生の流れに乗って法律となって国民の前に提示されてきました。それは文部科学省生涯学習政策局によって、教育基本法第1条の「自由民主主義国家の国民(Individuals)の育成」を止め、教育基本法第3条の「国民一人一人(Individual)が学習することができる社会の実現」に、「教育目的」を変更することから始められました。このような「教育目的」が盛られた「教育振興基本計画」(A4版

79頁)が教育基本法第17条(新設条文)の下に安倍内閣によって新たに策定され、教育行政諸法を改正して、全国の地方の首長や教育長に強制する形となって現れています。

 しかし、「教育振興基本計画」策定の法的背景をみると、閣議決定が行われていますが、

教育基本法第17条で定められた国会報告については、衆議員当局者は報告を受けた記録が無いと称しており、国会決議を受けた形跡も無いので、憲法第26条の「法律の定めるところによる教育」ではなく、その意味からしても本計画は憲法に違反し無効であります。

 安倍内閣は憲法で国是と定められている自由民主主義の普遍の原理から乖離して、一切排除する法律とされている全体主義の法律を創り、何故教育行政に採り入れてしまったのであろうか?そこには嘗ての公害問題と同様に「複合汚染」が存在します。

前書きが大変長くなりましたが、以下に是正措置に関する愚見を述べさせていただきます。

 

2、全体主義に傾斜した教育行政の是正措置について(提議)

(1)安倍総理は、「日本国民が進むべき政治の方向を決めるのは日本国民だから、国会の憲法審査会で議論を尽くしたうえで、憲法改正を行いたい」とたびたび発言しています。

しかしこの発言は誤りです。「日本国民が進むべき政治の方向は、憲法前文1項に示す

通り自由民主主義を原理とする政治を行うことであり、この政治の完成を目指して時

代の変化に即応するため憲法改正を行いたい」と改めるべきであります。肝心の国家

の政治の心棒がぶれてはならないのです。自民党の党則においても「わが党は、基本的

人権と民主主義を守り、世界の平和と人類の繁栄に積極的に貢献しつつ、国民とともに

未来に向けてつねに改革を進める自由主義の政党である」と定めているように、自由民

主主義を原理とする政党であることを標榜しています。また、ポツダム宣言の中でも、

我が国に自由民主主義を復活させるとして、それが大日本帝国憲法時代から引き継が

れたものとしています。安倍総理は、言を改めるべきです。

 

(2)しかるに自由民主主義の原理の規範、法的枠組みを定めた法律は我が国には存在せず、国連憲章に次いで重要な国際人権条約(社会権規約と自由権規約)に唯一示されていますので、この国際法を学ぶべきです。しかし両規約は、全体主義を目指す勢力によって

徹底的に隠ぺいされてきました。特に法曹界、教育界、官界が完全無視してきています。

そこで安倍内閣は第1に、法務省設置法により基本法制の整備を任務とする法務省を

起用して、条約を普及させる政策を実施すべきです。第2に、両規約の外務省翻訳文は、

特に法秩序を立体的に理解する上に難があるので当面は英語の原文を利用することと

し、理解できる翻訳文を改めて要求すべきです。第3に、安倍内閣の教育行政の誤りは、

教育関係者全員がこの条約に無知であったことに原因がありますので、周知徹底すべ

きです。第4に、教育基本法第14条(政治教育)2項は、「法律に定める学校は、自

由民主主義を原理とする政党を支持し、この原理に反する政治教育その他政治活動を

してはならない」と、憲法前文規定と整合させた条文に改め、政治的中立性の基準を定

め、国際法に則した政治教育を促進すべきです。第5に、文部科学省設置法第3条(任

務)に基本法制の遵守が欠落している根本的欠陥があり、改正すべきです。

 

(3)我が国の法務行政に任務・責任を負っている行政省庁は、法務省以外に存在しません。

  法務省設置法は基本法制の整備や法秩序等に任務を負うとしているので、各省庁の順

守状況について、縦割り行政を許さない、横断的にチエックできる体制が創られるべき

と思料します。基本法制の中には国連憲章は勿論、それに次いで重要な国際法である国

際人権条約も含むものとします。内閣は、今後法務行政全般に責任を負う法務省官僚の

起用を重視すべきです。国際条約の履行において、国際理解と異なった国内政治や行政

が行われるようでは、地球儀を俯瞰する外交はできません。内閣法制局は単なる法律事

務局であり、Consultantにすぎません。

 

