安保法制反対運動で最も有名になった市井の人といえば、学生組織「SEALDs」のリーダー格、奥田愛基(あき)君(23)である。
他方、父親の知志(ともし)さん(52)は、元々地元で名の知られた牧師だという。「反天皇主義」と「ホームレス支援」――。
この2つのワード抜きには、彼の人物像は語れない。
参院特別委員会の中央公聴会に呼ばれた奥田君。今や反対派の“希望の星”といっても過言ではあるまい。
福岡県で生まれた彼は、中学時代にイジメに遭い、自ら沖縄県の離島の学校へ転校。現在、明治学院大の4年生である。
「我々からすれば、愛基さんは、牧師をしながらホームレス支援をしている奥田さんの息子さんといった方がピンときます」
と話すのは、北九州市の実家近くの住民。
「知志さんが牧師をしているのは、日本バプテスト連盟東八幡キリスト教会。ここは奥田家の自宅も兼ねていますが、彼が来てから25年になる。大学時代からホームレスの支援をしていた。その関係から15年前に教会と同じ場所にホームレス支援のNPO法人を立ち上げました。炊き出しをやる牧師はいるが、あそこまでやる人は珍しい」
これまでNHKに〈路上脱出を支えるプロ〉と報じられたこともある。ただし、古くからの知人によると、
「若い頃から筋金入りの反戦主義者ですよ。天皇陛下の即位の礼の反対学習会に参加。『人間を超えた権威づくりによって、再び戦争の道を歩むことがないよう……』と発言しています。靖国信仰にも反対していて、『戦前の天皇への極端な信仰と同じ』と批判したこともあります」
実を言うと、知志さんは、小泉首相靖国神社参拝福岡山口訴訟の原告の1人である。5年前に自ら執筆した書籍の中で、反靖国の闘いについてこう書いている。〈天皇が「絶対的存在」から「象徴」へと表現を変えたとしても、天皇制が依然として民衆統合機能そのものであることが問題なのである〉(『光は闇の中に輝いている』より)
現下の天皇制は認められないという発言に他ならない。反天皇主義者なのである。