平成27年11月5日
財務省予算執行ご意見箱 御中
(写し)文部科学副大臣 義家弘介 殿
(写し)神奈川県知事秘書室 調整監 関根 殿
横浜の教育を考える会 代表 湯澤 甲雄
横浜市南区大岡3-41-10電話045-713-7222
文部科学省が財務省の提示した予算削減案に反対していることをテレビニュースで知りました。お役に立てるかどうかわかりませんが下記情報提供旁お願いに上がるものです。
教育基本法第17条に定める「教育振興基本計画」に基づく教育行政は、憲法第26条
「教育は法の定めるところにより行われる」並びに、教育基本法第1条(教育の目的)に違反する有害無用の行政であると思いますので、当該支出額の財政予算の査定を厳しく当たられることをお願いいたします。
記
教育行政は、憲法前文1項「自由民主主義の原理に基づく国家建設」が国是とされており、この憲法の精神に則り制定された教育基本法第1条から第16条に至る条文の下に行われるべきであります。教育基本法第17条教育振興基本計画)は、教育基本法第1条から第16条に至る条文に根拠を置いて策定する必要があると平成15年3月20日中央教育審議会答申にあるからです。教育の目的はあくまでも、教育基本法第1条(教育の目的)
「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身共に健康な<自由民主主義国家の>国民の育成を期して行われなければならない」であるべきです。これが立憲主義に立脚した本来の教育行政です。
ところが現実の教育行政は、文科省生涯学習政策局により教育基本法第3条(生涯学習の理念)のみに根拠を置いて制定された教育基本法第17条「教育振興基本計画」(A4版79ページ「四つの基本的方向性に基づく、8の成長目標と30の基本目標」からなる。平成25年6月14日閣議決定)に偏重した教育が行われることとなり、従来の事務量に追加して新たな膨大な事務量が教師に課せられる教育行政となりました。(なお「教育振興基本計画」は、平成18年教育基本法改正により新設された条文です。)
閣議決定された同計画の中の教育目的は、「自立・協働・創造に向けた一人一人の主体的な学びが求められている」として、生涯学習の理念に変更されています。このような「個人の学びの尊重」を教育の目的として、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律第1条の3」(平成26年新設条文)の規定に従い、地方公共団体の長の権限を梃にして教育委員会を通じて普及させるとされています。
前者の教育目的と後者の教育目的との最大の相違点は、前者は「国が個人の自由を保障し、且つ国が家族、共同体、国民、国家の人々の習俗、伝統、文化、法律、人間愛を永久に保障する=尊重する、憲法が国是としている自由民主主義教育」(昭和54年に最高法規となった国際条約・社会権規約、自由権規約参照)であることです。
これに対して本年度から行われている後者は、「国が個人の自由を認めず個人の学びという権利を尊重する教育」換言すると、「家族、共同体、国民、国家に対する意識・習俗や愛を念頭に置かせないで、個人のみ念頭に置かせる教育の徹底を図る全体主義・共産主義教育である」点にあります。因みに神奈川県に例を採れば、文科省制定の「教育振興基本計画」を参酌して定められた神奈川県の「教育振興基本計画」は「かながわ教育ビジョン」と称しているものですが、当然このような法律に反する内容が巧妙に仕組まれています。
教育の目的を「自立した一人の人間を目指す自分づくり」「一人一人を大切にした教育」即ち「個人の尊重」を教育の目的としており、教育基本法第1条(教育の目的)に規定する「国民の育成」を教育の目的から排除して、「国民」という意識を生徒の念頭から消してしまう教育を行うものであります。また、神奈川県が策定し市町村教委に送付した「平成28年度義務教育諸学校使用教科書採択方針」は、教育基本法第1条(国民の育成)を採択調査項目に記載しておらず、この方針を示された各地区教育委員会において「国家・社会の形成者を育成する教育」の観点に立たない教科書が多く採択されました。
「国が個人の自由を保障せず、国が個人を尊重する教育」は、日教組等に汚染された教育行政当局が美名のもとに国民・国家を全体主義・共産主義に誘う手段です。また、「個人の権利尊重」が教育行政当局の職域に蔓延した場合には、合成の誤謬が生じて、教育行政当局の職場に不作為の意識が蔓延し、その教育行政の真空地帯において生徒間に卑劣行為の横行、いじめ・自殺を惹起し、あるいは、価値観正反対の二つの教育行政の整合に多忙を極め、悩み、遂には精神を患う教師の多発を招きます。また、国が国家、国民の安全を保障する安全保障法案の必要性をいくら説いても、個人しか念頭にない人にとっては、個人の安全を危うくする戦争法案としか理解できない常識を失した人間が多く作られている社会現象が現に現れています。
中央・地方とも教育予算が革命資金として使われていると思われますので、査定を厳しく望まれることを切望する次第です。以上
追記 全国トップレベルの学力を有する秋田県教育委員会が策定した「教育振興基本計
画」は、文科省制定の「教育振興基本計画」を参酌せずに県独自に作っており、そ
の結果それが教育基本法第1条(教育の目的)に適ったものになっていると思いま
す。