(4)外務省は、外交関係を任務としますので、外交とは直接関係の無い諸条約を仮訳し、

意味不明のまま公表し、社会の混乱を招いています。外務省設置法に基本法制の遵守と

国内法との整合を保つ任務を入れる改正を行うべきです。

 

(5)内閣の所轄の下に有る人事院に関し、国家公務員法第16条に基づく人事院事務総長

通達法審発第2078号「人事院規則14-7(政治的行為)の運用方針について」は、

同法第3条に規定する「法律の定めるところによらない」ものであるので、内閣は同法

第6条2項により人事官に対し、同法第7節「服務の遵守」を厳に求めるとともに、同

通達の廃止を求め越権行為を制止すべきです。

これにより、野放しとなっている日教組等職員団体等の職員による立候補届出前の公

職選挙運動は、国家公務員法第102条により全面的に禁止されることになります。

これに伴い内閣は、公職選挙運動に「職員を扇動する職員団体の行為」について、国家

公務員法第1条3項によりこれを法令違反として立法することが可能となります。

同時に、同通達によって職員による「国の機関等において決定した政策(法令、規則又

は条例に包含されたものを含む)の実施を妨害すること」が、必ずしも違法行為とされ

ないとされていたものが、全面的に違法行為に変ります。これに伴い内閣は、法律の実

施を妨害する目的をもって「職員を扇動する職員団体の行為」について、国家公務員法

第1条3項によりこれを法令違反として立法することが可能となります。

上記2点の「職員を扇動する職員団体の行為」が制限の対象とされたとき、登記されて

いる職員団体の規約に制限の対象となるものがある場合に、法務省地方法務局は商業

登記法第110条により職権抹消し、違法性を解消しなければならないものとします。

 

(6)社会権規約第8条(労働の基本権)は、「Trade Union」(商取引関係者の労働組合)

  が対象であり、公務員の組合は労働の基本権を有しないことが国際理解とされていま

す。また、ILO条約でも、ホワイトカラーの公務員は条約の対象外とされています。憲

法第28条(労働の基本権)は、国民に対し憲法が保障しているものであり、その保障

は国民の奉仕者たる公務員の奉仕によって履行されます。公務員は保障対象ではあり

ません。公務員の労働の基本権は憲法規定上存在していません。総務省公務員部は公務

員に労働の基本権を認め代替措置を行っている欺瞞行政はもう廃止すべきです。

 

(7)近時、職員団体が法人格取得に当り公務員法から離脱させ、従来の「主務官庁の許可

を受けない組合目的を有する法人」のままで、換言すると従来通り憲法の効力の外に置

かれた法人則ち、災害をよぶ「鵺」(怪物)の状態のままで、改正された職員団体法人

格付与法の下に法人となり、商業行為もできる機能が付与されました。

学校予算(小中学校年1-2億円、高等学校年5億円)を対価として、組合員と校長と

の間で学校が必要とする物品の売買・斡旋の取引ができるようになりました。学校は日

教組法人の商取引所と化したのです。27年間継続し終焉した日教組の主任制度形骸

化闘争(約200億円政治資金造成に成功した)における主任手当を源泉とした「井戸」

に代わり、校長との取引利益を源泉とする日教組の新しい「井戸」が全国に設けられま

した。これも教育振興基本計画と同様に安倍総理の教育再生政策の結果できたものです。

 

(8)団体に対する法人格は、その団体が法律に基づいて行為する規約を創り、それが公的

機関に認証されることによって付与されるものです。その法人は常に、法律に基づく行

為を公認の機関で監査を受け公表することによって自らの実体を社会に曝し、その上

で第三者に対する法的対抗力を備えた法人となるのです。ところが現在の職員団体は、

昭和26年3月13日地自公発83公務員課長通達により<職員団体たる団体が、「交

渉」以外の目的を併有すること及び、「交渉」の目的のための行為以外の行為すること

は、地公法の関知するところではない>とされています。民法第43条(法人の能力)

「法人は法令の規定に従い定款によりて定まりたる目的の範囲内において権利を有し

義務を負う」という民法規定を、課長権限だけで適用を除外し、地公法第54条によ

り何の制限も無く商行為の機能を備えた違法法人「鵺」となる資格が付与されました。

特に総務省と人事院は、日教組という自由民主主義を滅ぼす活動を続け、法令の施行を

妨害し公金を餌として政治力を帯した正体不明の「鵺」を誕生させたのです。安倍総理

には現代の源頼政となって悪の根源「鵺」退治をしていただきたいのです。以上